第111話 さてと、町へと到着したけど、これはひどい、、、。

前回のあらすじ:フロストの町を出発してトリニトの町へと向かった。






 フロスト~トリニト間の街道を拡張つつ、数日かけてトリニトの町へと到着したが、歓迎の度合いが半端なかったのには驚いた。まあ、負傷者こそ出たけれども、死者ゼロだったし、援軍としてこちらに来た我が領民達の働きは見事だったのだろう。・・・と思っていた時期がそれなりにありました、、、。



 よく観察すると違っていたのに気付いた。出迎えは野郎共が圧倒的に多かった、、、。ということはだよ、お目当てはどう考えても戦姫の3人でしたね、本当にありがとうございました。



 アッシュはもちろんのこと、父上、いや、これからは親父と呼ぶか、こいつらなんか挨拶もそこそこに早速戦姫に接触してきたよ、、、。こいつら鼻の下伸びまくりで呆れたよ、、、。一緒に出迎えた連中に関してもほぼ同様だったことを付け加えておく。



 そんな感じだったから、町にはすぐに入れなかったよ。一緒にこっちにきたメンバーも呆れてたね。もう面倒になってきたので、差し入れだけ置いて帰ろうか、とかフェラー族長含め、部隊長達と話をしていたその時に、トリニトの町の女衆らが現れて、もうそこからは修羅場と化したね。ってか親父よ、伯爵夫人はどうしたんだ? あのバ、じゃなかった、ご婦人は屋敷から出てないので? まあ、あの顔は見たくないからその方がありがたいっちゃあ、ありがたい。



 ようやく騒ぎが落ち着いてきたと思ったら、今度は戦姫に対して反応の薄かった一部の野郎共はパトラちゃんに、ほとんどの女衆はクレオ君も含めた2人に群がりやがったよ、、、。2人はすぐに危険を察知してこちらに飛びついてきた。



 こんな状況にいい加減ウンザリしてきたんだけど、それはマーブル達も同様だったようで、いきなりトリニトの住民へと殺気を放ってしまった。もちろんマーブル達の殺気に耐えられる者はいるはずもなく、出迎え勢はその場に倒れたり、腰を抜かしたりしたけど、とりあえず静かにさせることに成功。呼ばれたから来たんだけど、こんな状況になってしまったら呼ばれた方は良い気分にはならない。



 フロストの町から来た私達は、ほぼ全員呆れた表情をしていた。我に返ったアッシュは慌てて謝ってきたけど、我が領民達はさっさとフロスト領へと戻りたい気持ちになっているようだ。特にクレオ君とパトラちゃんの嫌がり方は尋常じゃなかった。目を覚ました連中も慌てて謝りだしたので、一応向こうの顔を立てることにしたけど、話し合いの結果、私とマーブル達と戦姫の3人は、ここで止まることなく帝都へと向かうことにした。フェラー族長には、向こうが何か仕掛けてきたら、殺さない程度にフルボッコの許可を与えて、援軍組は一応トリニトの町で歓待を受けることになった。



 それでも、クレオ君とパトラちゃんに関しては、2人が嫌がったこともあって、私達と一緒に帝都へと行くことになった。ゴメンね、みんな。



 とりあえず、左側の馬車を1台だけこちらで使うことにした。アウグストは基本、私かウルヴの命令しか聞かないらしいので、こちらの馬車で使わせてもらうことにした。その代わりにフェラー族長に木騎馬10体分入っているマジックバッグを渡しておく。後は、差し入れる物資と帰りの物資の確認をしてから、私達はそのまま帝都へと向かうことにした。まあ、私達は援軍組じゃないし、これ以上の面倒事は勘弁して欲しいからね。戦姫と我が領のアイドル達がいなければ、あんな馬鹿なことはしてこないだろうし、後は大丈夫でしょう。



 ちなみに、アウグストは領内ではウサギ達やコカトリス達と仲良くやっているらしいので、一安心だ。何でも、最初はタンヌ王国の砦さながら王様気分で町に入ってきたらしいけど、レオを始めとした野ウサギ族やコカトリスを見て、自分の力を理解したようだ。野ウサギ族、いや、ヴォーパルバニー凄え、、、。



 気を取り直して、帝都への道中を進むことにした。今回のメンバーだと御者は私になる。というのも、戦姫は今回は外交の使者、いわばお客さんである。お客さんに御者をさせるわけにはいかない。私だって一応そういった分別はあるつもりだ。だったら、ガマンしてでもトリニトで宿泊しろよ、というツッコミがあるかもしれないけど、面倒事は勘弁だから仕方がない。まさかクレオ君とパトラちゃんに御者をさせるわけにもいかないしね、と考えながら馬車で道中は進んでいく。



 ちなみに、馬車であるが、今は切り離しているので通常より一回り小さいサイズである。とはいえ、空間魔法で内部は拡張してあるから広さは問題ない。御者席であるが、一応、大の大人3人くらいは座ることができる。今その御者席には真ん中には、もちろん御者をしている私、左にはクレオ君、右にはパトラちゃんが座っている。マーブルは私の膝の上、ジェミニはパトラちゃんの膝の上、ライムはクレオ君の膝の上にそれぞれ乗っている状態だ。膝上と左右にモフモフ、これはこれでよし。



 何故、我が領のアイドル達が左右に座っているかというと、馬車を操るやり方を覚えたいからだそうだ。しかし、私のやり方が正しいのかわからない。というのも、私は手綱で操っているのではなく、アウグストに直接言葉で指示しているからだ。このやり方はアウグストのように人語を理解できる馬であると同時に、完全にこちらの指示に従ってくれるほどの力関係、あるいは信頼関係がないと成立しない。



 今更だけど、ここはトリトン帝国である。何が言いたいのかというと、街道の左側には森が続いているけど、右側には何もなく殺風景ということである。これはフロストの町やトリニトの町ばかりではなく帝都までずっとこんな感じの景色がずっと続くのである。ちなみに、帝都の先にあるリトン伯爵や3馬、いや、3大臣の領土については知らない。行ったことないからね。要するに暇、ということである。



 ボケーッとしながら進むのもアリかもしれないけど、暇というのは精神的に厳しい。ということで、アウグストに進む速度だけ気をつけて貰い、御者役を交代していくことにした。というのも、クレオ君やパトラちゃんだけではなく、戦姫の3人からも暇だとクレームが来たからだ。



 そういう訳で、順番に御者役を代わりながら帝都までの道を進んでいく。マーブル達は、時たまアウグストの背に飛び乗ったり、降りてアウグストと一緒に走ったりしていた。通常の馬であれば、こまめに休息を摂る必要があるけど、そこはスレイプニルである。こちらが休憩しようか聞いても、必要ない! という返事が返ってくるのだ。あ、これはジェミニから聞いたんだけどね。結局休憩として止まったのは、昼食と夕食の時だけだった。



 トリニトの町から帝都へは街道を進んでも通常は3日くらいはかかる、今回は馬車とはいえ、引いているのはスレイプニルであるアウグストなので、それよりも早く到着できる。とはいえ、全速ブッパなら1日で着くみたいだけど、そんな速度で走られてもこちらがきつい。ということで大体2日くらいだろうか。ということは、もちろん野営がありますよ。



 ちなみに、今回の野営については、クレオ君とパトラちゃんがいるので、普段の私達のやり方、つまり氷の結界バリバリ状態による見張り不要の形式にした。正直トリニトの町で風呂を済ませようと考えていたけど、結局そのまま進んでしまったので正直どうしようかと思った。話し合いの結果、私達とクレオ君とパトラちゃんについては、ジェミニの土魔法で穴を掘って貰い、急ごしらえの露天風呂に入ることにして、戦姫の3人はねぐらの風呂を使ってもらうことにした。これは、クレオ君とパトラちゃんにはねぐらの存在は伏せておく意味があるからだ。ねぐらの存在を知っているのは、私達と戦姫の他には、ウルヴとアインとラヒラスのみであり、これ以上には話すつもりはなかった。戦姫のペットであるオニキスも知っているか。



 洗濯については私でないとできない+別にこっちでやっても問題ない、ということで、風呂の後に洗濯をすることになった。いや、着替えは十分あるから問題ないけど、こまめにしておいた方がいいからね。



 寝床だけど、クレオ君とパトラちゃんは、私達のテントの魔導具で寝ることになった。正直、私達のテントって、5人くらいは余裕で寝られる広さがあるし、マーブル達は3体いても1人分いくかいかないかくらいだし。



 そんなわけで、予定が少し変更になったけど、特にその後は問題もなく帝都へと順調に進んでいき、帝都の城門が見えるところまで進んだ。



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