第4話
そのまま車を走らせていると、いました。
反対車線上にあの黒い影が。
私が見ている短い間でも、その車線を二台の車が通り過ぎました。
しかし車線の真ん中にいる影は、そのまま動きませんでした。
なんだかの物体であれば確実に車にはねられるはずなのに。
車もそんなものなど存在しないかのように通り過ぎていきます。
固体どころか気体ですらないもの。
それがあの黒い影なのです。
そしてやはりそいつからの視線を私は痛いほど感じました。
翌日、いつものように遅い時間に会社を出て家路を急ぎました。
また影が出るのではないかと思いましたが、事故現場、おとつい見たところ、昨日現れたところに影はいませんでいた。
このままあれを見ずにすむかと思いはじめた頃に、影が現れたのです。
道の中央線の上に立っていました。
車は影のすぐ横を通り過ぎましたがその瞬間、やはり影が私を見ていると感じました。
それはもう確信でした。
家に帰り影のことを考えながら風呂に入っていると、ふと思いつきました。
――もしかして……。
あのもやもやして黒い人型のものは、徐々に私のマンションに近づいてきているのではないかと思ったのです。
そこまで思考が及んだところで、私は考えるのをやめました。
それ以上考えたくなかったのです。
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