第7話 違和感

「でもあの子、奴隷みたいな服装だったわよ?」

         「え………?」


おかしい。ユキ姉が奴隷なんかに…?あのユキ姉にそっくりな人と一緒に居たんだから、

奴隷商人にさらわれることはないはず。 きっとあの人は助けてくれる筈だ。

攫ったのにも理由があるはずだ。きっと…そう…でも、なら何故…?

そうなったら理由は一つしかない。 …嫌な予感がする、まずい…これがあってるとしたら… 「メアリーさん、情報をありがとうございます!それじゃあ…」

「どうかしたの? 随分顔色悪いわよ。…私は、止めないけれど…」 

僕はほとんど話を聞かず、店から急いで出ていった。

でも、何処を探せばいいんだ……! 全くわからない…

「……ど、どうしよ……」 僕の憶測おくそくがあってるとしたら、あの人は、

ユキ姉を奴隷にしようとしてるんだ… なんで?なぜ?

ユキ姉を恨む理由なんてあるの…?僕はユキ姉と兄弟だし、分かってるつもりでいたが、

あの人、友達だったのかな…でもなぜ…

考えるより身体を動かすことにした。


僕はとにかく走った。 苦しくても、前へ進んだ。 行く宛もないけど進むしかなかったんだ。 ユキ姉に何かあったら大変だからだ。僕は愛した家族を失いたくなかった。

「どうか…無事で居てね…ユキ姉」




僕はとある場所についていた。 いかにも、奴隷達がいそうな所…

看板があった。 「サディラ」 と書かれていた。 サディラと言う建物なのだろう。

「ここに、ユキ姉がいる気がする…」僕のかんがそう言っている気がする。

僕が…絶対助けるから―

建物の中に入ってみた。なんだか所々、薄汚うすよごれている。 それに、ヒビが入っている所もあった。 「なんでこんなに汚らしいんだろう…?」

奴隷施設だからか… ひどい…こんな…

と思いながら前へ進んでいった。 しばらく歩くと声がした。

「おい!お前、こんな所で何をしている!」

まずい、見張りだ。 逃げなきゃ― 僕は走り出した。

「待て!」 後ろからドタドタと複数人ふくすうにんの足音が聞こえた。

応援おうえんが来たのだろう。 「…チッ、面倒めんどうだな…」

と小言を言いながら適当な方向へ進んでいった。



「……はぁ、っ…なんとか逃げ切ったかな…?」

もう足音はしなかった。 

「…良かった。」ホッと一息ついた。 あれ、そういえば、

さっきはあわててて、全然考えてなかったけど、さっきの見張り、見覚えが―

(ってそんなことはどうでもいい!ユキ姉のとこへ行かないと…)

逃げてきた場所は、地下のようなところだった。

ここなら、いるかもしれない。 と再び走り出した。

と思ったとき、横から声がした。

         「久しぶり、実花。」

―え?


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