第706話 だって男の子だもん
海上に出ると、ファンタジーと近代兵器がドッグファイトをしていた。
「なんの異世界大戦だよ」
突っ込み満載の今生の空。世界ってなんだろうな?
まあ、暇で模擬戦でもしてんだろうと、気にせず結界術で足場を創った。
「なにするの?」
頭の上から質問が下りて来た。なんだ、ついて来たのかよ?
と思ったらドレミやレイコさんまでついて来てた。うん、まあ、当たり前か。どれも憑いてる感じだし。
「岩さんを引き揚げるんだよ」
読んで字の如し。引き揚げるんだが、それはそれで問題があるな。
「しっかりした足場が欲しいよな」
結界でもしっかりした足場は創れんだが、固定するものも創らんとならん。結界使用能力範囲外になると操るのがメンドクセーんだよな。
連結結界ヘキサゴンも結構時間をかけて創ったもの。丈夫なもの、複雑なものは直ぐには創れんのだ。
「……空母を使わしてもらうか……」
どのくらいの重さに耐えられるかわからんが、ダメなら次を考えればイイさ。とにかくやってみろ、だ。
「ドレミ。ミタさんに連絡して空母一隻をこちらに寄こしてくれるように言ってくれ」
視界範囲内ならスマッグでも通じるようだが、メンドクセーのでドレミさんにお任せです。
「畏まりました」
なにやら念らしきものを飛ばすスライム型ドレミさん。今さらだが、TPOをわきまえているよね、あなたって……。
「ミタレッティー様より『すぐに向かいます』とののことです」
直ぐって言っても視界には見て取れない。マンダ〇タイムにするか。あ、姫さんズも呼ぶか。と思ったらいましたね。じゃあ、ご一緒にマ〇ダムしましょう。あーコーヒーうめ~。
「……お主は本当に自由だな……」
はい。自由に生きてますんで。
「マスター。ミタレッティー様が乗る船が見えました」
スライムの目ってどこよ? と思いながら辛うじて見える空母を目を細めて確認する。つーか、脅威の視力だな、おい。
まだ来るには時間がかかるようだし、ちょっと早い昼食にしますか。皆、なに食べる?
結界を変えて皆で向かい合えるようにする。
「我は漬物を所望する」
「同じく」
「わたしは果物をいただきたい」
姫さんズの注文に答えて出してやる。ドレミがね。オレの無限鞄の在庫がもうねーんでな。
「オレは海鮮丼」
「わたしは、カレーうどん」
「畏まりました」
と、皆の要望に答えるドレミさん。黄色い体だったらド〇ミちゃんって呼んでるところだよ。
この、一杯一万円はしそうな海鮮丼、誰が作ったん? とか思いながら美味しくいただきました。あら汁も頼めばよかったぜ。
海鮮丼の後はやっぱり緑茶だよね。とか思って飲んでたら姫さんズが興味を示したので、ドレミに淹れさせたら思いの外、大好評。人魚の舌ってどーなってんの?
「このお茶、わけてもらえぬか?」
「ドレミ、あるか?」
「はい。カイナーズホームでたくさん買いましたので幾らでもおわけできます」
あなたまでカイナーズホームをご利用してるんですか。どんな姿で買い物してんねよ? ちょー気になる。
「海の中で火を炊くのは大変かと思いますので粉末タイプのものにいたします。水でも溶けますので温かいもの、冷たいものでお楽しみください」
不思議に思うだろうが、人魚も水は飲むし、お湯も飲むのだ。
水なんてどこから持って来てんの? とかハルヤール将軍に尋ねたら魔法で水にするらしい。あ、ジオ・フロントの地下に地底湖とか造っちゃおうかな? 万が一、水を止められたり日照りになったとき用によ。
水から無限鞄の補給をどうしようかと考えてたら、いつの間にか空母がそこまで来ていた。
空母が近づくにつれ、波が高くなってきたので結界を浮上させた。あ、姫さんズまで連れて来ちゃったわ。浮き輪で対処して。と、浮き輪を姫さんズに渡した。
空母の甲板と同じ高さにして待つこと数分。空母を操船する方が優秀なのか、ぴったりと結界に接岸(?)させた。
「べー様、お待たせ致しました」
甲板に立つミタさん。なんか背景にマッチしてるよね。
ファンタジーの住人でメイド服を着てるのに、空母の甲板に立つ姿に違和感がねー。なんでじゃ?
「いや、ありがとな。司令官はどこだい? ちょっと話があるんだがよ」
「艦橋にいらっしゃいます。お呼びしますか?」
「いや、こっちからいくよ。借りる身だからな」
オレのセリフに首を傾げたが、わかりましたと司令官さんのところに案内してくれた。ってか、いつの間に空母の艦内を熟知してんのよ、あなたは?
迷いなく艦橋に来たオレは、司令官さんに甲板を貸してくれるように頼んだ。
「はい。カイナ様よりべー様に協力しろと指示されてますのでお好きに使ってください。壊れても直ぐに新しい艦をご用意しますので」
壊れる前提なんだ。が、まあ、壊す前提でやるんだし、遠慮なく使わせてもらうよ。
甲板上の戦闘機を中に格納してもらい、甲板に結界で固定具を創り出す。結界使用能力限界のをね。
無限鞄から轟牙ごうがを取り出し、固定具の下に置いた。
「フフ。さあ、轟牙よ、巨大化せよ!」
固定具に合わせるように轟牙を巨大化させていく。
ロボットって外から操るのもイイけど、一度は中から操ってみたいよね。だって男の子だもん。
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