178●『2024能登半島地震』と二つの映画『日本沈没』(1973)(2006)。⑤奥能登はどうなる? 滅びゆくユートピア。

178●『2024能登半島地震』と二つの映画『日本沈没』(1973)(2006)。⑤奥能登はどうなる? 滅びゆくユートピア。



ネットのニュース

●馳浩知事、孤立集落の現状明かす 救助に難色の住民も「ふるさとへの愛着が本当に強くて」

2024 1/11(木) 20:49配信 スポニチアネックス

石川県の馳浩知事が11日、BSフジ「BSフジLIVEプライムニュース」に中継で出演し、能登半島地震による県内の孤立集落の現状について伝えた。

孤立集落から全員の救出を目指すのかを聞かれると、馳知事は「そこが一つの問題で」と答えた。「どうしても、“とりあえず水も食料あるから、ここに残っていたい”という方が極めてたくさんいらっしゃいます」と返答。「能登の皆さんは、ふるさとへの愛着が本当に強くて。だからこそ、数日前から“必ず帰すから、元に戻すから、今は命を守るためにまずは金沢に来て、ホテルに入って旅館に入って少し休んでくれ”と説得しているのが現状です」と話した。

「1つの地区に5軒ずつ、3軒ずつ、10軒ずつ、あるいは“ポツンと一軒家”的なものも含めたら、200近くのポツンと一軒家的なエリアがあるということなんです」。その上で「そこを一つ一つ、地図を元手に探しながら、携帯電話の位置情報を確認しながら探し当てているんです」と、地道な救助作業を明かした。


       *


 そういえば『ポツンと一軒家』は2019年当時に視聴率20%を超えて、競合するNHKの日曜大河ドラマを裏番組に蹴落とした人気企画。


 どうしてそんなに多くの人が視聴したのでしょう。

 不便な土地に住んでいて可哀想、とか、バカみたい……といった憐憫や蔑みの感情ではありませんね。そうだとしたら、そのうちだれも見なくなって視聴率は落ちたでしょう。


 やはり視聴者は、あの、不便で何かと大変な面はあるけれど、自然に囲まれて人間関係の煩わしさを遠ざけた“ポツンと一軒家”の生活に、なにがしかの憧れを感じているのではないでしょうか。

 マイナス面は多々あれど、それでも、どことなくそこに心のユートピアを求めて、惹きつけられてしまうのでは?


 たしかに不便で、生活は概して質素で、都会の水準からすれば貧しい部類かもしれませんが、“ポツンと一軒家”ならば、たとえ貧乏でも、そんなことを引け目に感じることなく、マイペースで自給自足すればいいだけなんですから。


 何よりも、他人との争いや軋轢が避けられます。

 ご町内の低次元なマウンティング合戦に巻き込まれることもなく、隣人との迷惑問題も、ほとんどなくなるでしょう。


 他人の目を気にせず、比較されず、比較する必要もない生活。

 悠々自適とは、このこと。

 宮沢賢治のイーハトーブを思わせます。


 これって、やはりユートピア。

 まあ若者向けではないでしょうが、老後はそんな生活を送りたい……と、しみじみ思いますね。


 そして文字通り、「リアル・ポツンと一軒家」ライフを送っておられた奥能登の人々が、住み慣れた家、住み慣れた土地を出なくてはならなくなっている……

 地震という天災が原因ですから、やむをえないとは思いますが、かといって奥能登の人々に責任があるはずもありません。


 「必ず帰すから、元に戻すから」と語られた知事の約束が、いずれ果たされることを願うばかりです。


       *


 しかしその願いが果たされずに、この先、奥能登から住民が離れてゆき、帰ってこれないまま無人地帯が広がってゆく可能性も、否定できません。


 あくまでも仮のお話、私個人の妄想ですが、被災した奥能登の多くの地域が無人化したとすれば……


 それらの土地が格安で手放され、何者かに買い占められるかもしれません。

 そこに現れるのは、ディストピア。

 大まかに、三つのパターンが考えられると思います。



➀ 民間業者に買い占められる。

 震災の復興、生活インフラの再建、それを支えるのは土木建築事業。

 となると、「復興」の暗黒面に必ず発生するのが「災害廃棄物」ですね。

 東日本大震災の時も、大変な問題になりました。

 災害による廃棄物を他府県で処理することに、それなりの反発もありました。

 そしてこの度の地震でも、倒壊家屋や家財道具の廃材化など、膨大な量の災害廃棄物が発生します。

 奥能登にぽっかりと出現する無人地帯は、その処分場に最適と目されるかもしれません。なにしろ、災害地に最も近い無人地帯なんですから。

 もっとややこしいのは、日本国籍のダミー企業を活用して、海の向こうの例の某国の資本に買い占められることです。

 名目はリゾート開発でしょうが、そうなるとは限りません。

 取得した土地をフェンスで囲ってしまえば、その内側は、実質的に治外法権の人外魔境みたいなもの。日本であって日本でなくなります。つまり国内の異国。

 そこに汚染性の廃棄物を山ほど捨てられても、電子戦装備や武器弾薬を持ち込まれても、これだけ不便な場所ですから、監視やチェックの目は行き届かないでしょう。

 いずれニッポンを侵略する橋頭保が、いつのまにか完成しているかもしれません。


 不用意に無人地帯を作り出すことは、日本国の主権の及ばない土地を他国に差し出す結果になるかもしれません。これは大いに憂慮すべきことです。

 とりわけ、日本海に面して、対岸の某国に近い、能登半島という立地を考えるならば……



② 国・自治体およびその関連団体に買い占められる。

 今、この国はある用地を熱心に探しています。

 言わずと知れた、原子力廃棄物最終処分場。

 地中深くに穴を掘り、使用済みの核燃料などをガラス固化してドラム缶に詰めた、激ヤバ物体を収納保管する。

 奥能登の多くの土地が公有地として買い占められれば、未来永劫のディストピアともいえるこの施設を建設する可能性が浮上するかもしれませんね。

 しかし震度7の大地震が起こる場所に、まさか? と思われるかもしれませんが、そこはそれ……


ネットのニュース

●活断層が連動で大規模化、3000~4000年に1回の規模

2024/01/10 00:15 読売新聞オンライン

石川県能登地方で発生したマグニチュード(M)7・6の地震について、東北大の遠田晋次教授(地震学)は9日、能登半島北側の活断層帯が連動し、強い地震を引き起こしたとの見方を示した。今回の地震の規模は、この地域で3000~4000年の間隔で発生するものだったという。



……ということで、「3000~4000年に1回」なんですから、核廃棄物を埋めたってドンマイ、ドンマイ、そこが大地震の被害を受けるのは早くとも三千年先?

 

 といったって、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、それに加えて上越地震に熊本地震、そして今回の地震を含めて、わずか30年のうちに、年末ジャンボの一等賞みたいに災厄がゾロゾロと大当たりなのは、確率的にどうなんでしょうかね?

「数千年に一回」の大当たりがこの先30年のうちに何回やってくるのやら……




     【次章へ続きます】


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