第42話 現代日本編

「どうしてですか、社長。どうして、担当者が変わっただけで、うちとのプロジェクトを降りるんですか」

 篠宮は、絶叫していた。


「葛城君なら、まだしもうちの社運を賭ける一大プロジェクトの担当がキミに変わったからだよ。篠宮君?」

「無礼なことをしてしまったなら、謝ります。しかし、葛城は、コンプライアンス上の重大な違反によって解雇されてしまったんです。だから、彼女を呼び戻すことは不可能なんですよ。わかってください、社長」

「プロジェクトの副リーダーであるキミのことは葛城君からよく聞いていたよ。でも、キミはうちにほとんど顔を出さなかったじゃないか。うちの会社の何を知っているというんだね? 強みは? 弱みは? 主な取引先は?」


「それは――」


「即答できないじゃないか。キミにとっては、うちはしょせん大きな資本力と技術力があるATMくらいにしか考えていないんだろうね。葛城君なら、さっきの質問にすぐに即答できていたよ。やはり、キミは信用できない。キミは、たしか彼女の婚約者だったはずだよな。調べさせてもらったよ。どうやら、キミの告発が葛城君の解雇の発端みたいじゃないか。婚約者を売るような男は、信用できないんだよ。帰ってくれ」


「しかし……」


「何度も言わせるな。私は早く帰れと言っているんだ」

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