2022年6月28日 棟方志功記念館が2023年度末に閉館

青森市の棟方志功記念館が2023年度末に閉館すると正式発表。地元紙は勿論Yahoo!にも共同通信にも乗るし、結構な波紋はある模様。


棟方志功が死去した1975年に開館し、2023年迄の長らく。この間に棟方志功の鎌倉のアトリエを改造した「棟方板画館」も並行していたが、2010年に棟方志功記念館に合併している。ただ個人記念館としては十分な役目を終えたと思う。


いや、その前に東奥日報がスクープした経緯もあってのワンクッション。ここ最近の東奥日報はスクープの確度がやたら高いのは、関係者が緩衝剤を引きたいのかも窺える。


ネットの動きとしては、識者と年齢が上に行く程存続すべき、市の助成金をどうにか。ただここに関しては、約800点の収蔵品を青森県立美術館移るので、折々の企画展示としての十分回転して行く筈。


契機としてはコロナ禍で入館者が減少したとあるが、旧来の美術館ビジネスモデルが永遠とは言えない。ここに至る迄は棟方志功と言えば、何かと東京の美術商が新聞に買取広告を出すなど、美術鑑賞ではなくコレクターアイテムとして成り立っていたのが、どうにか楔を打てなかったものかもある。

とは言え生涯で制作した作品が夥しく、全集でも網羅出来ていない作品もあるので、市いや県いや国家予算で注ぎ込んでもはある。仮にオークションやギャラリーやヤフオクやメルカリでコツコツと買い戻しても、それはいつまで続くかはある。

それならば記念展を開催する時に、作品の賃貸パートナーシップをどう結ぶかに重点を置くべきとも思う。未来志向としての個人型美術館はむしろ、こちらに重きを置くべきとも思う。



棟方志功記念館に限った事では無いが、経営システムに問題あったかどうかで言えば、やはり新鮮な学芸員が少なかった面もある。

そういう私も学芸員資格を持っていて、大学卒業後の進路の一つに棟方志功記念館があった。ただ滅多に募集していないので、その選択肢は消えた。後に親戚にその事を言うと、棟方志功の弟さんと親交があったとかで、言ってくれればの便宜はあるかもだった。

その後青森にUターンして、たまたまハローワークで棟方志功記念館の募集を見るも、ハロワの職員から、ここは女子しか取らないからと、ただ深い深淵を悟ったので、閉館はそうにもなるかなとは思う。


まあ、私のそれはさて置き、新規客である若者を引きつける企画展や、ホームページが洗練されていればは今更でしょうか。個人美術館で先進的で積極的な学芸員を囲むのも、今後30年の美術館の懸念と思われる。それが無ければ、いざ解散で収蔵品散逸では、日本の美術の根幹さえなくなってしまう。


あとは並行して行うべきだったのが、棟方志功の後継者作りだったと思う。少人数の私立美術大学を提言して、若き版画家、色彩家、素描家を輩出していれば、常の原点回帰で棟方志功潮流は作れた筈。


定型的な固い守りに入ると、どうしてものもどかしさはある。青森県立美術館に収蔵品を移した以上、助成すべきはここの育成型小規模私立美術大学かと思う。それを言うと、ねぶたの小規模私立美術大学こそを作るべきだろうけど。ここの発想が青森市議会で生まれないのが、ただ先々暗過ぎるとしか言いようが無い。地元紙東奥日報の社説はここ迄言及すべきと思う。

この声どうにか青森市議会に届いて下さいなです。



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