第11話ゴーゴンの三姉妹

 明日の夕刻にもう一度会うことを探偵神宮寺那由多と約束し、圭介たちは彼女と別れた。

 自宅にもどり、ルナは圭介のためにコーヒーを淹れた。

 それをただ黙って圭介は飲んだ。

 秋月瑠菜の想像を絶する過去にどのような言葉をかけて良いか、一つも思いつかなかった。

「そういうお前が妾は好きだよ」

 一緒にコーヒーを飲み、ルナは言った。

 コーヒーを飲み終わり、マグカップをシンクに置き、シャワーを浴びたあとルナは寝てしまった。


 圭介はルナの寝顔を見たあと、リビングでノートパソコンの電源をいれた。

 パソコンの画面には幾つか検索履歴が残っている。

 精神科学や心理学、グルメ記事、そしてゴーゴンの三姉妹のこと。

 それはルナが調べたものの経歴だ。

 

 ゴーゴンの三姉妹をクリックする。


 ギリシャ神話に登場する怪物の名前。

 かつて女神よりも美しいと言ったゴーゴンの三姉妹は、女神の怒りをかい醜い怪物へと変えられてしまう。

 ゴーゴンの三姉妹の一人、メデューサは英雄ペルセウスによって退治される。


 漠然と画面を眺めスクロールしていくと面白いホームページをみつけた。

 都市伝説をまとめたものだ。


 現代のゴーゴンの三姉妹と呼ばれる人物たちがいる。

 この三人はそれぞれ超能力を持っており、戦前戦後の大事件の幾つかに関与していると。

 また、彼女らは不老不死であるとも書かれていた。

 下山事件、帝銀事件、三億円事件に関わっている。

 日航機墜落事件を予言していた。

 ロッキード事件を予言したが、時の総理には受け入れられなかったなど。

 現在でも彼女らは政治家や資産家にアドバイスを請われていると。

 しかし、彼女らは気に入った相手にしか予言をしないという。

 それらの記事はどれも面白いものであったが、タブロイド紙かオカルト雑誌の下世話な記事以上のものではないと思われた。


 パソコンを閉じ、圭介も眠ることにした。

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