56●『グランド・ツアー』(3)……時間SF映画あれこれ。
56●『グランド・ツアー』(3)……時間SF映画あれこれ。
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さて余談ですが、世に数ある時間SF映画、TVドラマやアニメなど、探せば他にも面白い作品が目白押しです。
思いつく範囲で挙げてみますと……
洋画では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985.89.90)が筆頭に挙げられますね。1950年代の美少女ロレインに扮するリー・トンプソンさんが
ただ、彼女の美少女ぶりは、翌年(1986)の映画『スペースキャンプ』のキャスリン嬢が本命でしょう。とはいえすでに1983年の『トム・クルーズ/栄光の彼方に』で披露された体当たりの演技に感嘆させられます。実年齢に束縛されず、さまざまなタイプの少女に見事になりきる神演技に注目です。
国内では筒井康隆先生の原作になる『時をかける少女』(1983、リメイクが1997と2010。このほか実写テレビドラマやアニメ版(2006)に加えて、舞台化もされています)が鉄板の大定番ですね。
この二つの作品群、東西の横綱級メジャー作品といっていいでしょう。
さらに振り返れば……
元祖ウェルズのSF小説を原作とした……
『タイム・マシン 80万年後の世界』(監督、製作:ジョージ・パル、1960、なおリメイク版が2002年)。
この傍系作品とも言うべき『タイム・アフター・タイム』(1979)もなかなか小粋な佳作でした。
そのほかにも……
『ある日どこかで』(1980、リチャード・マシスン原作)はカルト的な名作。
『ファイナル・カウントダウン』(1980)
『フィラデルフィア・エクスペリメント』(1984)
『ターミネーター』(1984)とそのシリーズ。
『スター・トレックⅣ 故郷への長い道』(1986)はコメディタッチの快作。
『12モンキーズ』(1995)
『アーサー王宮廷のヤンキー…時を越えた騎士…』(1995)
『オーロラの彼方へ』(2000)、
『イルマーレ』(韓国2000、米国で2006にリメイク)
『タイムライン』(2003、マイクル・クライトン原作)
『バタフライ・エフェクト』(2003)
『サウンド・オブ・サンダー』(2005)
なお、ファンタジーの風合いが強い作品として……
『ジェニーの肖像』(1948、ロバート・ネイサン原作)は、ちょっと特別な逸品といえるでしょう。
テレビドラマでは、やはり『タイムトンネル』(1966-67)を避けて通れません。
タイムマシンという装置を、あくまで20世紀の科学力で実現したように見せてしまうスケールの巨大さと、絶大な質量感で描写した造形力に拍手!
そりゃあ、“アリゾナ砂漠”とやらの地下数千メートルの巨大科学センターに、おそらく原子炉も気前よくポンポンと設置して“建設”したマシンですから、リアリティは最高。これなら本当に時間旅行ができそうな気にさせてくれます。
据え置き型のタイムマシンとして、タイムトンネルに勝る傑作メカは、後にも先にもないといった感じですね。
一方、国内では……
『戦国自衛隊』(1979)
『ゴジラVSキングギドラ』(1991)
『THE WINDS OF GOD』(1995)
『Love Letter』(1995):『イルマーレ』(韓国2000)の参考作品として。
『TIME LEAP タイム・リープ』(1997)
『リターナー』(2002)
『サマータイムマシン・ブルース』(2005)
『戦国自衛隊1549』(2005)
『
『バブルへGO! タイムマシンはドラム式』(2007)
テレビドラマですが、『JIN-仁-』(2009)は大ヒットしましたね。
『テルマエ・ロマエ』(2012、続編が2014):温泉旅行と時間旅行の絶妙MIX。
『青天の
テレビドラマの『アシガール』(2017)
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017)
『夏への扉 -キミのいる未来へ-』(2021予定)
などなど、“時間SF”の映像作品は意外に人気、すたれることのない定番ジャンルとして、コンスタントに発表されているようです。
洋物のアニメ作品では、フランス製でお洒落な作風の『時の支配者』(1982)がありました。
国産アニメでは……
古くはTVシリーズで『スーパージェッター』(1965-66)がありますから、日本人、伝統的に時間旅行がお好きなようです。
『タイムボカン』(1975-76)とか『ドラえもん』(1903、1979-、2005-)、『キテレツ大百科』(1987-96)のシリーズでは、タイムマシンが日常的なギミックとし て多用されています。そして……
『アベノ橋魔法☆商店街』(2002)、
『ジパング』(2004-)、
劇場アニメでは『時をかける少女』(2006)、
『マイマイ新子と千年の魔法』(2009)、
そしてあの国民的大ヒット作『君の名は。』(2016)ですね。
『君の名は。』については別章で触れますが、やはり最大の功績は、それまで『時をかける少女』と『戦国自衛隊』のイメージに席巻されていた国産の時間SFから脱却をはかったことでしょう。
明らかに“時かけ”と“戦自”とは異なる世界観を、しかも超絶の美しさで描き出されたことが、観客から喝采を持って迎えられたものと思います。
なお、やや特殊ですが、TVアニメ『シムーン』(2006)に描かれた時間移動は、異色であるとともに出色の出来です。少女たちの青春の儚さと永遠性を見事に描き上げた、21世紀で最高の“超”のつく傑作だと思うのですが、詳しくはいずれ改めて……
【次章に続きます】
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