第14話 僕の友達
「
カズシの剣の先から
ガカアアァ!
親衛隊の足元に黄色い衝撃が落ちる。
地面が砕け散って岩が周囲に飛び散った。
僕はその様子をハラハラしながら見ていた。
だって、あの恐ろしいグラン王国親衛隊に歯向かっているのだから。
それにしても、クールな表情で戦うカズシはカッコいいなあ。
「てめえ!」
親衛隊の中でも一番弱そうな奴(Aと呼ぼう)が、カズシに切りかかる。
それをカズシはヒラリとかわした。
行き場を無くしたAはゴミ箱に突っ込んだ。
「てっ......てめえ......!」
ゴミ箱から出て来たAの頭にはバナナの皮が乗っかていた。
「あはは」
僕は思わず笑ってしまった。
「貴様!」
笑われたのがイラっと来たのか、カズシではなく僕の方に向かって来た。
やべ。
カズシがいたから油断してたよ。
キィン!
だけど、カズシが僕の前に立ち塞がってくれた。
剣で相手の攻撃を受け止めている。
お陰で僕は攻撃を受けずに済んだ。
「うおおおお!」
Aが怒りに任せて剣を振り回す。
何か、無様だなあ。
「やめろ!」
親衛隊の中でも偉そうな奴(Bと呼ぼう)が、Aに声を掛ける。
Aはその場でピタリと止まった。
「よく見ると、カズシぼっちゃんじゃないですか」
Bはカズシを上から下まで見た。
なんだ?
知り合いなのか?
Bはからかうように、こう言った。
「平民の味方してると、叔父上であるタケル様に怒られますぞ」
「うるさいな。俺は弱い者いじめが大嫌いなんだ」
「綺麗ごとを言うな。あなたがそうやって自由に暮らせるのもタケル様の親族だからなのだぞ」
Bはカズシの肩を叩いた。
親衛隊は去って行った。
「カズシさん......」
「聞いただろう。俺はお前たち平民の敵なんだ」
僕は最初は複雑な気持ちだった。
カズシが憎きタケルの身内なんだから。
だけど、彼の態度を見ていると僕は気持ちが変わった。
それに彼は僕を助けてくれたしね。
「カズシさん、僕が何で商売をしているか話してもいいですか?」
「おお......」
「その前に、タピオカミルクティーどうですか?」
「おう」
僕らは店先のベンチに腰掛けて話した。
僕が商売をして金をためている理由。
カズシは黙って聞いていた。
「ケンタ。お前は俺の叔父に復讐したいわけだな」
「はい。すいません」
「謝らなくていいよ。あいつはお前に、それだけのことをしたんだからな」
カズシが笑ってくれた。
僕も笑った。
「俺のことも話していいか?」
「はい」
弱い者いじめをする親衛隊や父親、タケルに反抗して城を飛び出したこと。
自分で生きるためにギルドに登録して生活費を稼いでること。
などなど。
「お前のタピオカミルクティー、美味いな」
「ありがとう」
つづく
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