167●『ゴジラ-1.0』の疑問点と続編を妄想推理する。⑭続編はどうなるのか?
167●『ゴジラ-1.0』の疑問点と続編を妄想推理する。⑭続編はどうなるのか?
アメリカでも大ヒットの『ゴジラ-1.0』。
続編はどうなるのでしょうか?
気の早い話ですが、ここで予想してみるのも一興かと。
あくまで私の主観と偏見に基づく、無責任な妄想ですが……
*
まず、監督さんのことです。
山崎貴監督の劇場作品は下記の通り。
凄いのは、2009年以降はほとんど毎年、新作を発表されていることです。
それも、かなりの大作ばかり。
しかしこれ、ラノベでなく映画ですよ!
売れっ子のラノベ作家がブラックな編集さんに鞭打たれて死ぬ気で書きまくっているようなペースをはるかに超えるエネルギーと、そして資金力が投入されていると想像されます。
これが現在の、ありもの風景のロケで、特撮もなしで作られる低予算作品ならばともかく、いずれも丁寧にCGが描き込まれた高評価作ばかり。
思い返せばたいていみんな記憶に残っている話題作ですね。
つまり宣伝費も相当にかけて、作品周辺の情報量が格段に多いのです。
下記作品のうち三作ほどを除いて、山崎監督はほぼすべてで「監督・脚本・VFX」をこなされています。
監督の実力の物凄さと、社会的評価の高さが物語られていますね。
ジュブナイル(2000)
リターナー(2002)
ALWAYS 三丁目の夕日 (2005)
ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007)※
BALLAD 名もなき恋のうた(2009)
SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010)
friends もののけ島のナキ(2011)
ALWAYS 三丁目の夕日1964(2012)
永遠の0(2013)★
STAND BY ME ドラえもん(2014)
寄生獣(2014)
寄生獣 完結編(2015)
海賊とよばれた男(2016)★
DESTINY 鎌倉ものがたり(2017)
アルキメデスの大戦 (2019)★
ドラゴンクエスト ユア・ストーリー(2019)
ルパン三世 THE FIRST(2019年)
STAND BY ME ドラえもん 2(2020)
GHOSTBOOK おばけずかん(2022)
ゴジラ-1.0(2023)★
★印をつけた作品は、私の勝手な印象ですが、「背後に特殊なパワーが働いている感じのする大作」です。
他の作品とは異なり、桁違いにスケールの大きな“この国独特の特殊なスポンサー”が背景についているかのような奇妙なムードが漂っているということで……
『亡国のイージス』『ローレライ』『男たちの大和/YAMATO』(2005)、『出口のない海』(2006)、『俺は、君のためにこそ死ににいく』(2007)、『真夏のオリオン』(2009)、『日輪の遺産』(2011)、『空母いぶき』(2019)についても、どこか似た印象を受けます。「自己犠牲」という行為に対する徹底的な賛美というか、特殊な価値観が共通しているように感じられて、どうも気になりますが……
すべてフィクションなのですが、演出が巧みなので、うっかり史実として信じ込んでしまわないように気を付けるようにしています。
この種の映画作品の流れがこれからどうなるか、とても注目しています。
もしもその流れが断ち切られるとしたら、2022年夏のあの事件が関わっていたりはしないかと、個人的に妄想してみたりもしていますが……
それはさておき……
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また、※印の『ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007)』の冒頭で、山崎監督はゴジラ襲来の場面を描いておられますね。作品中の時代は1959年で、初代『ゴジラ』(1954)公開の五年後にあたります。
この時の監督の構想が、16年後の2023年に『ゴジラ-1.0』として結実したということでしょう。しかも、『永遠の0』の結末とドッキングする形をとって。
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そこで、小説版『ゴジラ-1.0』の最終頁。
「典子の首筋に、黒い小さな
このまま終わるはずがありませんね。
では、どのような続きが考えられるのでしょうか。
まず、監督の作品傾向から
山崎監督は、もともとVFX(CG応用の特殊視覚効果)制作畑からのご出身です。
前述した作品群でも、ほとんどでVFXを差配されています。
それも多くの場合、街並みや海洋などスケールの大きな背景に、艦船や航空機などダイナミックなメカが登場するタイプの視覚効果です。
とすると、続編でも「VFXの活用に最も適した時代背景」を選ばれるでしょう。
実写ロケで済ませられる21世紀の現代とか、近未来や近過去を舞台にすることは避けられるのでは。
とすると、「1947年の延長線の時間軸を舞台とするお話」となることが想定されます。
そうしますと……
(イ)『ゴジラ-1.0』の主人公たちのその後、1947年から後を描く。
(ロ)それから7年先の初代『ゴジラ』(1954)までの間隙を埋めるお話。
(ハ)初代『ゴジラ』(1954)のカラーリメイク&リビルド。
このイ、ロ、ハ、の流れがあり得るのでは?
ゴジラ歴代映画作品で、人気投票の一位に君臨するのは、やはり初代『ゴジラ』(1954)。
1947年のゴジラ退治を描いた『ゴジラ-1.0』は、このまま終わるのでなく、初代『ゴジラ』(1954)をリスペクトして、ストーリー上の矛盾を解消しつつ、初代『ゴジラ』へ物語を引き継がねばならないでしょう。
一方、初代『ゴジラ』(1954)は名作ながら、やはりモノクロ画面の物足りなさに対して、カラー化の需要があるはずです。
実際、初代『ゴジラ』を「著作権の保護期間が終了した」として、勝手にカラー化しちゃったみたいな映像作品がネットで販売されているらしいですね。
私も、カラー画面になった初代『ゴジラ』は一度見たいと思いますが、とりあえず色を付ければいいものではなく、同時に高精細なデジタルリマスターを施す必要があるように思います。
荒っぽいカラー画面は、かえって作品の空気感をチープにする恐れもあるでしょう。
となると、初代『ゴジラ』(1954)を単にカラー化するのでなく、ストーリーの大筋はそのままに、21世紀の映像技術と21世紀のキャストで作り直す(リビルドする)手法が考えられます。
つまり、1947年のマイナスゴジラ出現を踏まえた物語として、1954年の『ゴジラ』を“新作”として再制作するのですね。
初代『ゴジラ』(1954)には当時の探偵小説作家・香山滋氏が執筆された原作小説があり、1976年に奇想天外社から復刻されていたりしますが、この原作に書かれていて、映像化されていない設定(ゴジラを神と崇拝する“東京ゴジラ団”のくだりなど)を組み込んで、いわば「完全版」となるストーリーを映像にしてくれれば面白いのでは……と思います。
たとえば、『ゴジラ-1.0』の主人公たちのその後の物語はTVの連続ドラマにし、初代『ゴジラ』は完全版の『ザ・ゴジラ』とかのタイトルで、劇場映画として再制作する……というのはどうかな? などと妄想してしまいますね。
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映画をほぼ同じストーリーで再制作するパターンは、『ベン・ハー』(1925)(1959)(2016など)とか、『ルパン三世カリオストロの城』の隠しネタになったと言われる『ゼンダ城の虜』(1913)(1922)(1937)(1953)(1979……計五作も作られた)があります。
初代『ゴジラ』の
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山崎監督の前述の作品群をみますと、いくつかの傾向がみてとれます。
夫婦、親子、兄弟といった「ファミリー」の要素。
許されない恋、叶わぬ恋、といった「恋の儚さ」を感じさせる作風。
そして、SFファンタジーの雰囲気。
それらの傾向に沿った物語が1947年から、1954年の初代『ゴジラ』に向けて語られ、最後に初代『ゴジラ』のリメイク完全版となって締めくくられ、「ゴジラ誕生」を描く壮大な史劇を形成してくれるといいな……と、期待しています。
『ゴジラ-1.0』の主人公・敷島とヒロインの典子たちの後日談は具体的に予測できませんが、作品中の日本政府とGHQは、「ゴジラは存在していない」と、なにもかも無かったことにしようとするでしょう。
ですから、ゴジラの脅威を主張する敷島たちは大きな社会の壁に突き当たりながら、病床の典子を抱えつつ、社会に向けての新たな闘いに直面していくことになると思われます。
それに、敷島君と典子と、幼子の明子の“家族”としてのドラマは、まだ全然終わっていません。続編では三人が本当の意味で家族の絆を築き上げていく苦闘が描かれるのではないでしょうか。
やはり、続編が作られるなら、初代『ゴジラ』でたった一人でゴジラに打ち勝つことになる芹沢博士が登場されないと始まりませんね。『ゴジラ-1.0』の主人公たちと、若き芹沢博士の間に何らかのエピソードが生まれるのでは。
また、史実として、「1954年11月3日に初代『ゴジラ』が封切られる」ことは確かなのですから、1947年の『ゴジラ-1.0』の事件を受けて、「ゴジラは実在する」と主張する人々によって『ゴジラ』の映画化が企画され、いわば劇中劇の形で映画製作が進行する渦中に、本物のゴジラが現れる……というひねりもあっていいのではないかと思います。
着ぐるみでスクリーンに暴れるゴジラと、本当にリアルにその街を破壊してゆくCGのモノホン・ゴジラ。
両者が競演する場面が登場しても、決しておかしくはありませんね。
今後のゴジラの動向、とても楽しみです。
【次章へ続きます】
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