第3話

今は初夏。


一年のうちで最も日の入りが遅い時期なのですが、会社を出る頃にはすっかり暗くなっています。


そして昨日事故のあったところを通りました。


事故から一日経っています。


今はなにもありません。


そのまま車を走らせました。


しばらく経ったところで見ました。


あの黒い影を。


反対車線の路肩に立っていました。


――!


昨日と同じく全てがもやもやしていて目などは見当たりません。


だがやはりそいつが私をじっと見つめているような気がしました。


私は見なかったことにしてそのまま通りすぎました。



次の日も遅い時間の帰宅となりました。


例の事故現場を通りましたが、何もありませんでした。


そして昨日黒い影を見たところも、影はいません。


――何かの見間違いだったのかな。


私はそう思いました。


あんなにもはっきりと見ているというのに。


そう思うことにしたが正しいでしょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る