第2話「まず異世界転生と言ったら転生空間ですよね!」

「僕、死んでませんよね…」

 真っ暗な空間にまるでスポットライトでも当たる化のように僕と女神様は立って居た。


「念のためですわ♪」

 この女神おかしな事言ってる?念のためって何?


 女神の明るい口調とのちに空虚と分かる言葉がおそらく無限に広がり音の反射すら感じさせないこの空間の果てに吸い込まれてゆく、音の波が波で無くなるまで拡散した頃に僕は何の事を言っているのか気づいた。


「もしかして、あのトラックがぶつかってたんですか?」

 僕はここに来る前に横断歩道で信号待ちをしていた、確かに少しふらついてるトラックを見た記憶がある。


「いえ、もしかしたらぶつかると思いましてこちらにお連れしましたの」

 ぶつかるかも?つまりぶつからないかも知れなかったのか?え?どゆこと?


「あの、大事な事なので確認させて下さい、もしかして僕はここに来る必要がなかったのでは?」

 こうゆうのって死んだりしてから来るんじゃ無いの?とぼくは思った。


「確かに貴方の言うトラックなる物が貴方を死に至らしめ可能性の方が高かったので9分9厘来る必要は無かったと思いますわ」

 9分9厘って何パーセント???確か国語的に9分9厘は99パーセントだから……ほぼ無いって意味じゃん!


「99パーセントってほぼ事故起きないじゃ無いですか!僕トラックがおかしいって気づいてたからきっと避けたし!確かに命に関わるので女神様には感謝しますがこう言うのって死んでから喚ぶものでしょ!もとの世界に戻して下さい!僕これから彼女と映画なんですよ!今すぐ戻して!」

 僕はどこぞの大手ネット小説サイトみたいな異世界転生なんてごめんこうむりたいお年頃だ、て言うか僕はどちらかと言えばリア充よりの人生を送って来たんだ、元の世界に不満もなければ異世界に対して憧れもない!


「彼女はビッ○ですわ」

 …は?


「どういう事ですか?」

 まさか可愛いお姉さん系女神様の口からビッ○なんてお言葉を聞こうとは…。


「ビッ○の可能性が1厘ありますの」

 えーと1厘だと数学的にだから0.1パーセント(1パーミル=1/1000)だっけ?僕が事故に遭う可能性より低い!!


「大切な彼女を0.1パーセントの可能性でビッ○とか言われる彼氏の気持ちに配慮していただきたい!」

 この女神心臓に悪い系だな、女神様が言うからもしかしてって思っちゃったよ、ごめん[コマレ]。


 [まきコマレ]は僕の彼女だプロフィールはまだ考えて居ないがこの異世界転生小説に巻き込まれる予定だ、僕[伊勢いせカイ]と同じく名は体を表す系ヒロインになる予定なのだ。


「あっ!そうだ!女神様お名前は?」

 僕はある事をひらめいた。


「そうでしたわ、まだ自己紹介をしていませんでしたの、わたくしの名は[溺愛神できあいしんかほこ][かほこ]ですの」

 何故かほこ2回言った?大事な事だからか?確かに大事だ…こいつ超絶過保護女神に違いない、そして作者は名前の付け方が安易過ぎる!かまっていられない!そして元の世界に、イヤ、コマレの元に帰りたい!


「女神様、助けていただいたのは感謝いたします(過保護過ぎるけど…)トラックの件は僕の方で何とか致しますので僕をコマレの、イヤ、元の世界に帰していただきたい」


「1パーセント確率で事故に遭うかも知れないのにですの?」

 過保護な女神様は驚きを隠しきれないと言った表情だ。


「はい、僕は事故に遭うかも知れませんが1パーセントの確率ですしどちらかと言えば運動能力も高いので自分で何とかして見せます、もし事故に遭ったらその時にまた喚んで下さい(命の危険<彼女とデート)」

 …確かに1パーセントでも命に関わるかも知れないから女神様には感謝するけど過保護すぎるし、異世界でモンスターなんて物と闘わされる方が危ないに決まっている(第1話読みましたか?危なくないですよ♪)。


「とても勇敢なの方ですわ、まさに死をも恐れず自らの意思で困難に立ち向かわれますのね」

 1パーセント低確率でぶつかってくる困難ですけどね…。


「まあ…はい…ですから帰して下さい」

 僕の気の抜けた返事も無限の闇へと消えて行く…もはや早めに話を切り上げたい。


「彼女がビッ○でもですの?」

 0.1パーセントの確率でを忘れてますよ女神様、それともこれワザとなの?そんなに僕の彼女をビッ○にしたいの?何で?


「あの、お言葉を返す様で申し訳ないのですが0.1パーセントの確率でをお忘れですよ、僕の彼女はビッ○ではありません!」

 僕は少し引きつった笑顔でそう答えた。


「確かにほぼビッ○ではありませんが「ありません!」などと言い切れるとは愛の成せる見ワザ、愛は盲目、いえ、貴方様はとても懐深い思いやりをお持ちなのですわ」

 イヤ、顔赤くしてコッチ見ながら何言ってんのこの女神?


「やはり私の目に狂いがなかった様ですの」

 さっきから言動が狂い咲いてますけどね。


「伊勢カイ様、貴方様こそ私の求める勇敢なる慈愛に満ちたお方、貴方様こそが世界を救うに相応しい人格の持ち主ですの」

 オイ、オイ、オイ、オイ!こいつおかしな事言ってるよ?ちょっと待とうか、イヤちょっと待って下さい。


「あの、女神様、僕の話を聞いていただけませんか?」

 本当にちゃんと聞いて!


「なんでしょう勇者様?」

 女神の中では既に僕が勇者様になってるんだけど…。


「僕は元の、元の世界に帰りたいのです、お願いします」

 僕ははっきりと、明確な言葉で断った、断ったつもりだった。


「勇者様のお気持ち分かりましたの…」

 どうやら分かってくれたらしい。


「しかし勇者様をあのビッ○の元に還す事はまかりなりませんの、あのビッ○の魔の手より勇者様を守らなければならないのですわ」

 どゆ事?事故は?トラックは?1パーセントの確率は?ビッ○?ビッ○から守る?


「勇者様にはあのビッ○よりふさわしい、まるで女神の様な女性が目の前に居るとは思いませんの?」

 ……………何?


「私の事はと呼んでいただいてもよろしいのですわ」

 溺愛神かほこ、溺愛神???!?


「こいつストーカー女神だったのか!!!」

 まさか第2話の着地点がこことは、気ままにペンの赴くまま書くととんでもない展開になる事に作者は気づいた(ビッ○なんて言葉伏せ字にしても書きたくなかった)、だがもう遅い、ここまで書くと取り返しが付かない、第1話との整合性も何とかとれてしまっている、何となく付けた[溺愛神]と言う名前も後付けではあるものの伏線になってしまっているし、これはもうこのまま行くしかない!!


「…嘘でしょ?」

 勇者伊勢カイの血の気が引き始める。



「お前らグルかーーーーーーーー!!!!」



 なおこの物語にはプロットも無ければ最終的着地点への目算も最終回のアイデアもキャラクターのプロフィールすら無いの状態なので、この先作者もどうなるか分からない見切り発車でお送りしています、その為[1話完結方式(1話事に単品でも話として纏まっている?方式)]でお送りいたします。


「エタる気満々か?!」

 勇者は色んな意味で不安でいっぱいになった。

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