漂流するエクスプローラー

鈴代しらす

附録

用語、地名など

【神代】

 遥か昔に存在していたとされる、超文明の時代。現在の歴史との間に連続性はなく、各地の伝承や遺跡にその痕跡を残すのみ。

 何故か地下の空間を多用していたり、古いとされる遺跡ほど高度な技術が使われていたりと謎が多い。



【辺境】

 神代の遺跡が集中的に存在し、凶悪な魔獣が跋扈する未開の地域。

 いくつかの国家に隣接しているが、過酷な自然環境と魔獣の存在により、どの勢力の支配下にもなっていない。

 基本的には、辺縁部から中心部に近づくほど環境は厳しくなり、棲息する魔獣も強力になる。最奥に何があるのかは未だ明らかにされていない。



【魔獣】

 辺境にのみ棲息する生物の総称。基本的には他地域に棲息する生物が巨大化あるいは異形化したものだが、一部例外も存在する。

 魔獣由来の素材は、生態に則した何らかの特殊な性質を帯びていることがある。



【遺物】

 神代の遺跡で発見される様々な物品。現在では再現不可能な技術や素材が使用されており、非常に高額で取引されている。

 魔獣由来のものと同様、素材自体が何らかの特殊な性質を帯びていることがある。



【冒険者】

 辺境を活動の場とし、魔獣狩りや遺物収集を生業とする者たち。

 大半が荒くれ者であるため一般人からは忌避される傾向にあるが、一攫千金を成し遂げたごく一部の成功者は羨望の的。



【王国】

 辺境に隣接する国の一つ。温暖で平野部が多く、政治・経済ともに安定している。

 現在の王族は神代人の末裔……という眉唾物の建国神話が残る。



【公国】

 辺境に隣接する国の一つ。王国に比べるとやや冷涼で山がちだが、国力としては同等。

 かつて王国の傍流王族が建てた国だが、宗属関係は既に形骸化している。



【帝国】

 王国、公国とは別の大陸の強国。各種技術も両国より発展している。乾燥気味の気候。

 異大陸の辺境にまで進出してきているが、領土的野心ではなく主に遺跡探索が目当て。



【教会】

 神代に生きた人々を神格化して信仰する国際的な宗教組織。「神代」という名称の由来も、当然彼らから。

 神代人および神代技術を純粋に崇める信者が大半を占めるが、一部の人間は政治的野心に燃えていたり、研究に専念していたりと、決して一枚岩ではない。



【魔術】

 人体に存在する魔力と呼ばれるエネルギーを外界に作用させて、何らかの現象を引き起こす技術。教会関係者は、この技術も神代にルーツがあると主張する。

 体内の魔力を呼び水に、周囲の魔力に働きかけてイメージした魔術を発動させていると考えられているが、詳しい原理については未解明。イメージの際に独特の文言を唱えるものもいるが、効果のほどは定かではない。

 学べば誰でも習得できる技術ではあるものの、実用レベルで使い熟すには相応の鍛錬と才能が必要。

 魔術の一般的な分類は以下の通り。


(火術)

 火炎や熱を操る魔術。日常生活においては火種として、戦闘においては主に攻撃手段に用いられる。

 攻撃として用いる際には火球を飛ばすのが一般的。


(水術)

 水や氷を操る魔術。主に水分の調達や霧による目隠しに用いられるのみだが、雨天時、あるいは湿地や雪原などの特殊環境においては猛威を振るう。

 ウォーターカッターによる遠隔攻撃は非効率なため、使い手はいない。


(風術)

 大気の流れを操作あるいは感知する魔術。直接的な攻撃には向かないが、索敵や動作のサポート、投射武器の軌道修正など高い応用性を持っている。

 圧縮空気で敵を吹き飛ばすのは可能だが、鎧ごと貫いたり切断したりは出来ない。

 なお、カマイタチはあかぎれや小石による裂傷が原因と考えられている。


(地術)

 土や鉱物を操る魔術。主に足場や防壁の構築に用いられるが、武具の手入れなどにも適用可能。

 岩石を飛ばすのは風術に分類され、石柱でかち上げるのは熟練者ならば実現可能。

 頭数を揃えれば地震を起こすことも不可能ではないが、超重力を発生させることは出来ない。


(雷術)

 電流を操作する魔術。前述の魔術に比べると使い手が少ない。

 その使い手の大半も、自身の神経伝達や筋肉の動作の強化、あるいは武器を介した感電による行動阻害に使用するのみ。

 空気の絶縁をぶち抜いて遠隔攻撃できるような達人は、歴史を遡っても数えるほど。


(光術)

 光を操る魔術。主な用途は光源、目眩し、舞台の演出など。

 まだレーザーの概念はない。紫外線滅菌はいずれ実用化されるかもしれないが、亡霊等を祓うことは出来ない。


(治療術)

 創傷を治療する魔術。さほど医学が発展していないため、使い手もどういう原理なのかよく分かっていない。

 教会関係者には、これを得意とする者が多い。


(呪術)

 何らかの現象を引き起こすのではなく、対象の心身を直接変容させる魔術。

 原理的には他の魔術と同じだが、その不吉な印象から禁忌に近い扱いを受けている。そのため、使い手は滅多にいない。



【魔術具】

 神代の技術を用いた道具の総称。遺物そのものを流用したものや、解析・複製して再現したものなど様々。武具の類や高級な生活用品として珍重されている。

 なお、まだ魔術と科学技術の区分が曖昧であるため、一切魔術と関係がない魔術具も。



【魔力】

 魔術の行使に用いるエネルギー。可視化は出来ていないので、その存在は概念として理解されるに留まっている。

 人体が保有する魔力の量については先天的な資質によるところが大きいが、鍛錬により多少は伸ばすことも可能とされる。

 消費した体内の魔力は、休息により回復する。周囲の魔力を取り込んでいるのか、新たに体内で発生させているのかは不明。

 環境中に存在する魔力の分布については、辺境地域以外ではほぼ一様。辺境地域においては辺縁部ほど薄く、中心部に近づくほど濃くなる傾向にある。また、密閉された未踏の遺跡内部では特に濃密。

 周囲の魔力が濃密であれば大規模な魔術の行使が可能となるが、そのぶん呼び水の魔力も多く必要となり、制御性も低下する。

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