彼女は自動販売機を学ぶ3
振り向いた視線の先に小さな手で俺の制服を掴み、真っ直ぐこちらを見ている彼女の姿があった。
小さな唇に筋の通った鼻、色白の肌と一つ一つパーツが整いってはいるが、長い睫毛と綺麗な瞳の方がどちらかというと印象的で、吸い込まれそうになる程じっと見つめてロックオンしていた。
そんなまじまじ見られると照れくさい反面、むしろ何か怒らせたのだろう?と思うほど彼女の眼力は力強く、思考が追いつかず固まってしまった。
やばっ!冗談通じない系か?それとも冗談がつまらなさ過ぎて怒ってるのか!?
「ごめんなさい!スベりました!売り切れのやつ押しても商品は出ません!それをあげるのでどうかご勘弁を!」
正直に話す俺は美女の前でだだスベりをして、かつてないほどテンパっていた。顔面は今真っ赤なのだろうか。恥ずかしくて死ねる…。
「そうではなくて!」
じゃあ、何が原因なんだ?さっぱり分からない。怖い泣
それともパターン③小さい子扱いするな!的な?
身長をコンプレックスにしている人ありがちの「別にあんたに手伝ってもらわなくても届くんだから!」みたいな。本当は自分でボタン押したかったとか?
この世ではスマホを落としただけで殺人に巻き込まれるというが…。ジュースをあげただけなのに…。スベッただけなのに。俺は何かされてしまうのか?
「『売り切れ』の話です」
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