第139話 〇ンダムタイム再び
今日は朝から〇ンダムタイム。
庭に陽避けの幕を張り、その下でデッキチェアに寝そべりながらラーシュからの手紙を読んでいた。
いつもなら寝る前の一時に読んでいるのだが、ここ最近はアリテラがおしゃべりにくるので読んでいなかったのだ。
まあ、アリテラとのおしゃべりは楽しいし、面白いのでどんとこいなのだが、ラーシュからの手紙も人生に欠かせないので今日はラーシュの手紙を読む日にしたのだ。
昨日まではエリナのために港でエサ確保の方法(ウルさんに一任してきた。人魚にも冒険者みたいなのがいるそうなので)を決めたり、港までいく馬車作ったりと忙しかったので休みってことにしたんだよ。
やりたいことはとことんやる。だが、やりたくないことはやらないのが今世のオレ。それだけの力があり、蓄えがあるのだ、誰に文句を言われる筋合いはねーよ。
コーヒー(モドキ)を口にし、優雅な一時に乾杯する。突っ込みはノーサンキューね。
「あんちゃーん!」
サプルの声に優雅な一時から目覚め、声がしたほうへと目を向ける。
隣んちの牧草地で乗馬を楽しむサプルがオレに向けて大きく手を振っていた。
スーパー幼女サプルちゃんに掛かれば乗馬など自転車に乗るより簡単なこと。気に入ったユキノに跨がって二十分。もうオリンピックに出れんじゃね? ってくらいの腕前になっていた。
もう今更なので突っ込みもしねーよ。楽しそうでなによりと受け流してるわ。
はしゃぐサプルに応え、オレも手を振り返してやる。
それで満足したのか、また乗馬(つーか爆走?)に意識を切り替えた。
しばしサプルを眺めてからまた手紙に意識を向けた。
宮殿での暮らしや側近たちの話題を書いた手紙を読み進めていくと、コーヒー豆を見つけたことが記されており、早速送ったと書いてあった。
……そんなもんあったっけか……?
いやまあ、ラーシュから贈られた品を全て見たわけじゃねーが、それらしいものなど目に入らなかったぞ。
まあ、送ったと言うからにはあるのだろうと、保存庫に向かい、荷物を探った。
ラーシュには収納鞄──ではなく収納風呂敷を渡してある。
一メートル×一メートルの風呂敷の収納力は鞄と同じだが、出入り口を広くして大物や長物専用にしてあるのだ。
今回、収納風呂敷は全部で七枚。前回より三枚多くなったので中身を見るのも一苦労である。
「それ以外に贈ってくんだからさらに大変だぜ」
わざわざルククの積載能力限界まで贈ってこなくてもイイのに……って、まあ、オレはそれ以上に贈ってんだからなにを言う、だな。ナハハ。
「おっ、これか」
自由自在の結界術なので中身を出さなくても風呂敷に触れば中身がわかるんだよ。
床に広げ、中に手を突っ込んで袋を一つ取り出した。
麻っぽい袋の中にはじゃらじゃらした黒豆っぽいものが入っていた。
「まあ、前世のコーヒー豆とこの世界のコーヒー豆が一緒かわからんが、ちょっと焙煎してみるか」
外へと戻り、結界術でコーヒー豆が零れないくらいの包型回転式金網を創り出し、その中に適当に豆を入れる。
土魔法で竈を創り、炭を持ってきて火の魔術で点火させる。
イイ感じに炭に火が回ったので包型回転式金網を炭火にかける。
素人であり焙煎方法などテレビで観た知識だが、まあ、豆はいっぱいあるし、失敗して覚えろだ。
豆を燃やさず、焙るように金網をゆっくり回す。
徐々にコーヒー豆が焙されていき、コーヒーの香りが漂ってきた。
二十分くらいでコーヒー豆が茶色となり、テレビで観たような感じになった。
金網を炭火から外し、風結界で包み込んで熱を冷ます。
イイ感じに冷めたら結界臼に入れ、豆を挽いていく。
「こんなもんかな?」
何度か結界臼で挽くと、前世でよく見てきた粉になった。土魔法で五百ミリリットルくらいの缶を二つ創り、粉を入れる。
更に土魔法でヤカンを創り、炭火にかけてお湯を沸かし、缶からコーヒーの粉をすくってカップに入れる。
まあ、コーヒー好きとは言ってもインスタント派だったのでお湯の温度や量とか言ったものに拘りはないので全てが適当。
カップにお湯を注ぎ、一口。うん、不味い。やはりドリップが必要かと目の細かい結界を創り出してドリップさせる。
再度、一口。
ちっと粉っぽくてモドキより苦いが、まあ、嫌いではない味だ。
試しにと砂糖とミルク(山羊乳)を入れ、カフェオレ(風?)にして飲んでみる。
「う~ん。〇ンダム」
まっ、悪くはねーってことだ。
コーヒーの淹れ方なんて適当です。知識もないです。
違いのわからない自分はステックコーヒー派で甘くないと飲めません。主にブレンディのカフェオレが好きです。
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