第13話「水竜の住む深海」

 勇者[伊勢いせカイ]は今、カルデラの内海ないかいにある火山島[虹彩島こうさいじま]でイカ焼きそばを焼いている現地調達のイカと焼肉のタレを使った甘辛い味が食をそそる物だ、そして目の前には帆掛け船の船頭の[大漁旗たいりょうばたウオコ]がウエットスーツを着てフンドシ漁師の男達と火山地帯特有の灰色砂のビーチではしゃいでいた、ウオコや漁師達も知らなかったようだがどうやらこの島唯一の小さな砂浜の辺りだけ遠浅で巨大イカ[クラーケン]も近付かないらしいのだ「あとウエットスーツとフンドシって!」。


「太陽がずっと見えるって事は砂浜の先が赤道か……」

 勇者はここは北半球か南半球とか考えたが北とか南とかはただの名称なので意味がないんだっけ?(磁場?が違うんだっけ??)。


「おい、魔法使い、焼きそばおかわり!」

火竜[カリューン・アシステッド・オレコ]が人の姿をし、でかい皿と割り箸を咥えてやって来た、そして魔法使いではなく勇者だ。


「ねえオレコさん、その水着何とか成らないかな?」

 オレコは布面積間違ってますよって感じの小さなビキニを着ていた「水着の落差が激しい!」


「何だよお前が何か着ろって言うから来てやってんのに!脱ぐぞオラ!!」

 オレコは背中の紐を引こうとする。


「止めて下さいオレコさん、そんなサービス要りません!」

 僕はイカ焼きそばに追加で目玉焼きを3個サービスしてオレコに渡す。


「勇者様はお優しいですのね♪」

 女神[溺愛神できあいしんかほこ]の声が下の方から聞こえる。


「何してるの?かほこさん……」

 勇者は虫ケラでも見つめるかのような視線を下へと落とす。


「腹チラ最高ですの♪」

 折角のおとなしめのパレオ水着も台無しの勢いで、砂にめり込む程のローアングルに構えた駄女神視線がアロハと膝丈の短パンを着た勇者の腹筋を捉えようと必死だった。


「僕は何処の人気声優ですか!?」

 勇者は手が滑って大きめのコテを落とした、そしてコテは女神のオデコにまるでクナイでも思いっきり投げつてた様にしっかり刺さった(本文ではワザとでは無いとしておこう)。


 ※本作は[暴力描写有り][残酷描写有り]のレイティングでお送りしています。



ぎゃあああああああああ!!!



「かほこさん、セクハラ禁止です!」

 女神は特殊な訓練を受けています、良い子は真似しないでね♪


「お前ら楽しそうじゃな」

 水竜がお洒落すぎてどんな構造してるの?って変な水着でパラソルの下でデッキチェアに横たわる。



…………?



水竜????



***



VS火竜戦の直後。



「もしかしてクラーケンってオレコさんのせいですか?」

 勇者はショートソードを鞘ごと砂浜に刺し、火竜の口の中で運ばれた際の汚れを服ごと海に浸かり洗い流していた。


「そうか!お前のせいでせいでクラーケンがの村へ来たんか!勇者様殺っちゃって下さい」

 ウオコは勇者の濡れた服を引きながら三下丸出しの台詞を言いは成った。



 ????



「アタイ?ウオコさん何しれっと一人称変えてるんですか?」

 どうやらウオコはキャラかぶりを避けようと一人称を変えたらしい……。


「第11話がそのままなのに変な事しないで下さい!!」

 勇者は叫び作者は思う「今さら遅い」。


「イヤ俺じゃないぜ、イカの奴は深海にすんでんだろ、じゃ、アイツだよ」

 オレコは沖合いを指差す、すると勇者はでかいのと目が合う。


「あのどちら様で?」

 勇者は海の中から長い首を出し、こちらを見ていた青いうろこの小さな翼を持つ東洋竜とうようりゅうに声をかける。


「妾は水竜[スイリューン・アシステッド・ワラワスキー]偉大なる海の支配者なのじゃ」

 ドラゴン2連戦と来たか……。



 勇者は水竜とエンカウントした、戦闘開始である。



 水竜の攻撃「ウォーターカッター!」勇者に水の刃が襲う。


 勇者は取りあえず腕をクロスしてガードする[0ポイントのダメージ]ウォーターカッターは勇者の体にぶつかり2つに割れた。


「勇者様危ないですの!」

 後ろに居た女神達の辺りに水の跳弾ちょうだんが着弾、火山岩の大地にV字の地割れを残す。


 勇者の攻撃「食らえ勇者デコピン!」[水竜に大ダメージ!]水竜のおでこが赤くなる。


 水竜の攻撃「アイスブレス!!」勇者は氷の息にさらされるも勇者と火竜以外が氷つく。


 火竜の攻撃「ファイヤーブレス(弱)」竜の姿に戻ったオレコがかほこ達にあったか~い風を送り氷を溶かす。


「何してくれますのスイリューン!わたくし達を巻き込まないで下さいですの!」

 女神のクレームが水竜に入る。


「またかほこさんの知り合いドラゴンか?」

 勇者は作者の奴めんどくさく成って、竜の色違いとか出して来たなと呆れる。


「うむ、しかたないのじゃ、この姿では他の奴を巻き込んでしまう……」

 そう言うと水竜は喉を「ぐびり」と言わし叫んだ。



「ブルードラゴンランス!!」



 水竜の口から天に向かってなんかカッコ良さげなメタリックブルーの槍が打ち出され、更に水竜の回りを竜巻の様に水のが覆う。


「かほこさん服!!」

 勇者はバカでは無いので同じ過ちを繰り返したりはしない。



「勇者ーーーパーーーンチーーー!!!」



 勇者は竜巻のカーテン事、変身途中の水竜にくるりと回りつつ[グーパン]をくれてやりそのまま回って背を向け、腕を組で仁王立ちを決め込んだ。


「ハイ!スイリューン!服ですの!!」

 女神ささっと服を着せる。


「完全勝利です!!」

 勇者は腕をくんだまま、右手で軽くVサインをする。


「流石俺を倒した魔法使いだな水竜にグーパン1撃か!」

 勇者のすら履かない露出狂ドラゴンに容赦しないのだ。



「て!だから服を着ろと言ってーーーーーーーーる!!!」



 火竜も竜に姿を変えて人型に戻った為、全てを丸出しだ。



 ヘグッ!!



 そして火竜に対しても正義の鉄拳[勇者グーパン]が決まる!


 ※本作は[暴力描写有り][残酷描写有り]のレイティングでお送りしており、水竜および火竜は[勇者グーパン]に殴られても安全な特殊な訓練を受けています……。


「取りあえずワラワスキーさん、貴方がここにいるとクラーケンで漁村が大変な事になるので僕について来て下さい」

 勇者は女神の膝枕に横たわる人型と成った水竜を覗き込み優しく言葉をかける。


「なんと……そなたは妾を所望か?」

 水竜は顔を赤く染めあげ驚いた顔で勇者の顔を見つめる。



 ハイ、話がこじれました。



***



エピローグ:オープニングの砂浜で。



「カイ様、妾には[なま]をジョッキで頼むのじゃ!」

 ちなみに水竜の言った[生]はキンキンに冷えた生卵を大ジョッキ一杯よこせの意味だ。


「生卵をジョッキでってどんな飲み物だ!」

 「竜と言うより蛇かよ!」と勇者は心の中で突っ込んだ。


 水竜はよく冷えた全卵を混ぜもせず美味しそうに一気にゴクゴク飲み干し、お腹がぽっこりと成っていた。


 水竜は幸せそうに勇者を見つめウインクする、話はこじれたままだ。



 オチ。



「温泉回を回避してショートカットした筈が変な水着回になってしまった……」

 勇者は思う「おかしな運命ほしのもとに生まれて来てしまった」と。





 ※なお勇者は「温泉回を回避して」と言ってますが温泉回はやります。

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