番外:その他……セレブリティ讃歌

99●その他:セレブリティ讃歌① 彼女へ至る長い道。

99●その他:セレブリティ讃歌① 彼女へ至る長い道。





 番外の“その他(生活雑感)”です。

 以下は全て“個人の感想”です。

 内容に責任は持てませんので、あらかじめご容赦下さい。



       *


 デスクワークのとき、BGMはつきもの。

 音を楽しむだけでなく、車の通行や近所の工事とかの雑音を消すためにも、必要不可欠ですね。


 引っ越しは何度かしましたが、自分の部屋にはいつも、高さのあるラックを置いて、その手前に机をくっつけるスタイルとし、目の前の棚板にラジカセなどを置いて音を出しております。皆様はどうされているでしょうか。


 当方、オーディオマニアではありません。ド素人の音痴です。巨大なハイファイセットを構築する予算もスペースもありません。よってBGMの音源は、デスク正面の横幅80センチほどの棚に載る機械に限られます。

 ですから、若い頃からもっぱらラジカセの類。

 低音重視なので、ウーハーなスピーカーがデンとついた、四ツ目のデブいラジカセを使っていたのですが、どこか不満があって、買い替えてしまいます。

 なんか、物足りない……


 五代目あたりで巡り逢ったのが、米国製の中古の坊主ボーズさん。

 そうです、ネットオークションで買えるようになったのです。

 ラジオ専用でCD機能のついてない、ウェーブレディオという坊主さんだったので、ネットで同じ坊主様のCDプレーヤー単品を買い、外部入力でつなぎました。

 双方合わせて一万円程度と、お安く済むのも魅力です。

 さすが、中古ちゅーぶるとはいえ名だたる坊主さん。

「おおっ、これでキマリだ!」と感動しました。

 当時は主にアニメ音楽を聴いておりましたが、全く別次元の音曲になるのです。

 音が、響く。クリアな感じはそのままに、音場がフアッと広がる感じですね。

 サクラ大戦の『御旗のもとに』『地上の戦士』、ガオガイガーやガンバスターなど、田中公平先生系列の作品がとってもフィット。

 聞き惚れてしまいました。

 まあ、国産機の二~三万円台新品と、中古の五千円坊主様の比較ですが、断然、坊主様が偉大だったということです。当たり前の結論ですが。

 すると人間、欲が出るものです。


 坊主様はコンパクトなのも魅力ですが、どうしても重低音が、今ひとつ。

 段ボールの箱で囲うように加工して、反響を改良しようと試みましたが、うーん、もう少しなんとかしたい……

 そこで次は、同じ坊主様系列の「AW-1」なる高級機に手を出しました。

 といっても中古で、五千円以下ですが。

 このお姿はさすがで、従来型の坊主様を二段重ねにした“お重形じゅうがた”ともいうべき重厚さで、スピーカーの穴も四ツ目。進撃の巨人がつまんで食えるサイズのバームクーヘンを半分に切ったような印象で、いかにもパワフル。

 三号戦車とティーガーくらいの差がありますね。ガルパン的には。

 さすが坊主様、見た目は伊達じゃなく、八八ミリアハトアハトな中高音がズダン! と轟きわたります。


 しかし坊主様、ひとつ致命的な欠点がありました。

 壊れやすい……


 もともとネットの中古品、二十年ほど過ぎたお年寄りばかりで、わが家を“ついの棲家”か、終末ホスピタルに提供しているようなものです。

 ある日突然に沈黙。CDプレーヤーもAW-1も、次々に哀れご臨終となりました、チーン。

 幸い、最初に入手した最も旧型のウェーブレディオは健在、やっぱりシンプルは長生きってことなんですね。人生もきっとそうです。


 そうこうするうちに、新型の坊主様が正価でうちにやってきました。

 正価ですよ、正価。「坊主ぼったくり」なんちゃって。

 妻が坊主ファンになり、大人買いしたんですね。

 旦那がいつまでも「安物買いの銭失い」しているので、見限ったようです。

 さすが新品、凄いのなんの。

 居間の中央に陣取って、そこだけ神棚化してしまった特選スペースから奏でられるクラシックの豊かなこと。

 ここで極楽に到達かと思いました。


 とはいえやはり、壊れやすいデリケートさは血統だったようで……

 CD機能は、五年目あたりで昇天なさってしまいました。

 まあ、中古の国産CDプレーヤーを外部入力で繋ぎましたので、それで遜色はありませんが。

 もっとも、私の耳が音痴なので、違いがわからないだけでしょう。


 それに前後して、偶然ネットで見かけたのが……

 ソニーの『セレブリティD-3000』。


 まずは一目で、へえっと注目、感心させられる、その外観。

 フロントフェイスのほぼ全面を覆う、布製の黒ネット。

 黒ネットの裏には、左右端の高音スピーカーの間に、22号電探とメーサー砲を並べた感じの頼もしいウーハーさんが首を揃えています。

 左右両サイドは磨き上げられたマホガニー、いかにも古風です。

 懐かし昭和の木目調ステレオの伝統が残されていますね。

 最小限のツマミ類は、いかにもアナログ。

 “Celebrity”のエンブレムと“GIUGIARO”の表記だけで、ソニーのロゴは見せない奥ゆかしさ。

 なんとジウジアーロ氏のイタリアンデザインとは、ありがたや……

 大きさは、左右幅が51cm、高さは21 cm、奥行きは24cm。重さは11.5 kg。

 坊主様より二回り大きく、そして重い。相当な重量感です。中身ギッシリですね。

 軽薄短小をめざすケータイ哲学とは明らかに真逆のポリシー。

 用途としてはラジカセ(ただしカセットでなくCD)なんだけど、置いたら最後、移動不可の重厚長大。

 重くてブ厚い大艦巨砲主義への先祖帰り。

 ラジカセ界の戦艦大和かティルピッツか。

 ニッポン保守本流のプライドですね。

 これぞガラパゴスオーディオだ!




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