第8話「迷いの森は魔女の森」

「次の町つかなかったーーーー!!」

 勇者は第8話冒頭から突っ込んだ。


 第7話で「この物語は次の町までの幕間劇、閑話である。」とか言っておきながら着きませんでした、って所からこの物語は始まる。



********************



「勇者様…何だか気味の悪い森ですわ」

 2人の幌馬車は突然立ち込めた青い霧に包まれた、そして今はいつの間にか現れた原種の森に迷い込んでしまっている、女神は状況も考えず怖がるフリをし「こんな深い森のならばがどんな大きなをあげても誰も来たりしないですわ」と勇者の左腕を抱き締めてその機会を伺い馬車に揺られている。


「もう少しこのままでの良いかも♪」

 鼻の下を伸ばした女神は心の中でそう思った、イヤ思ったつもりだった。


「心の声がだた漏れだよ、かほこさん!」

 勇者は女神を振りほどこうとする、しかし女神に離す気はなく必死にしがみつく。


「違いますの怖いのは本当ですの(ウソ)勇者様を襲ったりしませんの(ウソ)」

 女神の引きつった打算的笑顔は分かりやすく、その言葉の真意を勇者へと伝えていた。



***

 


「相変わらずだな[溺愛神できあいしんかほこ]」

 深い深い森に深く深く木霊する女性の声が響いた。


「はっ!しまったですわ、ここは魔女の森ですの!!」

 女神はかなり焦った様子で周囲を警戒し始める。


「何だ?」

 勇者は驚く、それは当然だった駄女神がしがみつく反対側の右腕に抱きつき女の人が当たり前の様に座って勇者越しにその駄女神に手を振っていたのだ。


「おひさ~♪かほこちゃん♪♪」

 そして軽い!勇者は最初の台詞と重さが違わないか?と思ったが、この数行で作者がキャラクター固めて来たんだなと諦めた。



 ※尚この小説は場当たり的にお送りしています。



「どーしてここに現れましたの?」

 現れた?この人が?それともこの森が?


「いやね~あんたが男連れてここに戻っるって聞いてね~♪」

 戻る?ここに?この世界に?聞いた?誰に?


「この世界は失敗でしたの、まさか貴方も居るなんて」

 2人は知り合いか?貴方も来てる??魔女の森?魔女なの??


「君が[伊勢いせカイ]だね♪この世界を救いに来た勇者様?いや勇者君かな♪」

 彼女はニンマリとした笑みをみせた。


「あの貴方は?」

 僕は訝しそうにそのひとに質問した。


「あら、あたしの事気になるの?」

 悪戯っぽい笑顔だ、コレからかわれてるやつだ、僕はそう思ったがかほこさんの反応はきっと…。


「駄目ですの!勇者様はわたくし勇者様ですの!」

 女神が僕を自分の元へと引き寄せる、やっぱりね。


「ハハハ♪すまないすまない、チョッとからかっただけだよ、あたしは[鯖木さばきマジョカ]こので魔女を名のっている女さ♪」

 随分とさばけた人の様だ、でも「異世界で魔女」か…僕はこの鯖木マジョカは何かを知ってるキーキャラクターなのかもと感じた、異世界ファンタジーとはそう言うものだ(作者のネーミングセンスは相変わらず地の底に有ってぶれない)。



***



「うちの田舎みたいだ…」

 マジョカさんの家は森の奥に在りおかしな事にこの異世界には似つかわしくない古い日本家屋ようだった。


「気を付けてくれよ、あたしと居ないとここにはたどり着けないから」

 マジョカさんが大きな引き戸の玄関を開けるとそこには昔の農家によくあった奥深い広めの土間が在りそしてリフォームしたばかりの様な建物の臭いがしていた。


「おっ、気づいたかい?流石だね勇者君、そうなんだリフォームしたてなんだよ玄関も広いし箒もおき放題そこは元馬屋だったんだけど車を停めるには小さな過ぎてね今は倉庫にしてしまったよ」

 まるでマイホーム紹介番組みたいになってきた。


「車…乗るんですか?」

 僕はこの人の世界での有りようが解てきた気がした。


「ああ、車庫にあるよ、あとで見るかい?古いミニだけど買い物には便利な車さ」

 小さな車が便利な国で使うのかな?



***



「紅茶でいいかな勇者君、あたしは紅茶派でね、お菓子もあるよ君には馴染みのお菓子だろう?」

 ティーバッグの3つ垂れさがったティーポットと僕も良くコンビニで買っていたお菓子が二十畳は在ろうかと言う続き間の和室に広い折り畳脚の和風座卓があり、木製菓子受け皿に沢山置かれていた。



ボーン、ボーン、ボーン。

古い小さな振り子時計が欄間より3時をお知らせします。



「今日はお客様用のふかふかの座布団を出して見たよ、なかなか客人も来ない家なのでね」

 マジョカさんはそう言ってティーポットから僕のティーカップに紅茶をそそぎ僕はためらう事も無くスティックミルク1本とスティックシュガーを3本をそれに入れ素早くチョコチップクッキーをパクついた(ふだんは4本スティックシュガーを入れるのだが入れなかったのは遠慮したからだ)。


鯖木マジョカはそれを見て笑う。


「君にはロイヤルミルクティーの方が良かったかね?」

 マジョカさんは久しぶりに来た親戚の子に言うように嬉しそうにそう言った。


「な~!」

 お茶とお菓子の香りに誘われて黒猫がやって来る(「な~!」は猫の鳴き声だ)。


「[サバカン]おいで、君にはミルクをあげよう勇者君少し待っていてくれたまえ」

 そう言うとマジョカさんは少し深さのあるお皿にミルクをそそぎ入れ縁側へと運んだ。


「あの子はねあたしの家族でファミリア、使い魔なのさ、だがあまりの勢いでミルクを飲むので畳が大変な事になるんだよ」

 この人のもある意味溺愛体質だな、僕はそう思った(そして何度も言うがネーミングセンス!サバカンって!!)。


「勇者様!お茶もいただいた事ですし、もうおいとまいたしましょう!!」

 女神は僕の袖をつかみ何度も引く、何でそんなにこの人から離したいんだ?類友じゃ無いのか?僕はそう思った。


「イヤイヤかほこちゃん、本題に入ろうか?本題はこれからだよ♪実ねあたしも決めかねていたんだ、かほこちゃんが男に入れ込んだと聞いて更にその男があの[伊勢カイ]と来たらそれは警戒もするだろう」

 僕を警戒する?どゆ事???



 作者の頭の中で伏線のピースが繋がって行くが勇者には未だわからない、コレは本気でプロット書かないと不味そうだ…。



「勇者様は私の勇者様です!誰にも渡しませんの!!」

 どうやら、かほこさんはかほこさんで何やら警戒してるみたいだ?誰にも?マジョカさんじゃ無く??


「まあ取りあえず今は保留かな、女神が関わっている以上未来を読みきるのは難しいし、勇者君はお菓子が好きなただの良い子だ♪」

 マジョカさんはストレートの紅茶を少し口に含み、少し冷めたなって顔をした。


「………」

 かほこさんは黙って僕を抱き締めた、何だか僕の頭の上で何かが起こっているらしいが作者のやつはこの伏線をちゃんと回収出来るのかとそっちの方が心配になった。


「あっ!かほこさん、僕は何時いつからかほこさんの勇者になったんです!」

 僕は何だか面倒な話を切る為突っ込みと共に、かほこさんを引き剥がしにかかる。


「離れ、ろ、よ!」

 うわ!めいいっぱい顔を掴んで押してんのに全然剥がれない、て言うかこの女神スゲーブスになってる!


「ひぃやでふあ!!」

 鯖木マジョカはその変な顔の女神をキョトンとした顔で見つめていた、マジョカ自身そんな女神を見るのは初めての事だったらしい、少し笑って見える。



***



「本当に泊まら無くて良いのかい?ウチに泊まればその節操のない女神から一晩護ってあげられるのに…」

 マジョカさんはいそいそと帰り仕度をするかほこさんと僕を見て少し寂しそうにそう言ってくれた。


「イエ、自分の身くらい自分で守るれないと大切な人も守れませんから」

 僕は少し心引かれたが、こう言うのは1度気が緩む方が危ないのだ。


「大切な人を守るか、君は本当に良い男として育ったんだね…」

 マジョカさんは少し皮肉っぽく笑い、僕等を少し待たせ庭のすみに在った小さな倉の中に入っていった。


「コレを君にあげよう、きっと役にたつよ」

 それはホコリがかぶった小さな巻物だった。


「なんですコレ?」

 僕は親戚のウチにでも遊びに来ていた感覚になっていて確かに気が緩んで居たのかも知れない、ココは異世界ファンタジーの世界で相手は魔女でコレは巻物である。


「勇者様!開けちゃダメですの!!」

 女神は気づいていた、そして僕はホコリを払いちゃんとその巻物に書かれていた文字を読むべきだった。


「何だ?頭に、何?魔法??ヤバい、何だこの数?コレ不味いよ…、魔法だ!全部!全部魔法???…!!!!?」

 僕は強い光に包まれ更に僕自らも光を放ちそしてその中にあって巻物は自らの意思であるじを決めるかの様に僕の胸の中に潜り込んで行った、1度発動したそれを止める術は無くそしてそれは彼女[裁きの魔女]が2000年の時をかけてが集めた魔法のレシピ、Lord of MagicScrollロード・オブ・マジックスクロール魔法主まほうしゅしょ)だった(この中二病の様な名前が英語として合ってるかは不明)。


「勇者さま?」

 かほこさんの顔は僕が今までで見た中で1番に引きつっていた、かほこさんは知っている、僕の物語をつまらなくしている原因が僕自身の強さであることを、だから巻物を開けようとした瞬間は僕を止めようとしてくれたのだ。


「コレ、解約は…?」

 僕はマジョカさんに聞いて見る。


「やだな~♪勇者君♪頭の中に説明書が在るから解るでしょ♪♪」

 この魔女結構な食わせ者だった、魔法は既に僕にインストールされてしまいアンインストールは不可能だった。


「マジョカさんコレ…ワザとですか?」

 何だか事情を知ってそうなこの魔女は行きなり僕にとんでもない魔法の書をぶちこんで来て下さったのだ。


「テヘぺろっ(・ωく)!」

 彼女は軽くウインクして笑う、完全な確信犯だった。



「魔法とかいらなーーーーい!!!!」



 僕は叫ぶ、厄介な事に更なる強さを手に入れてしまったと。

 そして僕は思う、この下心フル出し女神の言葉も少しは気にかけるべきだったと。



 鯖木マジョカは静かに語る。



「勇者君、君が君自身と大切なものを守りたいならどんなに強くても損はないよ」

 魔女口調は少し冷たい感じだった、僕が守りたいものはそんなに強さがないと守れないものなのだろうか…。


 そして更に僕は思うのだ、この強さで守れない敵って「どんだけインフレ起こす気だよこの作者は!」と。




 この物語がどの様な結末を迎えるのかは今はまだ誰も知らない。

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