第3話 殺戮の魔人
「まさかここまで状況が混沌とするとはね・・・」
自分の上司である少女、テレーズ・ブルムを抱えながら強羅瑠璃は呟く。
彼女達の前では文字通りの蹂躙劇が繰り広げられている。
あるものは見覚えのある刀で切り殺されまたある者は殴られ蹴られの応酬で沈められ逃げようとした者は刀を投擲し刺し穿ちつつ確実に仕留めていた。
反撃しようとする者達もいたが相手側も混乱しているせいか連携が甘く散発的で効果が薄い、更には攻撃仕掛ける対象の(恐らく)オーヴァードには何らかの防御エフェクトを有しているのか攻撃エフェクトが無効化とは言わないが明らかに威力が削がれていると見て取ることが出来る。
『取り合えず状況把握が優先ね、加勢するか排除するかはそれから決めるか』
というのも彼女視点からすれば自分の上司が人質に取られそうになった時に突如背後から現れた人物がその上司の名前を叫びながら突撃し助けつつまた突撃しているようにしか見えずジャームと疑うほど直線的な行動しかとっていないのだ。
『戦闘というよりは実戦に余り慣れていない様に見えるけど躊躇いや躊躇などが一切ない、手を抜くことも無ず確実に屠っていて暴走状態とは言え流石に殺し合いの順応力が高すぎる。でも余裕もある様に見えるからみジャームではなさそうだけど』
『ジャームじゃないとすればやっぱり・・・自分の落ち度とは言えまさか丁度良く一般人が通りがかるなんてね』
悔やむような顔を浮かべる瑠璃。
ここに来るまでに見た"遺産"である刀が背中にぶっ刺さり事故を起こした青年の姿を思い出し罪悪感などが沸き上がって来るが一旦その感情を押し殺しまた思考を再開させる。
『彼が覚醒したと仮定するとあいつらの仲間ではなさそうだけど・・・だからといってジャームじゃないということにはならない。それにテレーズさんの名前を叫んでたし本人も様子がおかしい、判断がつかないわね』
彼女の上司であるテレーズ・ブルムは半ば放心状態というか意識はあるが目の前の戦闘に釘付けになっている。
『いつも冷静な彼女がこうなっているってことは親しい人なのかしら?』
そう思いつつ彼女は上司の護衛を優先する事にしたようだ。
一方件のオーヴァードになった青年といえば
『あかん死ぬかもしんない』
分析とは違い全く余裕が無かったりする。
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