第8話総合意識生命体
そのアパートは築二十年と古くはあったが、その分家賃も安く、リノベーションも可能だというので、圭介はかなり気にいって住んでいた。
2LDKと一人で住むには広いアパートであった。
ルナはドカドカと我が物顔で部屋に入ると、風呂を借りるぞと言い、シャワーをあびた。
素っ裸ででてきたので、圭介は視線をそらしながらバスタオルと着替えのジャージを渡した。
体をふき、ジャージに着替えるとルナはさっさとベッドでと眠ってしまった。
すやすやと寝息をたてている。
まるで捨て猫を拾ってしまった気分だった。
とびっきりに可愛いいが我が儘な猫だった。
やれやれとため息をつき、圭介はリビングのソファーで眠ることにした。
薄手の毛布にくるまり、眠ろうとしたところコレクションボックスのダースベイダーのフィギュアが語りかけてきた。
「さっそく厄介ごとに首をつっこんだな」
その声はあの鏡から聞こえてきたものと同じだった。
それは不思議なことであったが、圭介はいたって平静であった。若干これらの奇怪な出来事になれつつあった。
血筋のせいだろうか。
心の中で一人思った。
「まあ、乗り掛かった船だ、仕方ないだろう」
フィギュアと話している光景に滑稽さを圭介は感じていた。
「平穏無事にすごしたければあの女は捨てることだな」
「そんな人を物みたいにいうなよ。できるわけないだろう」
「やはりそう言うと思ったよ。絹江もそう言うだろう。ではこれからの指針をしめそう。ゴーゴンの三姉妹と呼ばれるものたちがいる。月の女王はいずれ会いたがるだろう。ゴーゴンの三姉妹の所在は獣の王が知っている」
「わかった。覚えておこう。ところでお前はなにものなんだ?」
圭介はきいた。
「私はお前たち一族が今までにつちかってきた知識と技術の集合体だ。ホーエンハイム一族の集合意識生命体といっていいだろう。すでにその知識量は疑似アカシックレコードと認識してもらってよいだろう」
そう言うとフィギュアは黙ってしまった。
疲れたのだろう、急激な眠気におそわれ、圭介は眠りについた。
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