第7話どぎまぎな添い寝

風呂上がりの沙絵が階段をおりている足音がした。

30秒も経たないうちに階段を駆け上がる足音がして、自室のドアをノックをせず、開けてどかどかと近付く沙絵。

「何で顔を逸らすの?後ろめたいことをしたっていう証拠だよ!おにいってそんなに冷たかったっけ、私を見てよってばぁっ!」

鬼の形相をした顔を近付けながら、そんなことを口にする沙絵に困惑する俺だった。

後ろめたいつーか、あのお願いに続く言葉をわかりきってのことなんだけど。

沙絵が断られると決まりきった代案を提案してくる。


──私と寝よう、と。


理性が持ちそうもないことはわかるはずだ。男子であるならば、沙絵は妹以前に一人の女子だ。

乾ききらない髪のまま、潤んだ瞳をしながら猫なで声で一緒に寝よう、だなんてヤバイだろっ!


「ねぇ~一緒に寝ようよぅ~おにいぃー」

腰かけている椅子の肘掛けに手を付きながら前屈みで誘ってくる。

逃げられないようにしてくる沙絵に断ろうとするも一向に折れずに誘ってくる。


「寝ないって!添い寝だったら、ギリだからそれで勘弁して!」

「ううぅぅ。えぇぇ~私が嫌いになったの、おにいは?わ、わかったよ」

小さく唸りながらも折れてくれた沙絵。


妹の部屋に移り、ベッドで添い寝をする羽目になった。

ご満悦そうに満面の笑みを浮かべていたと思えば、いつの間にか眠りに就いていた沙絵。

眠気に襲われながらも、何とか自室に戻り、ベッドに倒れた俺。


つ、疲れたぁぁ~。






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