第13話呟いた言葉に直視出来ず、視線を逸らす

翌日。登校した俺が下駄箱でスニーカーを脱いでいると、昇降口付近から月史絵が小走りで駆け寄ってきて挨拶をしてくれた。

「おはよう……昨日はほんとごめん。それで——」

「おはよう、月史絵さん。謝らなくて良いよ、ほんとうに……ありがとう、月史絵さん。月史絵さんに無理させたくて一緒にいるんじゃないから、普段通りに接してくれるだけで充分嬉しいんだ。それだけで幸せって感じる……ああぁ〜」

プシューっと頭から蒸気が噴き出したように感じ、思わず両手を顔に持っていき、顔を覆った俺。

「恥ずかしがらなくても……もしかして、あの後も今みたいに——」

「そう、だよ……告白みたいになっちゃたし。恥ずかしいんだよ、こういうの」

「こっ、こくは、くぅ〜!……うぅ、嬉しい、よぅっ」

告白なのだと気付かなかったようで驚き、ポツリと呟き、上目遣いで見つめてきた彼女。

彼女が浮かべた表情は愛らしく、視線を逸らし、廊下を進み続ける俺。


周囲の視線には未だに慣れない。

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