第12話 女の子って、大変なんだな
胸を鷲掴みにされ、カップの中に胸の肉が入っていく。
そして胸をつかまれた時──。
「──あっ、あんっ──♡♡」
「ちょっと、声抑えなさいよ。襲ってるみたいじゃない」
無理だよ、つかまれれた瞬間、胸全体が妙な感覚に襲われてしまう。
ジンジンとした、体の中から何かがわいてくるような感覚。
初めての感触に声を出したくないのに、喘ぎ声が自分の意志とは無関係に出てしまうのだ。
「ほら、これで終わりよ」
初めての感覚に戸惑い、困惑する。胸の部分がすっぽりと入る、窮屈ではあるが、体を優しく包まれたような感覚、違和感を感じてしまう。
「これで大丈夫よ。もう──、あんた胸大きいんだから、その大きさでノーブラ何かやったら、走った時とか、胸が痛くなって走れなくなるし、胸、垂れるよ」
「まあ、それはわかるけど──」
パージの言うことは、正論だ。
現にここに来るまででも、胸の重さや揺れ、軽い痛みを感じた。ましてや昨日みたいに激しい動きは出来ない。誰かに教わらないととは考えていたのでちょうどいい機会ではあったが。
「ちゃんとしたやり方でやらないと変な人に見られちゃうよ。これ、毎日やるんだからね、出来るようになりなさいよ」
あまりの慣れない行為に俺は疲れ切ってその場にへたりこむ。
「女の子って結構大変なんだな……」
「そりゃそうよ。かわいさを保つのはタダじゃないんだから」
パンツもそうだが、胸がすっぽりと包まれる感覚は、自分の性を強調されているようで今も違和感がある。これからも、大変なことはあるかもしれない。
これを毎日、大変だけど頑張ろう。
「じゃあ今日の所はこれくらいにしておくわ。慣れないと思うけど頑張ってね」
パージが陽気にウィンクしながら一言いうと、彼女の姿が蒸発するように消えていった。
世の中うまくいくことばかりじゃない、乗り切っていこう。
そううまく気持ちを切り替え、サナの家に戻る。
サナの家に戻った後、俺達は朝食を済ませた。
サンドイッチにサラダ、フルーツとアイスティー。流石に俺達の世界と比べると質素な見た目だったが、1つ1つサナなりに丁寧に作られているのが分かる。
「私、そこまでお金持ちじゃないから。こんなものしか用意できないけどいい?」
「そ、そんなことないよ。とてもおいしそうだし、ご飯まで用意してくれてうれしいよ」
両手をぶんぶん振りながらお礼を言うとすぐに朝食を食べる。とてもおいしい。
そして食器を洗い準備を整えると俺達は外に飛び出していった。
物静かで人通りが少ない道を歩きながら俺はサナに話しかける。
「今日はどこに行くの?」
「魔法少女の登録と、みんなへのあいさつかな」
魔法少女の登録、何だ? 聞いてみるとこの世界には魔法少女専用のギルドがあるらしく。そこに登録しないと仕事を受けたりできないとのことだ。
「仕事? いつもそこで仕事してるってこと? そういえば、魔法少女って普段は何をしているんだ」
「普段はね、普通に市民として暮らしてるよ。けどね、この地方だとね、たまに幻虚獣っていう敵がいて、出現したときに召集令がかかるから、その時に魔法少女になるって感じかな」
そして
通常の剣や弓などの兵器ではかすり傷1つ負わせることができず、魔法少女が使う魔法でしかダメージを与えられない。
姿かたちは動物やドラゴンなどの形をしていて何種類もあるそうだ。
そしてもう1つが 定期的に試合をしたり、トーナメントをしているらしい。一般人には俺たちの世界でいうサッカーや野球観戦のような存在なのだろう。魔法少女にとっても普通に働くより金が稼げるし、幻虚獣がない時でも戦闘ができて腕試しができるという利点があるという。
そして、いろいろなことを話しながら、俺たちは目的の場所にたどり着く。
にぎやかな繁華街のはずれ、俺達が歩いてきた道の正面にある大きな建物。
「この建物がそうなの。この街の魔法少女達が集まるギルドで、ここの登録がないとレート戦も出来ないし、魔法少女の仕事を請け負う事も出来ないの。だから魔法少女たちはみんな登録してるの」
俺はギルドの扉を開ける。
キィィィィィィ──。
「おはようございます」
カウンターに受付の人らしき人。長身でロングヘアーの上品な印象のお姉さんだ。女の子しかいないのか、組んだ足から下着がほんの少し見えていたり、服装もちょっとはだけていてどこかセクシーに見える。エロい……。
「おはよう。今日はアグナムちゃんの登録に来たの。この人が受付のエリムさん。お世話になるから挨拶して」
「あ、アグナムです。今日からここで魔法少女になります。よろしくお願いします」
するとエリムさんは足を組みなおした後、にこっと笑うと俺の頭をなでなでし始める。
「へぇ~~、あなたが~~あのユピテルを倒したって話題になってる期待の新人さんかぁ~~。結構かっこよくてー、私好みねぇ~~」
おっとり、ゆったりとした、街中で突然話しかけられてもすぐにわかるくらい独特な口調で話しかけてくる。
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