第167話 冒険者ギルド
今後のことを話して孤児院を後にした。
「さて。次は冒険者ギルドだな」
と歩き出すこと三歩。スゲー重要なことを思い出した。
「……オレ、冒険者ギルドの場所知らねーや……」
この街にくるのはジャックのおっちゃんのところに薬草を仕入れにくるのと買い物が最大の理由で、用がないところにはいかねーのだ。
「しゃーねー誰かに聞くか」
あ、そうだ。ゴジル買いがてら油屋で聞くか。
「てなことで冒険者ギルドの場所おしえてくれや」
「いや、きていきなりなんなんだい!?」
油屋のおっちゃんが目を丸くして突っ込んできた。
「だから冒険者ギルドの場所教えてくれや。あ、ついでにゴジルを売ってくれるだけ売ってくれや」
「いや、ついでが逆じゃね?」
なかなか突っ込みの上手いおっちゃんである。その粋に応えて馴染みにさせてもらうよ。
「……しかし、まだ買うのかい。あれだけうちから買ってって……」
「ゴジルは日持ちするからな」
まあ、オレには関係ねーが、未来的な潜水艦に乗せたり非常食作りに大量に使うからな、あればあるだけ欲しいんだよ。
「ま、まあ、売れるならうちは構わんがな……」
買えるだけのゴジルを用意している間に冒険者ギルドの場所を教えてもらった。
小樽十七個を収納鞄に詰め込む。
なんか今更だが、買い出し用の収納鞄の容量は通常の四倍。しかも鞄は中で二つに分かれ、片方は保存庫と繋がっているのでカラエルに剣や防具を渡すこともできるのだよ。
なら直接保存庫に送れよと言われそうだが、まったくもってその通りなので反論できません。ここに買いにきて気づいたよ。
まあ、設定し直せばイイんだが、大量買いしてるとなにを買ったか忘れたときがあり、整理するのが大変なんだよ。
なんで仕分けしやすいようにこの収納鞄に詰め込んでんだよ。ちなみに王都に買い物に行くときはまた別の収納鞄を使ってます。
「イイもん買わしてもらったよ。ありがとな」
「変な客だな。買った方が礼を言うなんて」
「そりゃイイもんを売ってんだ、感謝したくなるのが人情だろう」
まあ、日本人根性が抜けてねーからな、つい出っちまうんだよ。
「そう言われたら下手なもん仕入れられんな」
「アハハ。そうであることを願うよ。んじゃ、また買いに来るよ」
「次もよろしくな」
笑顔を見せ油屋を出た。
さて。冒険者ギルドは東門通りか。ならこっちだな。
街を眺めながら冒険者ギルドへと向かってると、冒険者相手の武器屋や宿屋、酒場が多くなってきた。
そー言やぁ武器や防具の店に入ったことねーな。ましてや日帰りできてるから宿屋に泊まったこともねーわ。
ちょっと覗いて見っかな~と思ってたら冒険者ギルドに到着していた。
「……やっぱ街の冒険者ギルドはデカいんもんだ……」
田舎にある木造の村役場くらいのデカさで、三階建ての冒険者ギルドを前に惚けてしました。
まだ午後三時前くらいなので冒険者の姿は見て取れない。村の冒険者ギルド(支部)のように静かなもだった。
中に入ると、役場のような造りだったが、村の冒険者ギルド(支部)と配置は変わりはない。ただ、広くなった感じである。
外には冒険者の姿はなかったが、中には何人かの冒険者がいて、端っこにあるテーブルでミーティング(?)をしてたり、ボードに貼られた依頼書(羊皮紙な)を見ていた。
ふ~んと冒険者ギルド内を見回していると、カウンターで受付している二十歳くらいの犬耳ねーちゃんと目が合った。
ニッコリ笑う受付の犬耳ねーちゃん。
ところ変われば受付も変わるか。いろんなのがいんだな~。
受付の犬耳ねーちゃんの上に吊るされた標札には依頼受付と書いてある。それってどっちに対する受付なんだ?
村ではよく冒険者ギルド(支部)を利用してるが、姉御に言えばこと足りるので、正直冒険者ギルドの利用法がまったくわかんねーんだよな。
でもまあ、他に受付人がいるわけじゃねーし、構わんか。
しゃーねーと犬耳ねーちゃんのところへ向かった。
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