第43話 姉は傲慢でできている

 昨日、予定通り会長さんらが出港していった。


 その話は? との突っ込みはノーサンキュー。語りだしたら何日かかるかわかったもんじゃない。なのでおもしろ可笑しく勝手に想像してくれ。


 いつもの時間に起きて、いつもの習慣を済ませる。畑や家畜の見回りを終えて豪勢で旨い朝食をいただいた。


「あんちゃん、ゴブリンはどうするんだ?」


 船を修繕するのに忙しく、ゴブリンの件は後回しにしていたのだ。


 まあ、冒険者ギルドに報告した手前、ゴブリンの確認はしてもらわないと、こちらの立つ瀬もねーし、ウソを報告したことになる。


 冒険者ギルド(支部)を利用させてもらっている身としては持ちつ持たれつの関係でいたいかな、面倒でも義理は果たさねーとな。


「そうだな。冒険者ギルド(支部)にいってゴブリン情報があったらいってみるか」


 バンたちが討伐してるとこを横槍入れるのもワリーしな、討伐に出てなければいくとするか。


「じゃあ、それまで狩りしててイイ?」


「まあ、勝手にやってろ。ついでに投げナイフの練習してろ。額なら十点。心臓二十点。腕五点。足二点。首五十点な。百点取れたらニンジャ刀を作ってやるよ」


 そのご褒美にトータの目が輝いた。


 寝る前に聴かせてやるお伽噺話には、忍者〇ットリくんもあり、トータはその話が大好きで、将来、ニンジャになる! って叫ぶくらい憧れているのだ。


 お前なにしてんねん! って突っ込みはノーサンキュー。生き様でなく、たんに戦闘スタイルに憧れているだけだしな。


それに、トータの能力はニンジャに近い。なら、その戦闘スタイルにした方が生存率が高くなってイイだろうよ。


「あんちゃん、トータばっかりずるい! あたしも欲しー!」


「え? ニンジャ刀をか?」


 サプル、お前、いつの間に武闘派になったんだよ あんちゃん気がつかなかったぞ?!


「違う! あたしが欲しいのは調理鞄だよ!」


 あー、そーいやー、中華〇番の話もしたっけなー。


 まあ、普通に包丁やら調味料が入った鞄ではなく、異空間結界を利用した食材や携帯用コンロも入った鞄である。


 青色の猫型ロボットのポケットには遥かに負けるが、それでも六畳分の空間はあり、ちょっと出掛けるくらいには充分な鞄である。


 ちなみに、オレが作り、オレの鞄は獲物入れ専用。力はあってもオーク十匹とか運べねーよ。


「わかったよ。サプルにはいろいろやってもらっているしな、トータが百点取れたら一緒に作ってやるよ」


「トータ、必ず百点取ってきなさいよっ!」


 優しい妹ではあるが、弟には厳しい姉であった。


 弟よ。そんな目で兄を見るな。それが弟の悲しい運命なんだ……。

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