第4話電話

「なんだ?宇宙」

「冬馬に聞きたいことがあって。寮の子とどうやったら仲良くなれるかなって」

「どうやったら?うーん。…なら共通の話題を作ればいいんじゃないか?」

「共通の話題?例えばどんな感じ?」

「宇宙はカフェが好きだろ?カフェの話をするとかさ」

「でも相手がカフェ好きじゃないかもしれないじゃん」

「そういうときはそうだなぁ…素直に話せばいいんじゃないか?素直に話せばすぐに仲良くなれると思うよ」

「そっか、ありがとう!」

「力になれて良かったよ」

「………だよ」

「なんだって?」

「うん、うん。なんでもない。じゃあね!」

電話が切れる。

「おい…今の電話…天陽からの電話か!お前、ざっけんなよぉぉ!」

「おめでとう。リア充になれたな」

「悪いか!てか付き合ってねーよ!天陽にも好きな人いるんだろうし失礼だろ」

「そんなことより夕食食べよう」

「「賛成」」








「分かる〜」

「それな!」

「宇宙って話しやすいよねー」

「分かる、分かる!」

「そうかな?」

「うん、うん」

「自己紹介しない?一緒に生活するんだから」

「いいよ!」

「まずは私から。私は田中恵梨香たなかえりか。好きのはタコを見ること」

「タコを見ること?変わってるね。いいじゃん!」

「じゃ今度は私から。私は山吹楓やまぶきかえで。好きなのは音ゲー。宜しくね」

「音ゲーが得意なんだね!」

「そうだよ。次は天陽。自己紹介どうぞ!」

「私の名前は天陽宇宙。カフェが好きなんだ!」

「カフェ?今度うちらと一緒に行こうよ」

「いいよ!」

「今から楽しみ!」

「今週の土曜日でいい?」

「いいよー」

「土曜日でいいよ!」

「夕食も食べたしもう寝ようか」

「そうだね。もう夜も遅いし」

「おやすみなさい〜」






ヂリリリリリ。アラームの甲高い音が寮の一室に響く。

「起きろ!田沼!いい加減にしろ!」

「こいつ全然起きないな。待ってろ。冬馬」

「金井、何氷をって…まさか…」

「……ッ…ヒャッ!冷てえ!」

「ヒャッってお前女かよ」

「しょうがないだろ!氷で額やられたらそりゃそうなる」

「学校いくぞ。準備しろよ」 




「おはよー!」

「ふぁ〜おはよう…」

「おはー、朝から元気いいね。宇宙ちゃん」 

「朝ごはん食べてから行こうか!」

「「賛成〜」」







キンコーンカーンコン。

チャイムが鳴る。

「あ、冬馬、冬馬!寮の子と仲良くなれたよ。ありがとう!」

「…まぁな」

「どうしたの?」

 キョトンとした顔で聞いてくる。…周りの男子からの視線が痛いです。

「いやなんでもない。良かったな。仲良くなれて」

「うん!今日も一緒に帰ろうか!」

「いや今日は部活が決まる日だから一緒に帰れないぞ」

「あ、そっか!冬馬はどこに入るの?やっぱり帰宅部?」

「俺か?俺はサッカー部に入るよ」

「サッカー部?サッカー出来るんだ!」

「まぁな。中学のときもサッカーやってたし」

「私は水泳部!小さいときからやってるからやっぱり水泳部かなって!そうだ!大会のとき来てね!私も応援しにいくから!」

「分かったよ」

「やったぁぁ!」

 本当に周りからの視線が痛いです。




「今日の授業は二人1組になってもらおう。ペアは自由に」

「じゃ…」

「冬馬、一緒にやろう」

遮られる。

「宇宙。女子と一緒にやればいいだろ?」

「でも男子と女子一人ずつ溢れるじゃん?なら別に問題ないでしょ?」

「ったく…分かったよ」

「何をするかというと両者のいいところを見つけて貰う。時間は1分間!では始め!」

「まずは私から!冬馬のいいところは優しいところと素直なところ。後はかっこいいところ、頼りがいがあるところ。スタイルがいいところとか声が好き。後は〜」

ピピピ。

「照れるな…今度は俺か…宇宙のいいところは可愛いところ、フレンドリーなところ、元気な事、笑顔と…」

ピピピ時間が鳴る。

「終わりだ。席につけ」


恥ずかしい。これ女子と男子のセットは気まずいやつだ。ふと宇宙を見ると少し顔を赤くしている。恥ずかったのだろう。









「一緒に帰ろう!」

「なんだ、待ってたのか?」

部活の歓迎会も終わり帰ろうとしたところに宇宙はいた。

「速く速く!」

「分かった分かった」

「今日の授業少し恥ずかったね」

「そうだな。だからこんなことがあるかもだから出来るだけ女子と」

「でも冬馬とやる」

「なんでそこまで俺に拘るんだ?」

「別にいいじゃん。仲いいんだし」

「はぁ…もう何言っても無理だこれ」

「せいかーい」

「何がせいかーいだ」

 そう話していると…

「わっ!」

足を滑らせ転びそうになる。

「ッ!」

 冬馬も手を伸ばす。そして手を掴むかあえなく両者共に転ぶ。そして唇と唇が触れ合った。













 

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君に伝えること 天ノ川鋼2代目 @FPM

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