第15話 そして7年後
――7年後――
時がたつのは早いもので、この世界にきて7年がたった。
この7年の間、俺が異世界から転移してきたということは、ダニエラ婆さん以外、誰にも話していない。
もし噂にでもなれば、俺の力を利用しようとする悪いやからに目をつけられるかも知れない、とダニエラ婆さんに言われたからだ。
そんなもので、見知らぬ土地で真実を隠しながらに生きている俺はいつも孤独につつまれて……。
なんてことはなく、充実した毎日をすごしている。
それもこれも間違いなく父さん母さんのお陰だろう。
ふたりからしたらわが子なので当然のことかもしれないけど、これ以上ないってくらいの愛情を注いでもらっている。
俺もふたりに何かを与えられる存在でありたい。
プレゼントのお返しのような義務的な感情ではなく、またグラムへの義理立てで湧いた感情でもない。
ある日ダニエラ婆さんと話しているときに、父さんのことをフラックさんと呼んで注意されたことがある。
常日頃から気をつけておかないとボロを出してしまうぞと。
それからは本人たちがいないときでも、また心の中ででも、ふたりのことを父さん母さんと呼ぶようになった。
最初はそんな理由だった。
でもいつからか、なんの違和感もなくふたりを父さん母さんとそう呼ぶようになった。
家族に対して並々ならぬ想いを持つ俺は、この大切な家族を絶対に守るんだと、この世界を救うための新たな原動力をこの7年の間に手にいれたのであった。
そんなふうに思えるくらいには成長したつもりの俺である。
そして成長したのは中身だけではなく、7年の間に身長もぐんぐんと伸び、ぷにぷにした顔立ちも自分で言うのはなんだけど端整になってきた気がする。
あと何年かしたら周りの女の子が放っておかないだろうと母さんがよく誇らしそうにしているし、俺も満更でもない思いだ。
そして知りあいもそれなりにできたし、剣の腕前も随分と上達したつもりだ。
「おいグラム、1匹そっちへ行ったぞ!」
そんなことを考えていたら、林の奥から警戒を促す父さんの声が聞こえてきた。
ガササッ!
やや遅れ、目の前の茂みが不自然に揺れる。
俺が腰の剣帯から素早くショートソードを抜くと、それとほぼ同時、中からするどい牙を持つ巨大なイノシシの魔物が飛びだした。
近ごろこのあたりの家畜を食い荒らしている『ワイルドボア』だ。
ワイルドボアはランクこそE級に分類されているものの、とても気性が荒く食欲旺盛で、もし俺の住んでいた世界に存在していたとしたら、間違いなく食物連鎖の頂点にたっていたであろう。
そんな狂暴なワイルドボアが飛び出した勢いのままに、下顎から湾曲して伸びた鋭い牙を俺に突き刺さんと、殺意をあらわに突進してきた。
まともにくらったら、子供の体なんて簡単に千切れ飛んでしまうだろう。
俺の脳裏にふと7年前の光景が蘇る。
訳もわからずダニエラ婆さんに連れられた山奥にある湖。
そこで初めて遭遇した魔物と、そいつが発する気が狂いそうなほどの殺意。
そんな殺意が7年たった今、ふたたび俺に向けられている。
「あの時は身動き一つできなかったっけな」
呟くと、俺は取り乱すこともなく体1つ分横に身をかわした。
さっきまで俺の体があった場所を殺意の塊が突きぬけていく。
まさに紙一重。
戦いになれていないものからすると、なんとかかんとかギリギリに躱しただけに見えたかもしれない。
ただ躱しただけに。
が、ワイルドボアは俺とすれ違ったあと、よろよろと数歩ばかり歩んだかと思うと、大きく地面を揺らし息絶えた。
その首筋にショートソードをはやしながら。
誰のしわざか?
当然俺が突き刺したものである。
最近俺は、魂力のコントロールを目的とした訓練の一環で、常に微弱の魂力で身体強化をしている。
さすがに常時そのままでは、聞きたくないことや聞いてはいけないこと――主に両親の愛の営みだが――が耳に入ってくるので、訓練の末に感覚器系の強化オンオフもできるようになった。
近隣住民に不安をもたらす魔物の討伐に来ている俺は、当然なんら遠慮する必要もないわけで、せいぜい時速100Km程度のワイルドボアの突進など、コマ送りのように見えるのである。
魂縛の術のおかげで体を壊す心配もなく身体強化して体を動かせるため、最低限の動きでかわしつつ首筋に剣を突き刺すなど、欠伸をしながらでも容易にできるのだ。
つまり何が言いたいかっていうと……、
「ふぅ、俺も成長したもんだな」
「よくやった。と言いたいところだが、戦闘中に武器を手放すやつがあるか! 反撃してきたり仲間がいたらどうする」
余韻にひたっていると、いつの間にか駆けつけていた父さんのお小言が聞こえてきた。
「大丈夫だよ。ちゃんと周りにも意識を向けていたから他に仲間がいないことはわかっていたし、それに牙の付け根と耳の後ろを線で結んで交わる場所。ここがワイルドボアの急所でしょ?」
昔書斎で読んだ、父さんの冒険手記から得た知識である。
「お、お前、戦いながらそんなことまで意識していたのか? しかも、たしかに急所に寸分違わず正確に……」
父さんは口を開けたまま固まってしまっている。
それも無理はないだろう。
あれから7年たったといっても、俺はまだ10歳。
前の世界なら、ランドセルを背負って友達と遊び回っている、そんなお年頃なのである。
確かにこっちの世界では、みんな幼いころからなんらか家の手伝いをしているため、基礎体力が高かったり、武器の扱いに慣れている者もいる。
けど、言っても10歳の子どもができることなんて限られている。
仕留めた獲物を捌いたり、当たるかどうかは別にして離れた場所から弓を射たり、罠にかかった獲物に槍でとどめを刺すくらいであろう。
魂力を練り上げ反射速度を早め、練り上げた力の一部を目に集中させ他の生命エネルギーがないか探る、そんなことできる子どもがいる筈もない。
まあ魂力うんぬんはまだ父さんにも言ったことはないけどね。
「どうってことないよ。なんたって父さんの息子だからね」
でも、うちの両親はすぎるほどの親バカなので、こう言っておけば大抵はごまかせるのである。
父さんに剣を教えてもらっていることも、間違いなく俺の強さの根幹であるわけだしね。
「はははっ!そうだったな、さすが俺の息子だ」
「自慢のね」
「うむ! まったくその通りだ。しかしあれだな、お前ならいつか俺をも超えるかもしれんな……。うん、そうとなれば、明日からの剣の修行はもっともっと厳しくせんといかんぞぉ!」
うっ、ごまかせはしたけどなんかとんでもないことを言っているぞ。
父さんの剣の修行、最初の頃こそ初のわが子可愛さに、過保護なほどに心配しながらな甘々な指導であった。
だけど俺がどんどん成長するもんだから調子にのってしまったのか、今では周りの大人たちが本気でひくくらいにとんでもないものになっている。
それをさらに厳しいって……。
「い、いや父さん、明日からはあれだよ! ほら、新しい教育係りの人が来るって言うし、勉強にも力を入れないとね」
新しい教育係。
俺はまだ見たことないけど、面接をした母さんによるとそれはもう美しい人らしい。
そんな至福の時を邪魔されてなるものか!
「む、そう言えばそうだったな。ならば……、うん、ほどよく厳しくといくか。まずは、走りこみを今の倍にして……」
「そ、そんなことより父さん、早く血抜きしたほうがいいんじゃないかな! ほら、肉が臭く……。ん?」
よくない話の方向を逸らそうと仕留めたワイルドボアを指差したところ、ワイルドボアの体の中から|鈍色(にびいろ)の光の球がポウっと浮かびあがった。
「父さんこれって|魂の欠片(ソウルスフィア)だよね?」
「ほう、ついてるなグラム」
「これ俺がもらっていい?」
「別に構わんがお前まだ使えんだろ。どうするんだ?」
「実は婆っちゃんにこれをもらってさ」
そう言うと、俺はバックパックから以前ダニエラ婆さんに見せてもらった木製のケースを取りだした。
「なるほど。魂の洗礼が終わるまで集めておこうってわけか。そういえば来月だったな」
「うん。どんな祝福を授かれるか楽しみすぎて待ちきれなくってね」
「はっはっは、気持ちはわかるぞ。俺もそうだったからな。でも、残念ながらそいつはハズレだ」
父さんはそう言うと、ワイルドボアのドロップした鈍色の|魂の欠片(ソウルスフィア)を指さした。
「そうなの? 確かこいつが落とすのって|忍耐(エンデュランス)LV1だよね」
「ほう、よく勉強しているなグラム。|忍耐(エンデュランス)――痛みに強くなり多少のダメージを受けても怯まず反撃できるってスキルだな」
「それだけ聞いたらすごく役に立ちそうなんだけど」
地味な効果ながらも、うっとうしいヒットストップを防ぐため取得必須のスキルである、なんてゲームもあったりするからちょっとテンションがあがったんだけど……。
そうかハズレかぁ、残念だなー。
「もっと高いレベル……、そうだな、5レベル以上ともなれそれなりに有用なスキルでもあるんだが、ワイルドボアが落とすLV1だとちょっと効果がな」
「どんなものなの?」
「父さんが初めて取得したスキルでな、喜び勇んで効果をためしてくるぞと外に飛び出そうとした時に、扉の角で足の小指を強打したら、いつもよりも少し痛いのがましだった」
「そ、それはなんとも微妙だね。って言うか父さん、習得しちゃったんだね……」
「ああ、効果のわりにかなり魂力も必要だったさ……。まあ、若気の至りってやつだな」
わざわざ貴重な魂力を使って得た力が、完全(不完全?)小指ガード程度じゃ確かに微妙だな。
でも魂力使い放題の俺にとってはリスクなんてないも同然だし、魂の洗礼が終わったら使ってみるのもいいかな。
ないよりはまし程度のものなんだろうけど、俺は鈍色の|魂の欠片(ソウルスフィア)を宝物のようにケースにしまっておいた。
効果がイマイチだろうがレアドロは嬉しいものである。
俺にとっては記念すべき1つ目だしね。
「ところでLv5は誰が落とすの?」
スフィアケースをバックパックにしまいながら、ちょっとした興味本意で聞いてみた。
「ワイルドボアの上位種、カリュドーンというC級の魔物だな。詳しいことは知らんが相当大型なやつでな、いつも取り巻きを連れているから総合的にはC級、いやB急に近い強さを持って――」
「おいおいグラム、お前カリュドーンを殺るつもりかぁ? やめとけやめとけ、命がいくつあっても足りんぞ」
ワイルドボアの討伐に参加していたもうひとりの人物が、煙草をふかしながら話しかけてきた。
父さんの傭兵時代からの仲間で、今では家族ぐるみの付きあいをしている、クロムウェル領の守衛隊長ヒュースさんだ。
「あっ、ヒュースさん! 見てみて、これ俺がやっつけたんだよ」
「ほう、急所を一撃じゃねーか! やるなぁグラム」
「そうだろそうだろ、大したもんだろー」
「お前に言ったんじゃねーよ、このバカ親が!」
「おいヒュース、それを言うなら親バカ――」
「ねーねー。ヒュースさんはカリュドーンと戦ったことあるの?」
「そうさな、あれは戦いなんて呼べるもんじゃねぇ。ただの蹂躙だ」
そう言うと、ヒュースさんは空を見上げながら大きく紫煙を吹き出した。
無精髭が似合う壮年のヒュースさんがやると、ハリウッド俳優よろしくとても様になっている。
「お前ほどの力をもってしてもか?」
さっきまで少し寂しそうにしていた父さんであったけど、ヒュースさんの言葉を受け急に真面目な顔つきになった。
父さんがヒュースさんに守衛隊長を任せているのは、何も昔の馴染みで信頼がおけるからなんて理由だけではない。
ヒュースさんの実力を買っているのだ。
それはそうだろう。
ヒュースさんは、父さんとシュバルツさんという人と伝説の傭兵団を立ちあげ、数多くの死地を潜り抜けてきた歴戦の強者なのだ。
「まあお前と出会う前、俺がまだ小僧っこの頃の話だがな。討伐任務に集まった50人からの荒くれ者たちが、奴の率いる群のたった一度の突撃で壊滅さ」
「50人を一撃なんて……」
あまりの規格外の話に俺は身震いをし呟いた。
「奴だけでも手に終えないってぇのに、眷属であるワイルドボアと、その上位種のD級のエリュマントスをうじゃうじゃ連れていやがる。その上自身には|忍耐(エンデュランス)、仲間には|鼓舞(ブレース)で全体強化しやがるし、まるで山にでも襲いかかられた気分だったぜ」
しかしその身震いはただ恐怖からだけのものではない。
だって上位種の魔物とか、補助スキルで全体強化とか、ワクワクして仕方ないじゃないか。
ヒュースさんにここまで言わしめる存在なんて、今はまだワクワク3恐怖7ってところだけど。
「昔の話だろ?」
なんてことを考えていたら、まったくどうといったこともない様子で父さんが問いかけた。
「ああ昔話さ。当然、今の俺なら奴の好きなようにはさせないぜ。まあ、お前ならひょいとひとりで殺っちまうんだろうがな」
「当然だ」
そう言うとふたりは大きな声をあげ笑いだした。
50人からの討伐隊を一蹴するほどの化け物相手にまったく怯む様子もない。
それどころか、父さんにいたってはひとりで倒せるとまで言う始末。
ふたりの表情からただの強がりでないことはあきらがだ。
俺も強くなった気でいたけど、まったくとんでもないふたりだ。
でもそれは、それほどこの世界が可能性を秘めているってことだ。
魂の洗礼も済んでない10歳の子どもが、魔物をやっつけられるほどになれたんだ。
俺はまだまだ強くなれる。
そして、そのためにはアクションをおこさないといけない。
そう考え、俺は前の晩から計画していたことを実行に移すことにした。
「ねえ、ヒュースさん。今のはただ昔話じゃなくって、初めて魔物をやっつけたことで慢心しないようにって、俺への忠告でしょ?」
「ほう。この聡明さはフラックの息子とは思えんな」
「母さんの血も継いでるからね」
父さんは嬉しそうに笑っている。
暗に自分が聡明でないと言われていることに気づいていないわけではない。
俺が誉められたことと、俺が母さんを誇ったことが嬉しいのだ。
父さんはそんな人物なのである。
「言いやがる。で、どうした? 何か言いたいことがあるんだろ?」
「父さん、ヒュースさん。俺はふたりに鍛えてもらってそれなりに強くなったと思うんだ。でも自分がまだ未熟なのも理解しているよ。だから、慢心して格上の敵に無謀な戦いを挑むつもりなんてない」
さてどうかな……。
さっきの戦いの様子だけだと、まだ足りないかも知れないな。
瞬殺だったからなぁ。
「でもさ、そろそろE級の魔物なら、ひとりでやっつけられる実力はついたよね?」
俺は昨晩必死に考えていたストーリーを思い浮かべ問いかけた。
「うーん、そうだなぁ……」
ふたりは顔を合わせ思案している。
安易に答えを出さないのは、俺がただ自分の成長を認めてほしいからってだけで、言っているんじゃないと理解しているからだ。
今日、ふたりが討伐の任務に俺を連れてきたのは恐らく剣の修行の一環、戦いになれさせるためだろう。
落ちついて実力を示すことができれば、徐々に討伐の手伝いをさせる。
きっとそういう考えからだ。
しかしこの世界を救うという大きな目標を持つ俺は、1段とばし2段とばしで駆けあがっていく必要がある。
っていうのは建前で、本音を言えば……、
そう、俺はいっこくも早く、魔物を狩って狩って狩りまくって|魂の欠片(ソウルスフィア)をゲットして、スキルを覚えたりしたいのだ!
悪魔合体なあのゲームのスキル継承や、某ダンジョンRPGの初期ステータスのボーナス値など、決して妥協しないくらいに俺はキャラ育成が大好きなのである!
危機感をなくしゲームみたいなこの世界に現実逃避しているわけではない。
妹とこの世界の命運がかかっているし、グラムへの誓いもあるから当然だ。
魔物と言えど、命を奪うことの忌避感を忘れたわけでもない。
でもそれは、この世界で暮らすうちに、魔物は討たねばならぬ存在だと思うようにもなってきた。
そしてわかって欲しい。
わくわくした気持ちを、もうずううううううっと7年も我慢してきたということを。
だから俺は今日、一切の手を抜かず実力を示した。
これは俺からふたりへのメッセージである。
『E級の魔物討伐なら俺に任せてもいいぞ』と言うメッセージ。
ただ、少し失敗したかもしれないな……。
危なそうならいつでも助けられるようにと、こっそり近づいていた父。
10歳になるわが子を見守る立場としたら当然だろう。
それを利用して実力を示すつもりだったんだけど、そこで俺が瞬殺しちゃったもんだから、狙ってやったのか、偶然なのかを判断しかねているのだろう。
つまりは、もう少しふたりが納得できる材料を出してあげる必要がある、ってわけだ。
「さっき、ちゃんと周りの状況も把握していたって言ったよね。それを今から証明するよ」
「ほう」
「あっちに転がっているワイルドボアの数は全部で7体。父さん4四体、ヒュースさんが3体、すべて一撃でやっつけた。違う?」
「こいつは驚いたな……」
ヒュースさんが目を丸くしている。
「茂みが邪魔でここからでは見えなかったはずだが、どうしてわかったグラム?」
「神経を集中するとね、なんだか気配とか色々と伝わってくるんだ。だからこいつがどう動くかってのも手に取るようにわかったし、周りに仲間がいないっていう判断は確信のつもりだよ」
俺はワイルドボアに刺さったショートソードを抜きながら言った。
全てを話すことはできない。
だけどこれからのことを考えると俺が規格外であることを、少し知ってもらっていたほうが何かと都合がいいだろう。
魂力のコントロールを自在とする10歳児となると、ダニエラ婆さんの時のように違和に感づかれる恐れもある。
だけど、自分でもわかっていないが何か秘めた力を持っている。
このあたりなら許容範囲のはずだ。
「まさか|身体強化(リィンフォース)を使えるってのか!?」
内心ドキドキしながら反応を待っていると、ヒュースさんが初めて聞くスキル名を口にし驚いた。
Reinforce、強化や増強するって意味だけど、魂の洗礼前の10歳児がスキルを使えるとなれば、そりゃありえんと驚愕するわな。
少しやりすぎたか?
「いやスキルではなく恐らく無意識に魂力を練っているのだろう。どおりで面白いほどに成長するわけだ」
「た、確かに、魂力のコントロールに長けた種族や血筋はあると聞く。それが本当ならE級なんて羽虫のようなもんだ。だか……、まさかこの歳で、ここまで顕著に現れているなんて、ありえるのか?」
父さんがいい感じに解釈してくれているようだけど、ヒュースさんはまだ納得しきっていないって顔をしている。
何か少しフォローを入れたほうがいいか?
「まあ、俺とエレオノーラの子だからな」
いやいやいやいや、さすがにヒュースさんはそれで納得しないだろ!
ほら、今も難しい顔をして――
「ったく、このバカ親が」
「おいおい、それを言うなら親バカだろ」
えーっと、何を心配していたんだっけな。
とにもかくにも、ふたりは色々と納得してくれたようでガハハと笑いあっている。
どうやら
「グラム、どうやらお前は父さんの想像以上に強くなったようだな。これからは、E級の魔物討伐ならお前にも任せるとしよう」
「い、いいの?」
「ああ、お前はもう子供じゃない。立派な男だ」
父さんのその言葉を聞いて、俺は思わず飛び上がった。
よし!
これで俺はもっと強くなれる。
期待に胸を膨らませる俺であったけど、翌日から剣の訓練が更に厳しくなり少し後悔しそうになるのであった。
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