第6話 この素晴らしい世けぇに祝福を
――――――数日後。
俺とめぐみんはアクセルの街にある病院のベッドで目を覚ました。
どうやらなかなか帰ってこない俺たちを心配した受付のお姉さんが他の冒険者を派遣してくれたらしい。
派遣された冒険者が俺たちを発見した時には周りに魔物は1体も見当たらなくて、魔物を生み出していた機械も完全に壊れてスクラップになっていたらしい。
ベッドから起き上がろうとしたけどまだ上手く体に力が入らなくて思うように動けない。
意識が飛んで倒れるくらい精神を削ってめぐみんに魔力を与えたのだから当然か。
医者が言うにはあと2、3日も安静にしてれば完治するらしいから、少しだけ休息するのも悪くないだろう。
――――そして、俺の前には用事が終わり倒れた俺を心配してお見舞いに来たアクアとダクネスの姿があった。
ダクネスは頬を赤くしながら荒い息遣いで、自分がアンデッドに襲われている姿を想像して興奮しながら話しかけてきた。
「おいカズマ。私がいない間にアンデッドの大軍に押し倒されるクエストを受けてただなんてずるいぞ! 何で私が帰ってくるまで待っててくれなかったんだ!」
…………俺はそんなクエストを受けた記憶は微塵もないんだが。
続いてアクアがため息をつきながら呆れた目を向けてきた。
「アンタバカぁ? 私が帰ってくるまで待ってたらそんな奴等ワンパンでやっつけてあげたのに」
…………お前を待ってたらアクセルの街が壊滅してたんだが。
…………って、おいい。2人共微塵も心配してる素振りを見せないじゃねーか。
それからもっと酷い目に会う事を妄想したり好き放題言ってくる2人の話を適当に流しながら横を見ると、ベッドですやすやと寝ているめぐみんの姿があった。
めぐみんもかなりの魔力を消費して疲れているらしい。
とりあえず今は2人共無事で帰って来られた事に喜ぶべきか。
「ちょっと、聞いてんのカズマ!」
「そうだぞカズマ。まだ私の話は終わってないぞ」
「あ~はいはい。俺はまだ疲れてるからもう少しだけ寝るわ」
今はこのやかましい声も悪くない。
再び目を閉じた俺は、今度は心地よさを感じながら意識が消えていくのを感じた。
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