第16話あれえ?売り上げがた落ち?
「がっはっはっは!俺の壮大な『働きたくねえ!遊んで暮らすぞ計画』もいよいよ大詰めだな!あと半年どころか三か月で新店いけるぞ!この調子なら!」
確かにこの四カ月ちょっとでスタートから売り上げも右肩上がりですし、アニマルさんは二十万円を超える売り上げを出して補欠枠からホールを一人追加したほどですが…。
「レギュラー全員『売り上げ十五万円の壁』は突破したぜ。あの規模で一日十五万売るなんて上出来だぜ。普通にやれば五万どころか二万も難しい世界だぜ」
そうなんですか?確かにすぐ潰れるお店はよく見ますが…。
「あったりめえだろ!これで俺も遊んで暮らせる!働かなくていい!嫁も戻ってくる!嫁に内緒でSHINちゃんとこにも通える!俺は幸せ者だああああああああ!!」
大丈夫なんでしょうか…。でも讃岐さんのすごさは嫌ってほど見せつけられてきましたからね。そんな中、私の不安は的中しました。『UDN47ぷらすワン』と『粉衛門』に大きな事件が起こりました!
「何?売り上げが十万円を切った?嘘でしょー?ボーナス時期のこの時期に?それはあり得ないぜ」
現実として全ての曜日の売り上げが落ちています。原因は私から見ても分かりますね。最近オープンしたすぐ隣のビルで激安居酒屋と激安メイド喫茶を合体させたようなお店、『すぷらっしゅ』にお客さんを奪われているようです。『粉衛門』の店前までにも及ぶ強引な客引き行為や『二時間飲み放題一人千円+つまみ一品』のサービス。ホールスタッフもメイドのコスプレをしたかわいい子ばかりだそうです。しかもネットやSNSでは『UDN47ぷらすワン』の誹謗中傷も出てきました。中には卑猥で個人を貶めるものまであります。緊急ミーティングが仕込み前の『粉衛門』で行われています。
「気にしないでくださいね。ネットで叩かれるってことは、それだけあなたたちが注目されてきた証拠です」
「許せねえぜ!めがねめがねちゃんがあんなことするわけねーだろ!」
「ひ、ひ、ひ、ひどいです」
「私は大丈夫ですよ。そんなことより讃岐さん。『すぷらっしゅ』さんは時給二千円で募集をしているみたいですよ。アイドルとは違いますが明らかに『UDN47ぷらすワン』を意識して潰しに来てます」
「時給二千円であそこのあの家賃。それであの値段設定はあり得ない…こともない。タイミングを考えてもネットの誹謗中傷もあそこと『疑う』こともありです。あなたたちは今のお客さんを、ファンを大事にすることだけを考えてください。売り上げは下がりましたがそれでも普通ではあり得ない売り上げを記録しているのは事実です。その自信は大事です」
「私が潜入して何か暴いてきましょうか?」
こんな強気なよくできすぎさんは見たことないです。
「いや、そんなことはしなくていいです。あなたたちは今のお客さんを、ファンを大事にしてくださいと言ったばかりでしょう。客引きも根っこを絶たないと意味はありません。警察に行っても無駄です。所轄によりますが面倒ぐさがられるだけです。それよりも今後もこんな困難は山ほど起こります。リアルを見れるいいチャンスと考えてください。これもいい経験です。全国制覇となるとこれからもっともっと壁にはぶち当たります。こんなものは壁でもなんでもありません。この件は僕が何とかします。そうですね。一か月ちょいあれば十分です。その間、少しお店を離れますが皆さんなら大丈夫でしょう。料理は何かあればアニマルさんに聞いてください。アニマルさんお願いしますね。木曜日の僕の枠もお願いします。お金の管理は十八号さんにお任せします。釣り銭の両替なども含めてここに二十万円常に入ってます。管理をお願いします。他に困ったことがあればよくできすぎさんに相談してください。めがねめがねさんにはみんなで精神的フォローお願いします。『ちーむ父兄参観』と『ちーむしーおー2』はいつも通りやってください。決して心の不安を表に出さないこと。おっかさんはアニマルさんの手助けもお願いします。また、みんなのよき相談役としてよくできすぎさんのフォローをお願いします。ぴーてぃーえーさん、キューティフルさんはそれぞれの『トリオ』をしっかりとまとめる役割をお願いします。スピードマウスさん、みすえっこさん、おおぼけこぼけさんはとにかく『UDN47ぷらすワン』の一員として、また『ちーむ父兄参観』、『ちーむしーおー2』の一員として出来ることを全力でやってください。よろしくお願いします」
そう言って讃岐さんがメンバーに深々と頭を下げました。
「そんなあー、讃岐さんは頭を下げないでくださいぃぃ」
「そーおーでーすーよーーお。さーぬーきーさんーにはかしゃしてるす!」
「スピードマウスちゃんの言う通り!讃岐さんが誤ることじゃねえ!頭下げんな!みんな!一か月ちょい!売り上げをV字回復すんよ!!」
「やるしかないよね。私は仕込みなら特別にタダで協力するさ」
「ありがたいです。その分、讃岐さんがこの件が片付けば臨時ボーナスを出してくれるそうですよ」
「え?そうなんですか?僕が?」
「いえーーーーーーーーーーーーーーーい!!色付けてね♪」
「了解です。皆さん頼みましたよ。信じてますので」
他店との競合はよくあることですが、『すぷらっしゅ』はちょっと反則をしているみたいですね。商売のルール違反というのでしょうか。今日から讃岐さんが動き出しました。
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