186●この国が良くなる気がしないのは、なぜだろう?➀国家予算をオール国債にしたら?

186●この国が良くなる気がしないのは、なぜだろう?➀国家予算をオール国債にしたら?



 元旦の屠蘇気分を吹き飛ばした、能登半島地震。

 今は三月半ば。

 あれからすでに、七十五日以上が経過しました。

 人の噂も七十五日……

 地震の悲惨な記憶は、北陸新幹線の延伸運航開始、というお目出度気分に上書きされて、もやもやと消え去ってしまったかのようです。


 某NHKでは、被災地の学校の卒業式など伝えて、復興の希望に燃える子供たちの笑顔なんぞを映していますが……

 悪いけど、見ていてゲンナリしますなあ。

 いや、子供たちの笑顔は、素晴らしい!の一言ですよ。

 問題は、映像に伝えられない、悲惨な現実が今なおドーンと存在しているはずだということですね。


 卒業式も結構ですが、こちらが知りたいのは、今、どれほどの地域に水道が復旧し、道路や電線が機能を回復して、あの不衛生な避難所生活を余儀なくされる人々が、仮設住宅などにちゃんと入居できたかどうか、で……


 そんな、肝心な情報が、某大リーガーさんのご結婚と韓国での初陣ゲームのお祭り騒ぎの陰に、見事に雲隠れしていることでして。



       *


ネットのニュース

●被災地の仮設住宅“2階建てや民間土地活用 戸数確保を”専門家

2024年2月15日 18時46分  NHKnews

能登半島地震で住まいを失った被災者について、県は、仮設住宅をはじめ、民間の賃貸住宅などを借り上げる「みなし仮設」や、県内外の公営住宅を用意することにしています。

このうち仮設住宅は被災地に建設されることもあって希望が相次ぎ、県によりますと、13日の時点で7411件にのぼっていますが、完成したのは58戸で、工事が始まったのは2227戸となっています。




 一か月前のニュースなのですが、入居希望7411件に対して、完成したのは58戸で、工事が始まったのは2227戸という現状ですから、「足りた」というにはほど遠いのでしょう。


 東日本大震災から13年も経て、一か月以内に効率的に設置できる仮設住宅がいかに不足し、その備えがほぼ皆無だった事実を物語るのでは。


 そしてもうひとつ、気になるのはボランティアの規模。



ネットのニュース

●能登半島地震ボランティア不足の背景…被災地入り自粛ムードの一因となったSNSアカウントの怪

2024 2/27(火) 8:01配信  集英社オンライン

能登半島地震への岸田政権の拙い対応の1つに、被災地でのボランティアの数の少なさが挙げられる。阪神大震災と比較するとボランティアの人数に圧倒的な大差がついていることを2月18日付の神戸新聞の記事は指摘している。


阪神大震災:発災後1か月で延べ約62万人

能登半島地震:2月16日までの発災後1か月半で延べ2739人

(*災害ボランティアセンターを通じた活動人数)


統計によると、能登半島地震のほうが約1.5倍の期間にもかかわらず、ボランティア従事者の延べ人数は阪神大震災のほうが200倍以上にも及ぶ。この背景として、能登半島地震では被災地入りを自粛するべきという主張を投稿したSNSが散見し、ボランティアさえも自粛するムードが蔓延してしまったことが考えられる。


       *


 ボランティアが少ない理由は、SNSの影響以外にも、現地の復旧が進まず、水道を欠いた状況で何日も継続して集団作業を行うことの困難さがあるとか、それゆえに現地の自治体でボランティアの人員を細かく管理して仕事を割り振るため、活動の自由度が極めて限られて、窮屈な感じであること……などが触れられたりもしています。


 しかし、マスコミが伝える、もっともらしい理屈なんかさておいて、本当のところは……



 それが本音であり、現実ではないでしょうか。


 1995年の阪神大震災のときは、発災後1か月で延べ約62万人。

 2024年の能登半島地震では、2月16日までの発災後1か月半で延べ2739人。


 この圧倒的な人員規模の差は、私たち一般大衆のボランティア意識とその誇りが、超格段に“萎えて”しまったことを物語っていると思いませんか?


 まだバブル経済の余韻が残っていた1995年と、その後の“失われた30年”で身も心もボロボロヘトヘトになり、ボンビー化した大衆の疲弊感、この著しい気力の差が、ボランティアの数字に如実に表れているのではないでしょうか?


 多くの人々が、自分一人の生活に精いっぱいであり、心のゆとりをなくしている。

 被災して苦しむ人々に手を差し伸べるどころではないという、哀しき現実。


 この国のメンタルは、タイタニック並みに沈没しようとしています。

 あの大ヒット映画を想い出してみましょう。

 人々を絶望から救うボートの数は、もともと少なすぎました。

 助かったのはハイクラスの船客ばかり。

 一枚の板きれは、彼女一人を救いましたが、彼は自ら水中に沈むしかなかった。

 一人に希望をもたらすために、もう一人は絶望を背負わねばならなかったのです。


       *


 いまや、より人口の少ないドイツにGDPで追い越された、ヘタレ国家ニッポン。

 これ、本当に由々しき失態なんですよ。

 戦争をはじめ、勝負事の多くは、いったん負けが込んでジリ貧になると、形勢逆転がものすごく困難になるものです。

 そもそも人生ってものが、そうですね。

 ツキを失って転落し始めると、そうそう簡単にV字回復なんて望めません。どん底まで行って辛酸を嘗め舐めする羽目になります。若き日のヒトラーがそうでしたし、政治家に転身して華麗なV字回復を遂げたように見えながら、彼は全世界をどん底へ叩き込むに至りましたね。


 人生、大体うまくいかないものですが、ヒトラー氏の二の舞だけは御免ですよね。


 この国も同じです。ハイルなナッチー化していった、あンときの第三帝国みたいになりませんように。


 で、21世紀の今のニッポン。

 GDPが細って、ボンビー地獄への無限ループにハマったかのような。

 国民の労働生産性がガックリと落ちたことを物語ります。

 「人手不足」が叫ばれながら、なぜか「希望退職」を募る大手企業も散見される、この矛盾。まったく不思議ちゃんな国ですね。


ネットのニュース

●2023年の最多リストラは「大正製薬」の645名、100名超は7社

    「不景気.com」より  2023年12月31日  

2023年に実施した人員削減策のなかで、その削減数が最も多かったのは「大正製薬」の645名でした。また、100名以上の応募者数が明らかになったのは7社で、2022年の8社から減少しました。

大正製薬ホールディングス645名、中外製薬374名、塩野義製薬301名

パンチ工業205名、ワコールホールディングス155名

今仙電機製作所154名、双葉電子工業116名


       *


 募集したよりもずっと多くの人が希望退職に応じたケースもあったようで……


 GDP低下の原因、一言でいえば単純。

 過去30年、働く人を粗末に扱ってきたからですよ、たぶん……。


 底辺の労働大衆が、みんなして、やる気をなくしているのでは?


 そこにヒトラー政権の前夜的な不安が、ドヨヨンと漂ってきています。

 この国、ちょうどぴったし百年前のドイツに似てきていませんか?

 第一次大戦で敗けて国家経済が破綻、ハイパーインフレに襲われてメチャクチャになった状況が、ひょっとして、この国にも近づいているのでは?

 ハイパーインフレとまではいかなくても、市民のささやかな生活を地震並みにぶち壊すようなエコノミックディザスターがノストラダムス的に忍び寄ってはいないだろうか?


 それも、真綿で首を絞めるように、ジワジワと。


 というのは、毎年のように繰り返される、国債という名の“国の借金”。

 国債残高は2008年では500兆円台だったのが、いまや一千兆円を超過。

 ABノミクス以来の十数年で倍増。

 国家予算は年間百兆円余り、その三分の一は赤字国債。

 それがたまりたまって……

 借金が年間家計の十年分だなんて、フツーの家ならとっくに破産してるはず。


 なのに、アーラ不思議。


 かつてはヤバイヤバイと言われ続け、このままでは国家が財政破綻すると警告されていたものが、ABノミクスのここ十数年で、いつのまにか元経済官僚の偉い先生がおっしゃるに 「政府の子会社の日銀さんがジャンジャンお札を刷って国債を買ってくれるからドンマイドンマイ、どんなに国債で借金しても、自分でお金を作れるんだから、ノープロブレムよ!」になってしまいましたとさ。


 なんだか、ゴート札を刷りまくるカリオストロ公国。

 でも、そんな、手品めいた論理がいつまで続けられるのやら……。


 だって、どこか、おかしいと思いませんか?


 日銀さんがジャカスカお札を刷ってくれて、それで国家予算の支払いがバッチグーで全然オッケーだというのなら……



 消費税も所得税も法人税もやめてしまって、百兆円以上の年間予算、全部国際発酵、じゃない国債発行でやっていけるではないか! 見よ、中東の金満王国みたいなタックスゼロ・ヘヴンの実現だ! これぞ21世紀のゴールデン・ジパング!


 ぜひおやんなさい、政府様。税金ゼロで三年も続ければ、国民の可処分所得は爆発的に増えて、みんなリッチー! 好景気間違いなしだよね。


 ただしハイパーインフレのリスクも沸騰するだろうけど。


 てことは、国家予算を全部赤字国債で賄うのでなく、年間予算百兆円の三分の一くらいに押さえていて、しかも焼け石に水でチマチマと借金返済しているのは、やっぱり、ハイパーインフレを引き起こして経済がドカンとボッチンするリスクがどこかにあるからってことなのかな?


 つまり、ここ十数年、この国がやっていることは「日銀さんのアンダーコントロールのもとで、緩やかなハイパーインフレを、じわりじわりと招きながら、毎年、その寸前で経済の壊滅的破綻を食い止めていくという、タイトロープな財政運営」ってことなのかな?


 あ、あくまでエコノミック・トーシロの私の個人的な妄想の世界でございます。間違っていても全然責任は持てませんよ。あらかじめお許しを。


 まあしかし、政府は「国債発行は無限にオッケー」な顔をしながら、国家予算をまるごと国債化しないということには、何か深ァ~い理由があるのでございましょう。


 その理由って、ホントのところは何なのでしょう。

 そこが不気味なんですよ。


      *


 さてお話を戻して、私たちがもう、人助けのボランティアに参加する意欲に萎えてしまうほど、人生の気力を失っていることは、最近のアニメの傾向からも読み取れるような。

 そう、非婚少子化の傾向、ニッポンのアニメを見れば一目瞭然なのでは?



   【次章へ続きます】




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