『ゴジラ-1.0』の疑問点と続編を妄想推理する。

154●『ゴジラ-1.0』の疑問点と続編を妄想推理する。①Youは何しにニッポンへ?

154●『ゴジラ-1.0』の疑問点と続編を妄想推理する。①Youは何しにニッポンへ?




 映画『ゴジラ-1.0』、2023年11月3日公開。

 記録的な大ヒット作となりそうです。おめでとうございます!


 恥ずかしながら、私は11月末現在、まだ劇場へ足を運んでおりません。

 歳を食っておりますと、人が密集したホール内は感染症リスクが怖いのです。

 コロナ君はもうすっかりマスコミに飽きられたようで、とんと報道されませんが、患者は出ているはずですし、コロナが原因で死亡する高齢者もおられるはずです。

 ただ、その情報が無いだけでして。

 外出時のマスクは必携。報道が無いだけに、かえって心配です。それに罹患して重症化して死んでも、だれも責任取ってくれませんしね。


 映画館へは、観客が空いたころに行くようにしています。

 グズグズしているうちに「もうDVDを待って、ゆっくり観るか」となる場合も。  

 自宅で観るなら寝ながらでも食べながらでも、トイレ休憩も自由だし。


       *


 それはともかく……

 ノベライズ版の小説『ゴジラ-1.0』(山崎貴氏著 2023.11.13 集英社オレンジ文庫)が出ましたので、先に読みました。


 映画はすでに絶賛の嵐ですし、賛辞の通り傑作だと思います。

 とはいえ……

 読んでいて、いくつかの謎や疑問点も気になり始めました。

 ファンの皆様の興ざめになると申し訳ないのですが、個人の感想として、メモしておきます。


※ご注意:ネタバレあり! 必ず事前に映画を観るか原作本をご覧になってから、本稿をお読み下さい。


       *


 2023年7月の時点で、“『ゴジラ-1.0』の物語を(公開前に)妄想推理する。”と題して内容の予測を試みましたが、見事にハズレました。怪獣退治の博士には吉岡秀隆氏が適役だと思ったことと、「特攻」を扱うことは当たりましたが……自己採点は20点くらいですね。


 しかしそんな、自分なりの予想がハズレた部分と『ゴジラ-1.0』の本編を照らし合わせますと、そこには素朴な疑問もいくつか出てくるわけです。

 以下、小説『ゴジラ-1.0』(山崎貴氏著 2023.11.13 集英社オレンジ文庫)の該当ページを参照しながら記述します。ちょっと批判的になりますが、何卒ご寛容のほどに……



       *



●疑問その1:「Youは何しにニッポンへ?」“ゴジラツーリズム”の不可解。


 ……『ゴジラ-1.0』は実写ゴジラ作品の第30作目とされますが、まあ大体ことごとく、Gさんはニッポンへやってきますね。たまにはアメリカへ出張してみたり、怪獣惑星にいたりしますが、原則的には日本へ、それもかなりの高確率で首都圏なり東京を襲ってこられます。

 なぜでしょうか?


 Gさんにとって、ニッポンのどこがいいのでしょうか。


 格別にブチ壊したい建築物や、踏みつぶしたい人々がいるから、なのでしょうか。

 それとも風光明媚な観光地や、おいしい食べ物を円安でリーズナブルに満喫できるから?

 30作を経ても、未だに根本的な謎です。

 お呼びでもないはずなのに、ことさらにニッポンを訪れるお邪魔怪獣……そんな、ゴジラツーリズムの本音とは?


 1954年の第一作で東京を狙い撃ちしてくるのは、たまたま偶然そうなった、で通りますが、さすがに70周年を迎えるまでになりますと、偶然が重なったにしては不自然ですね。

 子供向けエンタメとしての“お子様ゴジラ”作品なら「壊し甲斐があるから東京へ来るんだよ」で許されるでしょうが、オトナ映画であるならば、そこんところ、納得のいく説明が欲しいものです。

 もっとも、1960~70年代の怪獣映画は、お子様連れのファミリー層が主な観客層でしたから、国内の観光地とタイアップして、名所旧跡を絶妙に避けながら“壊し”を実施することで「ゴジラ様御用達」をアピールして、ご当地を宣伝する性格もあったと思われます。文字通りのゴジラツーリズムですね。ただし国内用の。


 しかし1984年に新規巻き直しで再出発した『ゴジラ』以降は、G様に観光案内をしていただく趣旨は薄れて、戦争や大災害を化体する怪獣の恐ろしさと、その防衛手段のせめぎあいを見せるバトルエンタテイメントの要素が正面化しましたね。

 とすると、やはりGさんがやってくる理由が必要となり、納得のいく事情として、「原発の燃料を食べるため」というのがありました。ただ、2011年の大震災のあとは、フクシマを連想するため、原発狙いはやりにくくなったことと思います。


 それなら、最初から東京に“ゴジラの卵”みたいなものが、政治的な陰謀なんかで持ち込まれて、都内でオトナゴジラが爆誕すればいいのではないか? という発想が出てきます。

 『シン・ゴジラ』(2016)はその点、素晴らしい解決がなされていましたね。最初から意図的に、東京湾内でゴジラを誕生させたのですから。


 この点、『ゴジラ-1.0』は不可解です。

 ゴジラは何しに東京へ?

 この基本的な疑問には全く答えずに、スルーしているのです。


 この回答は、欲しかったですね。




       *




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