時間
十年前になりますね。
高校生の頃でした。
夜中にふと目を覚ますことが増えたんです。
トイレとかそういうんじゃなくて、なんとなく目が覚めるだけです。
それでまた寝るんですけど。
そんなんで目が覚めた時に、そういえば何時だろうって思って枕元にあるデジタルの時計を見たんです。
2:46ってなってて、なんだ、まだまだ寝れる。
夜中に起きる度にそんなことを思って寝てました。
しばらくして、また夜中に目が覚めて。
時計を見るとまた2:46。
二時台に目が覚めることが多いな、とか思ってまた寝る。
そういうのを繰り返してたからかな。
もしかして眠りが浅くなってたかもしれないんですけど。
ある日、授業中に寝ちゃったんですね。
うとうとして、夢か現実か分からないところでまどろんでいたら、男の低い声で
「にぶいな」
って言われたのをはっきり聞いたんです。
え?私が?
って思ってハッとして目が覚めました。
今のなんだろう、って思いながら教室の時計を見たら14:46でした。
また二時台かって思いながら、そのまま寝ちゃったんですけど。
夜中も午後も同じ時間に目を覚ますのはなんなんだろうなぁとかって思ってたら、その一ヶ月くらい後になりますね。
東日本大震災に被災しました。
2011年3月11日 午後2時46分
あの低い声の男性が教えようとしていたんだと思います。
もしかしたら、私が幼稚園のときに亡くなったお父さんかもしれません。
まあ、言われた通り私が「にぶい」ので何もできなかったんですけど。
普通わからないですよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます