第3話悩んでいた俺って......バカだなと

月史絵と話せる機会を窺っていると彼女と会話を交わしていた女子達が通学鞄を提げて、教室を出ていく。


教室に残る月史絵は、スマホを弄り始めた。

グラウンドから運動部の掛け声など様々な部活の物音が聞こえる。


帰宅部の俺には、青春しているな、と思わせる眩しいものだ。

そんなことに耽っているとスマホが震え、電源をいれるとDMが来ていた。

もちろん、ゆーかからだ。

月史絵とぶつかったあの日からもDMが来ている。


Twitterを開き、返事を打ち、送信する俺。

俺の返信にすぐさま返すゆーか。

二人だけの空間である教室だけど、DMであれば打ち明けても......とそんなことが頭を過り、勇気を振り絞り、ストレートに訊いた。


『あのさ、ゆーかって月史絵さんだよね?同じクラスの高ヶ浜なんですけど』


この文面を送信して、ゆーか──月史絵美織からの返信は遅れて届いた。

返信が届く直前に月史絵の小さな呻き声が聞こえた。


『えっ......えっと、それって冗談だよ、ね?いつもの冗談だよね?』


『冗談じゃないよ。あの、気付いてないようだけど、教室にいるよ』


彼女の返信にそう返すと、今更ながらな驚きの声をあげた彼女が駆け寄ってきた。

「高ヶ浜っ!えっ、えっえっえっと......なっなんで、私のことを!?」

「ぶつかったんだけど、覚えてないですか?そのときに──」

「えっ?えっーとぉ......そ、そんなこ、とは......っんあああっ!ああ、ぶつかったの高ヶ浜だったんだ」

首を傾げた彼女が思い出したと同時に大声をあげる。

ぶつかったことさえ忘れ去られてたのか。

「う、うん......」

「何で引かれてんの?えっ?私って何かしたっけ、高ヶ浜に」

「いやっ、何も......されてません、はい......」

自覚ないのか、月史絵は。

「あーあぁっと、私が高ヶ浜に気に障るようなことをした反応......を返されて、いる」

肩を落とした彼女の姿を万が一誰かに見られたりでもすると俺が──。

「ちっ違いますよっ、月史絵さんに気に障るようなことなんてされてませんっ!」

「よ、良かったぁ~。って、何でDMのときの感じじゃないの?高ヶ浜」

「えっ、いや......あの、月史絵さんは......」

「これからも仲良くしてね、。今までのようにね」

口ごもる俺に苗字ではなく名前を呼ぶ彼女ゆーか

「は、はぁいっ!すえながくよろしくお願いしますっ!」

差し出された手を握り、そんな返事を口にした俺。

「えっ?うん、よろしくね」

屈託のない笑顔でそう返し握り返す彼女。


何だか呆気なく終わった......悩む必要、なかったよ。


彼女に放課後デート、らしき買い物に誘われ、アニメイトへ向かった俺と月史絵。



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