第50話 狩りの時間だ!

 んで、トータらがゴブリンを見たと言うザッカラ山に向かっているのだが、そのザッカラ山までは直線距離にして約五キロ。道なりに行けば七キロ弱。まあ、ド田舎生まれにしたら大した距離ではないが、山と言うだけあってアップダウンが激しい。ド田舎生まれでもなかなやかハードな道程と言えよう。


 オレも平坦な道なら十キロは平気だが、アップダウンの激しい道程は結構体力を使う。


 五トンのものを持っても平気な体は打撃や重力には強いが、スピードはもちろんのこと、体力も十歳の体に見合ったものなのだ。


 たぶん、魂に宿した能力が原因だろうとは思うのだが、正解など出ないので深くは考えたりはしない。鍛えれば速くもなれば体力もつく。学び鍛えれば魔術も薬学も覚えられるし、新たな力を宿すこともできるのだからな。それでイイじゃん、だ。


 それに、力は使いようだ。


 自由自在に操れる結界使用能力は、もはや結界がつけばなんでもイイんじゃね? つうくらい反則的能力だ。


 まあ、能力使用範囲は、半径三十メートルと言う限界もあるものの、そこは創意工夫。範囲内でなら永久的に維持もできれば秒単位で消すこともできる。結界を組み合わせてパワードスーツも創れるし、魔法の絨毯ならぬ空飛ぶ結界も創れるのだ。


「結界超便利ぃ~っ!」


 空飛ぶ結界(サーフボード型)で坂を下っていた。もちろん、バレないように隠蔽結界を張ってます。


 薪割り山へと続く道を下ると街道に出る。そこをバルダリン側へと二百メートルほど進むと、隣村に続く道──ザッカラ峠道が右手に見えてくる。


 隣村は、山間の村で、麦は獲れないが鉄が採れ、鍛冶の村として栄えている。


 鍛冶とは言っても剣やら槍やらではなく、鍋や包丁、鎌に鋏など、家庭用品を作って行商人(専属のな)に卸している、とは言え、山間の村。うちよりド田舎であり、人口も三分の一しかいない小さな村。頻繁に往来するところではないので道は悪いし、幅もやっと荷馬車が通れるくらい狭い。


 一人では歩きたくない寂しい道だが、五歳児がなんの感慨もなく通っている。十歳になるオレが怖いでは示しがつかんって。


 寂しさをマギラワスために鼻唄を歌いながら進んでいると、茂みの中からゴブリンが四匹、唐突に飛び出してきた。


 本当にゴブリンが多いな。もう遭遇かよ。


「まあ、とにかく狩りの時間だ!」

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