第11話 パージ、どうしてくれるんだよ!

 翌日、朝食を食べた後、サナにひとりで散歩に行かせてほしいと頼む。

 サナは首を縦に振り、外へ。やってきたのは昨日俺がこの世界に召喚されたところの教会。

 地下にある俺が初めて来たときの部屋が目的の場所だ。


 そして俺が教会の人に許可を取りその部屋に入る。

 窓は無く、ランプで照らされた薄暗い部屋、壁には女神達の絵が描かれている。地面には神秘的な幾何学模様。


 そして数秒立つと。部屋の中心が光り始め、のこのこと現れ始める。

 金髪でロングヘアのゴズロリ衣装。女神のパージだ。


「おはようアグナム。調子はど──」


 ビシッ!


「痛い、何すんのよ」


 間髪を入れずにパージの頭にチョップを軽く見舞う。


「何って、サナに俺が男だったって教えなかっただろ。どうしてくれるんだよ」


 俺は顔を真っ赤にして詰め寄る。これが言いたかった。おかげでサナは俺の前で下着姿になってしまった。俺が男だってことが言えなくなってしまった。最初に伝えるべきだったんじゃ無かったか?

 しかしパージに悪びれたり罪悪感を感じているような様子はない。


 平然とした顔つきで言葉を返す。


「教えなかったって、それで何か問題でもあるの?」


「あるに決まっているだろ。サナのやつ。俺を女の子だと思っているせいで顔を近づけてくるし、すぐに抱き着いてくるし、俺の前で平気で服を脱いでくるし」


「それはよかったじゃない。毎日がパラダイスってことじゃん」


「よくない!! 毎日理性を保つのが大変なんだぞ」


 ラノベの世界じゃないんだぞ。この女神、不真面目だな――、本当に大丈夫か?

 心配になってきた。


「っていうかわざと知らせなかったの? それなら詐欺もいいとこだぞ」


「別に? 都合の悪い真実を意図的に知らせなかっただけよ。嘘をついていないし詐欺でも何でもないわ」


「それは詐欺というのでは?」


 やっぱりわざとだったか、しかしどうしようか。俺の理性、持つかな……。


「それとも今から教えて来ようか? 彼は実は男だって」


「もう遅い。下着姿だってもう見ちゃったんだぞ? 今から男ってばらしたら俺、変態扱いされるだろ」


 いまさらそんなこと言えるわけがない。おまけに昨日は一緒に寝たし。


「変態じゃない。男の子なのに魔法少女に憧れていたんでしょ。あなたの部屋を見せてあげようか。みんなどんな表情をするかしらね」


「ちょ、やめください。俺のこの世界でのイメージが大暴落不回避なんで」


 額から冷や汗がこぼれる。確かに俺はゲームをしているうちに少し魔法少女を好きになってフィギュアとか同人誌とか持ってる。下手をしたら捕まるかもしれない。

 シャレにならない、本当に変態扱いされるからやめて……。


「言わないわよ。私の大海のような慈悲深さに感謝なさい」


「ああ、わかったよ」


 今のやり取りで俺はパージと言い合いをするのをあきらめた。何を言っても無駄だと気付いたからだ。


「それで、以前の世界とは違って周囲に溶け込めたり、サナや友達たちと親睦を深めたりはできそうなの?」


「さっきからひと言多い女神だな。ま、サナがああいう性格だから、ボッチにはならないと思う」


 サナには感謝だ。明るくて俺の事を気にかけてくれる存在。俺達の世界でも学年に1人、性別やヒエラルキーに関係なく誰とでも明るく会話できる女の子いたが、彼女がまさしくそのタイプだ。

 彼女が隣にいれば、俺が孤立してしまうことはないはずだ。


「それはよかったわ。ま、大変なこともあるだろうけど頑張ってちょうだい。それと、元の世界の方は、私がうまく調整していたわ。誰も悲しませないようになっているから、安心して」


「そうか、ありがとう。これで心置きなくこっちの世界に集中できるな。」


 向こうの世界で行方不明扱いとか後味悪いもんな。


 俺がそう決心しているとパージはゆっくりとドアの方へ歩いていく。

 そして、ガチャン──と、入り口のドアを閉める。


「な、なんだよ……、突然ドアを閉めて。間違いでも起こすつもりか?」


 突然の出来事に2,3歩後ずさりすると、パージは目をギラギラとさせ、にやつき見せながら俺に迫ってきた。


「そ、そんなことしないわ。けどあなたには欠けている物があるから、それをレッスンしないといけないわ」


 そして何と俺の背後に回り込んで。


「じゃあ始めるわよ~~」


「な、何を??」


 ピッ──。




 パージが指をはじく。すると衝撃の事態が。


「あれっ? 俺、裸?」


 なんと服がいきなり消滅してしまったのだ。いきなりのサービスシーンに俺は胸と下の部分を手で覆い隠す。

 着ていたはずの服はドアの前に綺麗にたたまれた状態で出現している。


 パージはにやりと笑い俺に接近。




 そして……。






「胸の肉をね、カップに引っ張るようにして入れるの。こうやってね、脇のあたりに流れてる肉を寄せ集めるようにしてカップに入れる感じ」


 パージが俺の大きな胸をぎゅっとつかむ。初めての感覚に俺の思考がフリーズしてしまう。


「ちょ、ちょっと。あんまりせかさないで」


「我慢して、すぐなれるし、もう終わるから」


 パージが教えたかったもの。

 それは下着のつけ方だった。女の子になって間もない俺は、正しいやり方を当然知らない。

 今朝着替える時もどうやってやればいいか分からず結局ノーブラで過ごしているのだ。


 胸を鷲掴みにされ、カップの中に胸の肉が入っていく。


 そして胸をつかまれた時──。

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