第5話 しぐれの親友

「大丈夫かな?ちょっとこっちに来てくれない?茶髪の人」

と言われ、手を引かれて部屋の外に連れてかれた。

「ちょっ…ゆうりちゃん!その人病人…」

「いーからー大丈夫だって〜」

ゆうりっていうのか。まぁ、なにはともあれゆうり…ちゃんのお陰で助かった、けどここからが問題だ。

……このままだとゆうりちゃんを食べてしまうから。 「ち、ちょっとはなして…」

「貴方、人食い人魔なんでしょ?だいじょーぶ。あたしにまかせてよ!」

え?なんで僕が人食い人魔ってこと、知ってるんだ…?

「ほら、これ食べて。」と無理やり口に何かを突っ込まれた。

「んぐッ…!?」 まっっっずぅ!!なにこれ!腐ってるよ!

「不味くても我慢してよ?これクスリだから。抑えるための。」

えっ、そんなのあったの…?本にもそんなこと書いてなかったのに…

「はいはい、取り敢えず飲み込んで。」

言われた通り飲み込んだ。 吐きそうだった…でもなんだか収まった気がする。

感謝〜 「ありがとう!えっと…ゆうり、ちゃん!」僕は笑顔で言った。

「……」 あれ?ゆうりちゃん黙り込んじゃった…

「…か」え?か……?カなんてこの時期にいないよね…秋だし…

「……可愛い!!!君可愛いね!!!」 ……は?

あまりにも唐突…意味が分からない…

「まぁ、取り敢えず自己紹介するね!あたしは如月ゆうり!よろしくね!」

如月…変わった名字だな 「僕は実花…宜しく。」

「さて、発作も収まった所でしぐれのところに行こっか!」

すっごいにこにこしてる… 逆に怖さを感じた僕であった。


「…あ!ゆうりちゃん!まったく…病人を連れ回しちゃ駄目だよ…実花さん、大丈夫でした?」 「うん。大丈夫だよ。それどころか良くなったよ。」

「それなら良かったです!もう大丈夫そうですね。」しぐれちゃんは笑顔でそういった。

「世話になったねしぐれちゃん。ありがとう!この恩は一生忘れないよ!」

と言ってドアを開けたら僕よりも身長が10センチほど高い男の人がいた。

「うわっ!?」 僕はびっくりして後退りした。 「あっ、レント、おかえりー」

「おかえり、レント。…実花さん、大丈夫ですか?この人は私達の親友の、レントって言う子なんです。」そうなのか、取り敢えず変な人じゃないみたいでホッとした。

「そんなにビックリするとは思わなかった…ごめん」としょぼんとした様子で言うのはレントだった。どうやら僕が出ようとしてるのはわかってたらしい。「全然大丈夫だよ!」

「…そうか」 とレントは穏やかな笑顔で言った。 この3人、笑顔の種類が全然違う…

「じゃあね!ありがとう!」

そういって僕は部屋を去った。 

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