第14話選んでくれたのなら想いに応えないと
午前の授業が終わり、昼休みに突入すると同時に月史絵が俺のもとへ駆け寄ってきた。
「あ、あのさ……えっと、あぁっと……」
「月史絵さん?ど、うしたの……?」
ひとさし指の指先同士を触れ合わせ、俯く彼女の様子に訊かずにはいられなかった。
俺と月史絵の会話に、教室内にいるクラスメートらが野次馬の如く周囲に群がる。
月史絵が俺に告白を試みようとする場面に思える野次馬は、息をのみ俺らの会話の続きを今か今かと待っている。
見せ物じゃねぇんだけど……
「……こじゃあれだから、屋上に……」
「そうですね。屋上で」
椅子を引いて、腰を上げ、彼女の手首を掴み野次馬を搔きわけて教室を抜ける俺。
野次馬を引き離すために廊下を駆けていたからどこかのクラスが騒ぎを広めそうだ。
屋上に足を踏み入れ、掴んでいた彼女の手首を離し、謝る俺。
「ごめん……」
「私こそ、ごめん……その、佑音ぅがぁっ嫌じゃ無ければだけど、彼女にしてほしい。ぅぅう……だっダメぇ、かな?」
潤ませた瞳で泣き出しそうな声の彼女。
「イヤなんて……お、俺なんかで、月史絵さんは良い、の?」
「佑音が良いっ……佑音じゃなきゃイヤなんだよぉ。ぅぅぅ……」
彼女の足元のアスファルトにポロポロと雫が落ちて、黒ずんでいく。
「月史絵さん……」
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