015「この指輪は一体何なのだろう?-2」
ベッドに横になったまま、くるくる手を回して指輪を眺める。
銀色の指輪に光が反射するのを見ながらあの機械みたいな声が言ってた言葉を思い出す。
「なんだっけなぁ、たしか最初はライブラリーからのアクセスを開始するみたいな事を言ってたっけ」
ライブラリーってなんだ?普通に考えたら図書館だけど、アクセスは繋ぐとかそんな意味だろ…。
あれ?もしかして、あれってライブラリーってとこから繋がれたってことは…。
「俺、ライブラリーとかいうよくわかんない物からハッキングされたってこと?」
いやいや、待て待て。
んー、でもそういうことだよな?俺はライブラリーなんて存在を知らないし、ライブラリーの方から俺にアクセスしてきたってことはそうなるよな?
「………まぁ、いいや。わかんないから放置しよう」
情報が少な過ぎてどうせ考えてもわからないんだ、なら放置して次を考えよう。
「えっと、マスターからシステムの限定利用の許可が何とかかんとかだっけ?」
マスターって主人とか師匠とか長で、システムは機能とか機構そんな感じの意味でいいと思うから…。
「ライブラリーって存在の主人からシステムの一部を使っていいって許可された?」
んー、とは言っても何を許可されたんだろ?
ライブラリーってのが図書館とかそんなんなら、それの一部を使う許可をくれたってことなんだろうけど。
「ターミナルを譲渡だっけ?ターミナルってなんだ??」
譲渡ってことは何かくれたって事だけど、ターミナル?ターミナル??
「終点とか末期とかそんなんだっけ?」
たしか、終着駅とかをターミナルって言ってた気がするけどこれは違う気がする。
「ってなると……………んー、端末とかかな?」
そいや、昔やってたゲームで色々と情報を調べたりする端末をターミナルって呼んでた気がする。
「まとめると、ライブラリーの主人が俺にハッキングして来て、ターミナルっていう端末を使ってシステムの一部を使ってもいいよって許可をくれたって感じか?」
となると、そのシステムを使う為の端末がこの指輪になるんだろうけど。
「どうやって使うんだ?」
試しに指輪をぺしぺしと叩いてみるけど変化はない。
魔道具と同じように魔力を流してみるが、これも変化はない。
「んー、もしかしてキーワード的な物が必要なのかな?」
一部の魔道具は効果を発揮させる為に魔力を流すだけでなくキーワードを唱えながら使う必要があるって話だし、この指輪もそうなのかも知れない。
「前世でやってたゲームに出て来た英雄達が持ってた武器とか防具みたいなもんかな?」
となると、この指輪を使うのに必要なキーワードは何なんだろうか?
「んー、発動…解放…リリース……
指輪に魔力を流しながら色々と唱えてみるが駄目っぽい。
あ、そういえば他にも何か言ってた気がする。
「ターミナルの名称を設定とかだっけ?ってことは、この指輪にはもう名前があるってことだから、その名前がキーワードになってる可能性もあるな」
なんだったかなぁー、なんかすげぇ厨二っぽい名前だった気がするけど。
「えぇっと………ファントム……何とか……ライブラリーだった気がするけど…………」
そいや、記憶を精査するとか言ってた気がするから俺の記憶から厨二っぽい名前を検索して名付けたってことか?
なんか、黒歴史を掘り返された気がしてすげぇ恥ずかしい。
ヴィルの年齢的に厨二病が発病しても不思議じゃない年齢だし、魔法のある世界だし、魔法の訓練してるときは厨二っぽい詠唱を言ってるんだけど、それとこれとは何か違って恥ずかしい。
「ライブラリーの主人さんは俺の黒歴史な記憶を散々眺めてから指輪の名前を決めたりしてないよね?」
もし眺められてたなら死ねる、恥ずかし過ぎて死ぬ。
じたばたとベッドを転がる、黒歴史を眺められたとか考えると穴が掘って埋めて欲しいくらい恥ずかしい。
しばらくじたばたと転がって、飽きたので深呼吸。
よし、開き直ろう。
「いまの俺はヴィル13歳だから厨二病でも問題ないし、むしろ厨二病でない方がおかしい年齢だから何も問題ない」
現実逃避は大事である。
「…………さて、厨二視点で考えるとファントムの次には何が入るかだけど」
ファントムと言ったら個人的にはペインなんだけど、幻肢痛の図書館とか流石に意味不明である。
「ファントム……幻……幽霊……オペラは関係ないし……幻をどうしたい?………幻を………見る………厨二を加速させたなら……………視るになって……………厨二患者なら無駄に意味を重ねてくる…………幻と似たような意味でカッコいい言葉…………幻影……………幻想…………視る……………なら………ヴィジョン?」
たぶん、これでいいはず。
「
指輪に魔力を流しながら唱える。
「ちょっ!?………ぬぁっ!!」
……………痛ったぁ。
なんか、本が顔に落ちて来たんですけど!?
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