第18話:幕間(準備)
「準備がこんなに大変だったんだ……」
「流石に魔界ですからねえ」
「準備は完璧でも足りないくらいだと思う」
三人とも念入りに準備を整えていた。
私は魔界は意外と俗っぽいのを知っているので重装備はしない、食料用のショートブレッドと水筒を用意したくらいだ。
ちなみに水筒は1日分くらいしかない。魔界にも河や池はあるので浄化魔法で現地調達すればいいからなあ……
――タルト
「まずはメッセージを残してっと……後は遠くに行くとお父さんとお母さんに手紙を書いて……と」
遺書も同然のメッセージをもし自分が帰ってこなかったら父母に届くように郵便屋に依頼をしてから重装備を集め出した。
数日分の水、干し肉、魚の塩漬け、等々保存が利きそうな食材は片っ端から集めた。
それから綺麗にした野営の道具を用意していた。
例え安全と言われたとしてもそれほど信用がおけるのか? ということと、友達を信じないの? と言う二つの気持ちの板挟みになっていたが、村に『軽々』井戸を開けたウィルを信じてそれ以上の用意は辞めて体調を整えるのに残りの時間を当てることにした。
――フロル
「食べ物食べ物たべもの食料……と、このくらいあれば少しは持つかな?」
フロルは食料に極振りした準備をしていた。
乾物から漬物、乾燥小麦粉、よく揚げた揚げ物を密閉して……まだ絶対量の少ない缶詰も買い込んでいた。
「ウィルは強いけど感覚がなあ……あの子の感覚に合わせたらなにが食事になることやら……」
ウィルの強さへの信頼はあってもその味覚への信頼は一切無いようだった。
――アン・チェンバーズ
「お父様とお母様への手紙はしっかり残しておかないと……なにせこの世界で最高に近く偉大な方と大冒険をするのですからね!」
アンは意外と野心家で功績を残すことに気を使っていた。
もしアンが歴史を変えるようなことになれば彼女の家の格も上がる……ひいては父母兄弟姉妹皆のためになるのだから必死だった。
彼女の家へ引き留めの書簡が届く頃にはもう家を後にしていたのだった。
こうして三人の念入りな準備と一人の軽装を整えて四人でいつもの部屋に集まった。
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