第5話

「なんとなく」

で,公務員とし役所で働いていたのはたったの三年。

今また

なんとなくで働き出したキャバクラの黒服…いや,おれにはボーイ(boy)の方が合ってる。ここも来年で三年になる。

生活リズムや変化はかなりあったが,一番強い衝撃は


今まで絶対関わる事の無かった人達といる


という事。


役所に金髪で巻き髪,濃いめの化粧できっちりしたスーツ姿

キャバクラにすっぴんに近い薄いメイクにほんのり茶色い黒髪で胸元があき,屈めばパンツが見えてしまう程短いドレス

それぞれの中身は大して差は無いのは知っているが,見た目は真逆の人達と今一緒にいる。

偏見は無いつもりだが

見た目と話す内容が一致してると今はどこか安心してるし,その逆だとどこか疑心を抱いてしまう

ある意味それぞれが自分の表現方法や気持がどストレートでいれるのかもしれない。



雪は毎日降り続け,靴はズボッと歩く度深く沈み店内に客を案内する度に

「ユウキ頭やばい事になってるよ」

と,待機中の女の子が頭上に積もった雪とおれの顔と客層を器用に交互に見てくる。


(さすがにこんなだと人少ないわ)

とは言わず

「さっむい…まぁ頑張ってきます」

と笑いかけてまた外に出る


たった一回マユと会ってから,数メートル先に居るんだよな…。それは分かっているが店が違えば余程でなきゃ会う事すら出来ないもどかしさが襲う。


どうやって笑わせようかな


それを考えると、寒さで擦り合わせていた両手に力が入るのか少し痒い


だがそれから三週間一度も顔を見る事はなかった。

心はしんしんと降る雪の様に冷たく静まり返っていた。

おれはこの仕事に就いたと同時に,人を好きになる事をやめた。

「なんとなく」ではない。


この気持ちはなんなんだろう…

むず痒くて仕方がない

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