第42話 ルナとの楽しい1日


 そして朝、朝食をとると、すぐに俺たちは外に出る。





 噴水がある、街の中心の公園。

 人通りが多く、にぎやかな場所。


「ルナちゃん。ここ、いい雰囲気だね!」


 その光景に思わずメルアが驚く。昨日までの人通りが多くてにぎやかな雰囲気とは違い、閑静で、人通りが少ない街なみ。


 人によって優劣はあるが、こっちの方が落ち着いていて過ごしやすい。


「なんか、物静かだね」


「うん、この辺りはね、人通りがそれほどないからあんまりごみごみしていなくてお気に入りの場所なの」


 噴水のベンチにちょこんと座っている彼女。


 そしてその美しい姿に俺たちは思わず見とれてしまう。


 まるでお姫様のような、落ち着いた印象の服。


 白を基調とした少しゆるゆるなワンピースで、色白で、おっとりとした印象のルナにはとてもよく似合っていた。


 派手ではないが、彼女の魅力がとても引き立っている。


「じゃあ、今日は1日、たっぷりと遊ぼうか!」


「う、うん!」


 飛び跳ねて喜ぶルナ。その姿にメルアが半仕掛ける。


「なんか、さっきより明るいね、ルナちゃん。こうやってみんなで遊ぶの、楽しみ?」


「えへへ、メルアちゃん。実は、こうして友達と遊ぶのって久しぶりで、緊張しドキドキしてるの」


 おっとりと、控えめな笑みを浮かべながら、ルナは立ち上がり俺の隣へ。

 読んでいた本を、肩にかけていたカバンの中にしまう。

 今気づいたのだが、バッグ自身もいろいろな飾りが飾られていて、どこか大人っぽい。


 彼女はおっとりぽわぽわで、幼い顔つきだから、どこかギャップを感じた。

 それはメルアも強く感じていたみたいで、興味しんしんそうにルナに詰め寄る。


「そういえばルナちゃん。その服どこで手に入れているの? すっごいルナちゃんにぴったりなんだけど~~」


「ぴったり? 本当に──、お世辞じゃなくて?」


「すっごいよ。大人っぽくて、綺麗でかわいいよ!」


「あ、ありがとう」


 ニヤニヤと喜んでいるのがわかる。

 俺もなんか言葉をかけた方がいいのかな? うーん、わからん。


「じゃあ、まずはお気に入り服があるんだけど、一緒に行かない?」


「いいよ~~。私も行ってみたい。大都会だから、いろいろな服とかありそう!」


 メルアが笑顔で首を縦に振る。またいろいろ試着とかさせられるのか。


「また服屋かよ。信一といった時以来だな。どうせならうまいものとか食いたかったのに」


「まあ、慌てなくても、腹が減ったら行くだろ」


「そうだな」


 ダルクは、ため息をつきながらも納得してくれた。俺は、こういうことは文香のデートという名のパシリで慣れている。


 大体何人もの人で行動するとき、全員が満足する場所なんてない。どこかで妥協しなくてはならない。今日の目的は、ルナと親睦を深めること、だからまずは、ルナが行きたいところに行かせよう。



 そして俺たちはルナに先導され、目的の場所へ。



 歩いて数分ほどすると、その場所はあった。


「ここだよ~~」


「おおっ。雰囲気出てるねぇ~~」


 その店を、窓の外からのぞき込む。中には店の中に、かわいいファンシー系の小道具が、所狭しと並んでいて、メルヘンな雰囲気をしていた。


「楽しそう。入ってみよー」


「うんうん」


 ノリノリな気分でメルアがドアを開けた瞬間、チリンチリンという音が鳴る。

 細かいところまで、いい雰囲気を醸し出している。


 これは期待が持てそうだ。


 店にはいろいろな洋服が並んでいる。見たことがない文字や、美しい女神さまの絵が入っている。

 流石は王都、俺が見ても個性的でセンスがいい服が並んでいるのがわかる。


 俺たちがその服に見とれていると、店の奥から店主らしきお姉さんが出て来た。


「この人が店主さんよ。紹介するね、友達のメルアちゃん」


「友達ですか。それはよかったです。ゆっくり見ていってくださいね」


 上品そうなお姉さんをしり目に、2人は意気揚々と売り物の服を見ながら会話を始める。


 ルナが明るい表情で、手に取ったのは、お嬢様のような、上品な服。フリフリがついていて、とてもかわいい服だ。


「私、いっつもこういう服着ているの!」


「ルナちゃん、落ち着いた服とか、似合いそうだもんね」


 メルアと一緒にいろいろな服を試着してりしている。やっぱり女の子同士だとこういうの楽しそうだな。


 楽しい服選びは1時間にも及んだ。互いにいろんな服を試着してこっちがかわいい。これが似合うと、ずっと話していた。


 その姿を見て、心の底から楽しそうだと感じた。昨日見た、どこかくらい、自分の運命に対する「あきらめ」が存在しているルナとは違う。

 これが、本当の彼女なのだと──。


 俺とダルクはいろいろと小物類を見ていた。2人の間に入れるような気が、しなかったからだ。


「ふー、買った買った~~。すごいいい店だね、さっすが王都は違うね」


「へぇー、メルアちゃんの故郷では、そういう店ってないの?」


「私の住んでいる村って、小さな村でね。こういうおしゃれな店ってあんまりないんだよー」


「そうなんだ。私、生まれてこの街から出たことないの。ちょっと行ってみたいかもー」


 う~ん。会話に入っていけない。完全に2人の世界になってしまっている。ダルクもそれを察していて、俺の隣でただ街並みを見ていた。


「なんか、入りずれーな」

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