第7話疑似アカシックレコード
誰もきづかないとはいえ、さすがにまずいと思い、圭介はインバネスコートをルナに着せた。
インバネスコートを着て、じろじろとコートの生地をルナは見る。
「これは素晴らしい。ミスリルが繊維に組み込まれている」
ちらりと圭介のロイド眼鏡を見る。
「なるほど。その眼鏡にもミスリルが使用されているようじゃな。この二つが貴様ら一族のアカシックレコードへの接続権というわけか。それにより仮王の力を引き出せると見た。限定的だが義眼の王の力を越えておる。どうりで我が新月の力を見破れるはずだ……」
一人わけの分からないことを言い、ルナは盛大に腹をならし、白い頬を赤く染めた。
その音をきき、笑うのをおさえながら、圭介は近くの屋台にむかった。
お好み焼きとたこ焼きを購入した。
湯気をだすそれらをルナは実にうまそうに食べた。その様子はまるで何年もまともな食事をとっていないのではないかと思わせるほど、必死であった。
「妾だけではよくないの」
そう言うとルナはつま楊枝でたこ焼きを一つさし、圭介の口にいれた。
とろりと溶ける中身はとんでもなく熱かったが実に旨かった。
彼らが食事をしていると一人の少女が目の前を通り過ぎた。
茶色の髪に猫耳をつけたセーラー服の少女であった。
まだまだ’あどけない横顔が可愛らしかった。
「ホーエンハイムよ、さきほどの少女を見てどう思う?」
お好み焼きを頬張りながら、ルナは言った。
「なにってコスプレしてるんだろう。今日はハロウィンだし」
と圭介は答えた。
「いや、あの娘は正真正銘の獣族だ。うまくまぎれているが王権の守護者の目はごまかせん。お主も仮王の力があるのにまだまだじゃのう」
なんだか馬鹿にされたようなので圭介はむっとした。
「しかし、妾は幸運であるといえる。かのような者がいるということは獣の王もこの町のどこかにいるということだ」
一人そう言い、かかっと高笑いした。
残ったお好み焼きとたこ焼きをかきこむと、今宵は疲れたのでそなたの家で世話になると言い、我が物顔で圭介のアパートにあがりこんだ。
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