神の創造物

 小説などの創作する物は、神様が人間にアイディアを教えているのだと、私は信じて疑わない。つまり、すでに物語は完成しているのだ。


 簡単な起承転結は最初に考えるが、印象の強いあちこちの場面がパズルピースのように浮かんでくるのを、書き留めるのに必死になるのが、新しい小説を書き始めたときの常である。


 次に、順番にそれらを並べる。もちろん、これだけでは、物語が全て繋がらない。ブリッジのような話を間に挟んだり、足したりする作業となるわけだ。

 会話はもちろんのことだが、風景や人の行動などが鮮明に浮かび、あの色を表す言葉は何なのか、あの仕草を表すのはどんな言い方か――つまり、ト書き部分が割とよく思いつく。


 今がまさにその時なのだが、神様からの電話がかかってこなくなった時は、葉巻を吸ったり、家族と話したりして、ひらめくのを待つ。


 一番頭を悩ませるのは、章のタイトルだ。元々、シンガーソングライターだった私は、ついつい詩的な言葉を求めがちだ。そうなると、調べることが必然となってくる。


 だが、この作業が実に面白いのだ。こんな言葉があったのか。こんな事象があったのかと、驚きと感動の繰り返しである。


 現在書いている作品は『心霊探偵はエレガントに』の第二弾だ。スピリチュアル、宗教などが密接に関係してくる物語。そうなると、こんな言葉が必要になる。


 懺悔ざんげ

 贖罪しょくざい

 受難じゅなん……などなど。


 今回新たに見つけたのは、


 殉難じゅんなん

 月待塔つきまちとう

 

 もちろん、これだけでは収まらないが、時々、意外な発見をする。今回はこれだ。


 絶叫する60度


 最初、映画のタイトルか、はたまたジェットコースターの話かと思った。その他に、


 吠える40度

 狂う50度


 がある。意味を調べてみると、なるほど、あの世に意識がいきがちな私にとっては、無縁な言葉であった。しかし、これは後々のちのち、何かに使えそうだと、ほくそ笑んだのだった。


 それから、一作目は英語を使う場面が多かった。それは、登場人物に英語圏の人間が出てくるからなのだが、今回、とうとうドイツ語にまで手を出さざるをおえなくなった。


 知らない。フランス語なら第二外国語で学んだ事も過去にはあったが、ドイツ語はやったことがない。


 Bibel/ビーベル


 聖書、のことらしい。あとは、ことわざなども使ってみようかと検討中。

 今回は登場人物が異様に多いので、章のタイトルもいろいろだ。一部だけ紹介。(変更になる可能性あり)


 幽明境ゆうめいさかいことにするとばり

 エストなゴシップ

 計算違いの傀儡くぐつ

 ほBライ

 魔法よ魔法よ魔法さん……などなど。


 昨日、ダルレシアンのモデルに起用している旦那に質問をした。どうにもいいタイトルが浮かばなくて。だが、いいアイディアをくれたのである。


 静寂に降りる秘密話


 こんな風に毎日を過ごしている。この作業が終わったら、次は順番を入れ替える、いわゆるプロットの作業だ。


 2020年6月23日、火曜日

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