恩讐の終着点 その2
土煙を上げて立ち止まり、俺の方に向き直る。瞳は怒りに燃え体の筋肉は敵意に強張っている。
「やっぱり、
クッラを左右に翻しながら突進してくる。俺もミンタラ刀を逆手に持ち替え、低い位置からの斬撃に備える。
火花を散らし交わる刀身。ものすごい圧力だ。
右に左にと叩き込まれる娘の刃に峰をブチ当て凌ぎつつ。
「俺が殺したわけじゃ無いが、俺たちがもっと早く到着していればあの娘は死なずに済んだ。そういう意味では、殺したも同然だ」
一瞬動きが鈍った。この機は逃さない。手甲で覆われた手首を取って腕を絡めとり、その小さな体を引き寄せる。ふと汗がにおう。
「嘘を吐くな!汝が姉ェを殺したと、
ものすごい力で俺を引き離そうとする。こっちの腕がへし折れそうだ。
「そいつの方が嘘をついている。おまえさんを使いやするする為に、俺とお前さんの因縁を利用したんだろうよ」
娘はいきなり俺の顎めがけ頭突きをかまして来た。いい具合に直撃しよろけて腕を解いてしまう。角が刺さらなくてヨカッタ。
ところが、娘は折角距離が取れたというのに襲ってこなかった。
ただクッラを構え、俺を睨み。
「汝が姉ェを殺してないという証は!あるのか?!」
「お前さんが首から下げてるその角、お姉さんのだろ?それは俺がお姉さんに頼まれ切り取って、人づてに送った奴だ。お姉さんと一緒に売られそうになってた角有人の娘が、里が近いから持って行ってやるていうから頼んだんだ。ショニ族のチュナって子だった」
娘の顔からこわばりが消え、瞳が潤み始めた。
「チュナって折れた角の女の人か?」
「そうだ。片方が真ん中から折れてた」
しばらくの沈黙の後、娘が不意に口を開いた。
「姉ェは、どうやって死んだんだ」
言いたくはねぇが、話してやる他あるまい。それにあの子の死にざまは、誇り高いとされるネルワールにふさわしい物だと思ったから、包み隠さず話してやった。
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