第43話 まさかの、文香襲来
う~ん。会話に入っていけない。完全に2人の世界になってしまっている。ダルクもそれを察していて、俺の隣でただ街並みを見ていた。
「なんか、入りずれーな」
「うん」
けど、だからと言って蚊帳の外に居続けたら、いつまでたっても打ち解けられず、ボッチとなってしまう。それは、今までの俺の人生が証明している。
「それで、次はどこに行くの?」
ルナは、メルアとは打ち解けられたらしい。砕けた口調で、楽しそうに会話しているのがわかる。
俺たちも、会話に入らないと。
「そういえばさ、この街に本を売っている場所とかあるの?」
俺の質問にルナが言葉を返す。
「本? 信一君。本を読むのが好きなの?」
「ん~~というよりも、いろいろ調べてみたいことがあるんだ。俺の村だと、あんまり本のレパートリーとかが少ないから、ここに来た時にいろいろこの国のこととか調べてみたいって思ったんだ」
もちろん、それだけじゃない。ルナのことも調べてあげたいからだ。魔術や呪術に関する本を読めば、何かわかるかもしれない。
やれることは、何だもやってみよう。
「本屋さんの場所は知ってるよ。けど本は高くて買えないと思う。この道の先にギルドがスポンサーになっている図書館があるの。行ってみない?」
おおっ。それならいろいろなことが調べられそうだ。おまけにギルドがスポンサーなら、そう言った情報に関する本があるかもしれない。
「本当に? じゃあそこに行ってみたい。案内してくれるかな!」
「おおっ。信一君そこまで本が読みたいんだね」
「そうみたいだね、メルアちゃん。じゃあ案内するね。ついてきて」
そして俺たちは図書館へ。
ルナやメルアと、生活のことなどを離しながら20分ほど。
俺たちの世界で言うアヤ=ソフィア宮殿のような豪華絢爛な宮殿のような建物が俺たちの前に現れる。
「着いたわ。これが王立図書館よ」
「すごーい。大きくて豪華だねー」
メルアが、感激している。そのお通り、俺たちの村では見たことがないような大きな建物だ。
王国の威厳というものが保たれているように思えた。
すぐに俺たちは中に入る。入口には警備の兵士がいた。この世界で本はまだ貴重品。
盗まれたりする可能性を考慮しているのだろう。
俺たちは兵士に冒険者の登録証を見せる。すると、兵士の人はすぐに俺たちを通してくれた。
それから俺たちは中へ。
中は物静かな雰囲気で、いかにも上流階級そうな人たちが、優雅に本を読んでいる。
「じゃあ、私が軽く案内をするね」
そして俺たちはルナに連れられて図書館の中へ、読みたい本探しをする。
それから30分ほど──。
「なんか文字ばっかりの本だな。読んでいるだけで思わず寝ちゃいそうだ──」
「ダルクちゃんは、こんな本がいいんじゃないかな……」
そう言ってダルクが不満そうにぶー垂れていると、ルナが隣にやってきて、1冊の本を渡してくる。
「ダルクちゃんには、こんな本がいいんじゃないかな。これなら字を読むのが苦手ない人でも読めると思うよ」
そしてダルクは半信半疑でその本を手に取る。そして──。
「おおっ。これなら俺でも読めそうだ。かっこいい絵だなー」
ルナが渡したのは冒険者や騎士たちの活躍を描いた小説──なのだが、ところどころに絵が入っている。
カッコイイ騎士の絵、綺麗なお姫様や、必死で戦っている冒険者の姿が絵となって本のところどころに描かれている。まるでラノベみたいだ。
「これ、いろんな英雄たちの戦記物語で、子供たちに大人気なの~~」
なるほど、絵があるならダルクでも読みやすい。
メルアはいろいろな神話の本を読んでいた。
「えへへっ。こういう物語、私読んでみたかったんだ~~」
まあ、村にいたら縁がないような本ばかりだ。読んでみたいというのもよくわかる。
ダルクは、やはい文字が羅列している本は好きじゃないみたいで、人物画ら景色が羅列している本を読んでいた。
「すっげー、信一、これマグマって言うんだって。赤くてかっこいいよなー」
「そ、そうだな……」
そして俺たちが満足げに会話をしていた時にそれは起こった。
ドンドンドンドン!!
前方にあるガラス窓を、猛烈な勢いでたたく音が聞こえた。それに気づいた俺たちはその窓ガラスに視線を向けると──。
「あれ、文香ちゃんだよね──」
メルアの言う通り、文香だ。文香がまるで妖怪のようなすごい顔つきでこちらをにらみつけているのがわかる。
何やっているんだ。
まるでホラー映画のようだ。
時間にして数秒ほど。
ガラス越しに俺たちをにらみつけていた文香は速足でこの場から去っていた。
何がしたかったんだお前は……。ルナはキョトンとした後、恐る恐る俺に聞いてきた。
「こ、怖かった……。あの子、信一君の知り合い……なの?」
「ああ、それは、後で説明するよ」
「文香ちゃん。こっちに来てたんだ……」
「しつこいよなあいつ。好きなら好きって、やりたいならやりたいって素直に言えばいいじゃねぇかよ」
しかし文香の奴、俺たちをつけていたのかよ。全く気配しなかった。
ダルクも、もう少し大人になればわかるようになる。お前にはまだ、こういうことは速すぎる。
文香が何度もガラスをたたいたせいで、図書館の人たちがこっちに集まってくる。
しかし、いずらい雰囲気になっちゃったな……。
すると、それを察したかのようにルナのお腹が空いたとなき始めた。ルナは顔を真っ赤にしてお腹を押さえると、静かな声で、ただ一言。
「信一君。もう、お昼みたいだね。なんか、恥ずかしい……」
「そ、そうだね。とりあえず、昼ご飯を食べに行こうか──」
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