EP No.012「煉獄登り②」
~前回の最終シーン~
颯真「まぁ、、そう言う人もいるって事で…そろそろ煉獄に、、、。」
ハニエル「はい!そうですよね…。」
颯真「ラファエルにも追いつかなきゃ、、、きっと退屈だぜ?」
ハニエル「待っています、、、貴方が煉獄の塔を登り切ると信じて、、、。」
彼女達も光に包まれた。
颯真「あぁ、、、きっとだ、、、。」
~前回の続き~
颯真「さて、ここが第九圏、地獄の出口…基煉獄の入口だ。」
その巨大な穴は、光り輝いていた。
リョコウ「では、、、行きましょう。」
旦那「はい、、、。」
颯真「それじゃ、飛び込みますか!」
リョコウ「はい!」
旦那「、、、。」
少し怯えた様な表情をする。
リョコウ「…大丈夫ですわ…きっと。」
颯真「なに、お前が心配する事は何もない。煉獄は自分がどれだけ人間として素晴らしいかを証明する為の場所だ。普段の素行が余りにも悪いとか無ければ大丈夫じゃないか?」
旦那「でも、、、。」
颯真「大丈夫だって!俺も1回ここに行った事あるから。」
旦那「え?」
颯真「…ちょっと…成り行きでな。」
リョコウ「大変だったんですね。」
颯真「あぁ……さて、話すと長くなるから、さっさと飛び込みますか!」
シュッ!
彼は言った傍から穴に飛び込んだ。
リョコウ「不安なら私と一緒に飛び込みますけど、、、本当に良いんですか?」
旦那「大丈夫、、、きっと。大丈夫だから…見ていて下さい、、、。」
リョコウ「…分かりましたわ。」
彼女はそれを聞いて、彼の傍で見守る。
旦那(大丈夫、、、私ならやれる!もう、、リョコウバトさんに迷惑は掛けたくない、、だから、、、私は、、、ッ!)
足は震えていた、しかし彼の中にある何かが新たな一歩として芽生えようとしていた…。
リョコウ(これは、、、ッ!)
旦那「跳べば飛べる!飛べば翔べるんだッ!空は…怖くない!私は…翔ぶんだァァァ!」
勢い良く助走を付けて、穴に飛び込んだッ!
リョコウ「そうでしたわね、、、。」
彼女も続いて飛び込む!
三人は贖罪と聖域の境界〈煉獄〉に向かう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~煉獄の塔・入口~
颯真「イィーッヤッホーッ!!」
旦那「うわぁぁぁぁぁぁぁッ!」
三人は地獄の出口…煉獄の入口に突入する。
リョコウ「あなた!大丈夫ですか?!」
少し速く降下して旦那に寄り添う。
旦那「だ、大丈夫!それより颯真さん、、、平気なんですね!」
二人はスカイダイビングの要領で自由落下をしているが…彼、颯真はアクロバット飛行をしながら落下している!
颯真「あぁ!最初はお前見たくビクついてたんだがな!空を飛んでいる内に慣れた!」
旦那「空を飛べるんですか?!」
颯真「勿論だ!今はまだ無理だがな!」
旦那「凄いですね!」
颯真「お前もその内飛べる様になるさ。」
旦那「…?今なんて言いました?!」
颯真「そろそろ煉獄に着くぞって!!」
旦那「、、、。」
リョコウ「あなた、そろそろ私に掴まって。もうすぐ煉獄ですわ。」
旦那「わかった、、、。」
彼はリョコウバトに抱き抱えられ降下する。
その時だった。急な反重力が三人を襲う。
颯真「ヴッ!」
旦那「!?」
リョコウ「!!?」
颯真「やっと煉獄だ、、、これだけは本当に慣れないぜ、、、全く、、、ッ。」
リョコウ「あなた、ねぇあなた?」
旦那「、、、。」
颯真「どうした?」
リョコウ「あなた!」
颯真「おいまさか、、、。」
リョコウ「あなた!返事をして!」
颯真(血液が抜けて、意識が無くなる、、、
旦那「あ、、、ぐ、、、あぁ、、、。」
颯真「!!一過性脳虚血発作…まさか!」
彼はある症状を見た途端、顔が青ざめる。
リョコウ「一過性脳虚血発作…?」
颯真「まずいぞッ!凄くまずい!」
リョコウ「え!?」
それを確かめる為に質問をする。
颯真「リョコウバト!幾つか質問だが、旦那の脳に異常はないな?」
リョコウ「えぇ、、、。」
颯真「心臓や肺、血管にも異常はないな?」
リョコウ「えぇ。」
颯真「直ぐに旦那の頭を、重力の向きと同じ方向に、並行より少し下に傾けるんだ!」
リョコウ「???」
颯真「早く!」
リョコウ「わっ、、、分かりました!」
旦那の頭を重力の向かう方向に傾けた。
颯真「良し…これで何とかなる筈だ。」
数秒後、旦那の意識は回復した。
旦那「私、、、今何を、、、。」
颯真「良かった、何とかなった。」
旦那「一体何が、、、?」
颯真「お前は心配しなくても良い。」
旦那「???」
リョコウ(颯真さん、、、凄い人ですわ、、今の状態から最善の判断を下すなんて、、、まるで聖人君子ですわ、、、。)
三人は煉獄に突入する!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~煉獄・???~
颯真「イィーッヤッホーッ!!」
リョコウ「つきましたわね、、、。」
旦那「ここが、、、煉獄?」
三人は煉獄の地に足を踏み入れた。
颯真「さ〜て、どうしたものか、、、。」
彼は辺りを見渡す。
旦那「ジャン…グル…ですよね。」
颯真「あぁ、多分。」
辺り一面には緑色の植物が茂っている。
リョコウ「一体ここはどこなんでしょう?」
颯真「看板を見た限りだと、、アンイン地方立ち入り禁止区域らしいな。」
旦那「立ち入り禁止区域、、禁止!?」
颯真「あぁ…やばいかもな。」
リョコウ「そうこうしている合間に、、来てしまいましたわね。」
颯真「さ〜て、、、駆逐するか。」
そう言った彼はクリエイター能力を起動させウイング形態へ。
旦那(これが、、、颯真さんの能力!)
リョコウ(明らかに強そうですわ、、、。)
颯真「ユニオンフレンズ・ウイング!目標を駆逐するッ!行けェ!」
シュンシュンシュンシュン!ジュビーッ!!ビービーッ!ジャキン!ジャキン!
彼に装備されたほぼ全ての武装は彼の周りを飛び、敵を一掃して行く!
パパパパパパパパパパパパパパッカァンッ!
━━━━━━━━━━
~探検隊組~
???①「セルリアンが多いですね…ッ!」
????①「まだまだ行けるわ!」
???②「そうですわ!」
????②「わふ〜い!まだまだ!」
??「まだくるよ!気を付けて!」
シュンシュンシュンシュンッ!
彼の飛ばしたブレードがやって来た!
???①「たっ、隊長さん!あれは!?」
隊長「わっ、分からないよ!」
???②「とにかく、新種のセルリアンかもしれませんわ!」
????「任せて!ジャスティス…ッ!」
彼女が技を発動する間も無く通り過ぎた。
????①「what!?なんて速さ!」
???②「セルリアンだけ倒していますわ。何かありますわね、、、。」
隊長「…何か来る!皆避けて!」
???①「!?」
ビーッ!ビーッ!
次にシューターが飛んできた!
隊長「銃!?」
???②「やはり新種のセルリアンッ!」
????①「今度こそ!ジャスティス…!」
しかし物凄い速さでシューターも過ぎた。
????「!?」
????②「はや〜い!」
???①「隊長さん!どうしますか!?」
隊長「僕達はこのまま待機!このセルリアンが害をなすとは考えられない。だから待機!害になる様なら僕達で倒すよ!」
???①「分かりました!」
???②「大丈夫ですの?」
隊長「多分あのセルリアンは誰かが動かしているんだ…。」
???②「確証はありますの?」
隊長「確証では無いけど、前に図書館で見た事があるんだ。」
???②「確かに、見ていましたわね。」
隊長「恐らく、、、それかも知れない。」
???②「まさか!実在するとでも!?」
????①「でも、今目の前で起こっている事は間違いじゃないわ。」
???①「そうですよ先生!あのセルリアンは普通とは違いますよ!」
???②「そうですわね、、、ここは隊長の言う通りにしますわ。」
隊長「各自警戒しながら待機ッ!セルリアンによる奇襲攻撃に備えよ!良いね?!」
四人「了解!!」
━━━━━━━━━━
~颯真組~
視点は戻って颯真組。
颯真「数が多いッ、、、!」
リョコウ「私も手伝いますわ!」
颯真「頼むッ!」
リョコウ「手羽先……トルネードォッ!!」
バビューンッ!!ブフォォォォォォッ!!!
頭に付いた翼で、纏めて周囲のセルリアンを吹き飛ばす!
颯真「ナイスッ!」
ビビビビビビビビビビビビビビュンッ!!!
ハンドシューターを連射して一掃する!
パパパパパパパパパパパパパパパッカァン!
リョコウ「これで、、、最後ですわね。」
颯真「そうみたいだな。」
武装を全て戻し、能力を解除する。
旦那「す、凄いです!!颯真さん!」
颯真「そうか?」
リョコウ「破格の強さでしたわね。」
颯真「まだ全力すら出せて無いが…ん?」
旦那「どうしました、、、?」
リョコウ「何か歩いて来ます。」
颯真「あぁ、、、数は5、、、その内四人がフレンズ、、、一人は人間、、、歩き方からして戦い慣れしている、、、探検隊か、、、警備隊、、、人間も居るから探検隊か?」
リョコウ「そうみたいですわね。」
ガサガサ!
颯真「誰だ。」
???①「あっ!居ました!」
隊長「どうも、初めまして。」
リョコウ「貴方は、、、?」
ドール「私、ドールって言います!」
颯真「ドール、、、アカオオカミか。」
ドール「はい!」
隊長「僕は隊長…
颯真「俺は梅宮颯真だ。颯真で良い。」
リョコウ「私、リョコウバトって言います。そして、あっちに居るのは…」
旦那「旦那って言います、、、皆さん宜しくお願いします。」
???②「大丈夫ですの?」
????①「、、、。」
????②「わぁ〜い!ヒトだ〜!」
隊長「皆聞いて。この茶色いオオカミさんが颯真さんで、、あっちがリョコウバトさん。そして旦那さんだよ。」
ミーア「礼儀として挨拶はしますわ。私、、ミーアキャットと申しますわ。」
ハクトウ「私はハクトウワシよ!」
マイルカ「マイルカだよ〜!」
颯真「それで、お前らは何でここに?」
隊長「たまたまこの辺りを通りかかってね。セルリアンが大量発生したから皆でどうにかしようって。」
颯真「じゃあもう一つ聞くが、、お前達って探検隊か?」
隊長「そうだね。何で知っているの?」
颯真「本でな。」
隊長「君ってフレンズなの?」
颯真「う〜ん、、、違うと言えば違う。」
ドール「、、、。」
彼女の顔が曇る。
隊長「じゃあこれが最後、、君は僕達の敵…セルリアンかい?」
颯真「さっきと同じかな…?」
首を少し傾げて答える。
隊長「フレンズでもセルリアンでもない?」
颯真「いや両方だ。」
隊長「、、、。」
ハクトウ「隊長、危ないわ…下がって。」
ミーア「ですわね。」
ドール「セルリアンの匂いもします…!」
マイルカ「つよそ〜!」
颯真「まぁ疑うのも無理ないか。」
隊長「どういう事?」
颯真「その内分かる。」
彼は臨戦態勢だ。
旦那「颯真さん!」
颯真「大丈夫だって、、軽く終わらせるだけだから…な?」
旦那「、、、。」
リョコウ「本当に良いんですね?」
颯真「あぁ…少し離れていろ。」
隊長「殺る気みたいだから、こっちも。」
探検隊も臨戦態勢だ。
ドール「先ずは私からッ!え〜い!」
仕掛けたのはドール。引っ掻きをする。
颯真「良い攻撃だが…まだまだだな。」
瞬間、彼女の手首を掴み、組み付いて両手を後ろ側へ回させ片手で下腕を掴み封じた。
ドール「うわぁ!?」
颯真「俺には止まって見える。」
ドール(つ、、、強い!)
ミーア「ドール!今助けますわ!」
懐から白チョークを取り出して投げつける。
颯真「その程度の騙しでビビるとでも?」
あえて身に受けた。微動だにしない。
ミーア「なっ、、、!?」
颯真「距離を取るのは良い事だが接近された時の対処法はどうだ?」
ドール「ッ!?」
何と彼女を押さえ込んだままミーアキャットの至近距離まで移動した!
ミーア「速いッ!」
颯真「よいしょっと。」
ミーア「痛っ!」
彼女の足元を払い、尻餅を付かせる。
ミーア(なんて強さ、、、ッ!)
マイルカ「私の攻撃を喰らえ〜!」
尻尾を振り回し攻撃する!
颯真「まだまだだな。」
ガシッ!
マイルカ「え!?」
もう片方の手で尻尾を掴む。
颯真「攻撃の挙動が単純過ぎる。」
マイルカ「うわぁ!!」
そのまま尻尾を手から離す。
マイルカ「強すぎ〜!」
颯真「最後は、、、お前か。」
ハクトウ「最後はこの私が相手よ!」
颯真「飛んでるのか、、、厄介だな。」
ハクトウ「喰らいなさい!ジャスティス…」
颯真「それでは間に合わないな。」
ドールを手から離しひとっとびで彼女と同じ高さまで飛び上がる。
ハクトウ「なっ!?」
颯真「どうした
ハクトウ「ジャスティス…ッ!」
颯真「さっきも言っただろう?」
彼女の腰に組み付く。
ハクトウ「グッ!」
颯真「切り揉み回転って知ってるか?」
ハクトウ「!?」
颯真「そ〜れ!回れ回れ〜!」
地面と垂直に回転数を上げながら回る!
ハクトウ「グゥッ!?」
颯真「せぇ〜のッ!」
そのまま真上に投げる!
ハクトウ(体制が、、、ッ!)
颯真「よっと。」
そのまま地面に着地!
ドール「ヤァァァァッ!!」
颯真「奇襲は普通声なんか出さねぇって。」
もう一度抑え込む。
ドール(また、、、ッ!)
颯真「…そろそろかな。」
ドールへの組み付きを解除して、ある地点に立って空を見上げる。
ドール「ッ!」
颯真「さっきよりマシにはなったが見え見えだぞドール。」
意図も簡単に避けた。
ドール「なっ、、、ッ!?」
颯真「あと邪魔しない方が良いぞ?」
ドール「え?」
ハクトウ「うわぁぁぁッ!」
ドサッ!
颯真「ナイスキャッチ。」
ハクトウ「!?」
颯真「よし、、皆怪我は無いな?」
ドール「、、、。」
ミーア「、、、。」
マイルカ「、、、。」
ハクトウ「、、、。」
隊長「、、、。」
リョコウ「凄い、、、。」
旦那「戦意だけを消失させるなんて…。」
颯真「本気出せればもうちょいマシな方法が使えたんだが、、、仕方ないかな。」
旦那「その方法って?」
颯真「意識同士を繋いで対話が出来るんだがまだ出来なくてな。」
旦那「え!?」
颯真「さて、一つ道案内をして貰いたいが、煉獄の塔って何処だ?」
隊長「煉獄の、、、塔!?」
颯真「お?知ってるのか?」
隊長「探検隊の中で、立ち入り禁止にされている場所じゃないか!」
颯真「俺達は探検隊じゃない。」
隊長「、、、。」
颯真「こう見えても急いでるんでな。」
数秒間が空いた。
隊長「…ここから南西に10Km先、塔の場所を知っている人物が居る。」
ハクトウ「、、、。」
颯真「良し、行こうか…案内してくれ。」
隊長「分かった。」
探検隊と三人はバスに乗った。
━━━━━━━━━━
~バス・走行中~
ハクトウ「隊長。」
隊長「どうしたの?」
ハクトウ「何故教えたの?」
隊長「彼が教えるに値したからかな。」
ハクトウ「でもそれは機密事項で、教えてはならなかった筈よ?それなのに…」
隊長「いや、今ので分かったんだ。」
ハクトウ「?」
隊長「彼はここでは無く、、、もっと高みに居るべき者だと。」
ハクトウ「言っている意味が分からないわ。説明して頂戴。」
隊長「君なら尚更気付きやすい筈だ。彼が、一切僕達を倒す気が無かった事に。」
ハクトウ「、、、。」
隊長「更に相手が怪我をしないかでさえ視野に入っている…普通の人はここまでしない。それに、彼は…」
ハクトウ「彼は?」
隊長「狼の様に気高い人格者だった。」
ハクトウ「貴方、たまに誰にも理解出来ない事を言うわね本当に、、、。」
隊長「その内わかるよ。」
ハクトウ「…良いわ…私が絶対見極めるから見てなさい!」
隊長「そっか。」
ハクトウ「、、、。」
……………………数分後………………………
旦那やリョコウバト達は寝てしまった様だ。
ザーッ!
その時、通信が入った。
ミライ[颰班、颰班、こちらミライ班です、応答願います。]
颯真「!?」
隊長[こちら颰班、颰班、ミライさん聞こえますか?]
ミライ[颰さん今どちらに向かって居ますでしょうか?]
隊長[管理局に一旦戻っています。]
ミライ[どうなされました?]
隊長[運転中なので手短に話しますが、先程アンイン地方にある立ち入り禁止区域内で、セルリアンの群れと交戦しました。]
ミライ[それで?]
隊長[その時ヒト一人フレンズ二人と邂逅、彼らが言うに煉獄の塔に行きたいそうです。返答を請います。]
ミライ[何故探検隊の機密事項が漏れているのですか?]
隊長[元から知っている感じでした。]
ミライ[…漏れてはいないが、彼らには既に知られていたと?]
隊長[恐らく。]
ミライ[彼らは今そこに居ますか?]
隊長[はい。]
ミライ[変わってくれますか?]
隊長[分かりました。]
彼は受話器を耳から外し颯真に手渡す。
颯真「俺に出ろと?」
隊長「勿論拒否しても良いけど、第一印象が悪くなるだけだよ?」
ルームミラーから出ろと言う雰囲気を出す。
颯真「…仕方ない。」
ミライ[聞こえますか?]
颯真[あぁ。]
ミライ[貴方の名前は?]
颯真[梅宮颯真だ。]
ミライ[私はミライです。]
颯真[宜しく頼む。]
ミライ[まず最初にお聞きしますが、貴方はヒトですか?]
颯真[いや。]
ミライ[フレンズですか!?]
颯真[あぁ。]
ミライ[種類は…?]
颯真[エゾオオカミ。]
ミライ[では元ヒト?]
颯真[そうだな。]
ミライ[もう一方のフレンズは…?]
颯真[リョコウバト。]
ミライ[これまた重い組み合わせですね…]
颯真[どちらも絶滅種だからな。]
ミライ[所で煉獄の塔についてご存知で?]
颯真[名前だけは聞いた事がある。恐らく、天国へ行く為の場所と考えられるが。]
ミライ[はい。伝承によると、その塔には、登る者を試す塔であると書かれています。]
颯真[、、、。]
ミライ[ですが、今の私達では登るのは疎か近付く事でさえ出来ないんです。]
颯真[あぁ。]
ミライ[はっきり言いますが、残念ながら塔の周辺は、超強力なセルリアンの大群が生息しているので、普通のフレンズでは太刀打ち出来ないんです。]
颯真[どれ位強いんだ?]
ミライ[連携攻撃をしてくる程には。]
颯真[つっよ、、、。]
ミライ[えぇ、、でもセルリアンを殲滅する必要は無いんです。塔の入口とその経路さえ確保出来れば。]
颯真[それで俺?]
ミライ[はい、貴方なら。]
颯真[塔の入口とその経路さえ確保出来れば良いんだな?]
ミライ[えぇ。]
颯真[なら俺に考えがある。]
ミライ[本当ですか!?]
颯真[要は橋頭堡を作れば良い訳だ。]
ミライ[橋頭堡…ですか?]
颯真[あぁ。概要は地図を見てから決める。じゃあ一旦通信は切るぞ?]
ミライ[はい。]
がちゃ。
隊長「どうだった?だいぶ長話をしてたようだけど?」
颯真「煉獄の塔にセルリアンがわんさか居るんだってさ。」
隊長「!?」
颯真「もしかしたらそこが発生源かもよ?」
隊長「なんで今知りたい情報を?」
颯真「お前の持ってる資料をちと拝見させて貰ったが、、結果からするとだな、、、煉獄の塔が一番発生率高いぞ?」
資料を見ながら返事をする。
隊長「うん、、探検隊では手に負えないから軍隊が何十回も出動してる。それでもやっと1キロ辺りまで前進出来たんだ。」
颯真(塔の周りでの死亡割合、、、!?なぜ軍隊よりフレンズが多いんだ…!?軍隊に、フレンズは居ない筈だろう…?)
隊長「どうしたの?」
颯真「いや、、、特殊能力でも持たない限り人間じゃセルリアンに太刀打ち出来ない。」
隊長「それは僕への当て擦りかい?」
颯真「いいや皮肉さ。」
隊長「、、、。」
颯真「俺も似た様な事を味わった。だから、この力は皆の為に使う。」
隊長「大層な思想だね?」
颯真「そうか?」
隊長「そういう考えが出来るのは、君位しか居ないかもね。」
颯真「いや、、、必ず同士は居る。」
隊長「そうかい、、、。」
車内で数十分の時が流れた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~探検隊管理局前~
バスに揺られてはや一時間、、、漸く探検隊管理局前に着いた。日は落ちかけてマジックタイムに入っている。
颯真「ねみぃ、、、。」
隊長「仕方ないでしょう?ここが一番近い所なんだから。」
颯真「くっそ、、、完徹ばりの眠気だ。」
それもその筈、地獄に来てからここまで一睡もせずに戦って来たのである。
隊長「ハイハイ、、、。」
ミライ「あっ!颰さん!」
隊長「ミライさん!久しぶりです!」
ミライ「はい!それで、あの方が?」
颯真「俺が颯真、、あっちがリョコウバト。それでこっちが旦那。」
ミライ「大分お疲れのようですね…。」
颯真「時間的に完徹はしてないが…。」
ミライ「案内しますよ?」
颯真「頼む。」
ハクトウ「リョコウバトは私が。」
隊長「旦那は僕が運ぶよ。」
ミライ「はい、ではこちらに。」
三人は部屋に案内され、眠りに就いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~不思議な夢~
颯真「……ん?」
気が付くと彼は花園に居た。四季折々の花々が咲き誇り、空はどこまでも青く明るい、、雲一つ無い快晴だ。
颯真(いつもと違う、、、いつも見る夢とはなにか違う。)
彼は花園にポツリと立っているだけだ。
???「ねぇ!そこの君!」
颯真「?」
呼ばれて後ろを振り向く。
???「こっちこっち!」
彼女は手を振る。彼は近寄る。
颯真「君は誰だい?」
???「私の名前はピアサ。」
颯真「ピアサ?」
ピアサ「そう。」
颯真「見た目からして…龍…か?」
彼女の姿、それは頭にフレンズ特有の白い翼を生やしカジュアルなベージュのワンピースを着ていて素足である。尻尾は、青龍と似た様な形であり、色違い(ブラウン)である。
ピアサ「えぇ。私は幻獣よ。」
颯真「幻…獣…!?それは本当か…?」
それを聞いて彼女は頷く。
颯真「じゃあ、、、ユニコーンやペガサス、フェネクスみたいに、、、。」
ピアサ「私も特別な力を持っているわ。」
颯真「…だが、、、何故こんな事を?」
ピアサ「貴方が特別だからよ?」
颯真「…特別?」
ピアサ「貴方の力は何にでもなれる。」
颯真「?」
ピアサ「今の貴方は
颯真「、、、。」
ピアサ「でも、
颯真「…だろうな。」
ピアサ「どういう事?」
颯真「そんな事は最初から判ってる。」
ピアサ「?」
颯真「
ピアサ「…貴方、まさか、、、。」
颯真「俺には固定概念なんて必要ない。」
この一言で彼女は沈黙した。
ピアサ「…。」
颯真「あいつは一人で頑張ってる。俺は、、帰って来たその時に、、おかえりって言ってやるだけだ。」
ピアサ「そう…貴方は受け入れるのね…。」
颯真「あぁ。誰が何を言っても…。」
ピアサ「でも、その心があったからこそ、、
颯真「勿論さ、、、俺はもっと、、、高みを目指さなきゃならない。」
ピアサ「見ているわ…ずっと貴方の傍で。」
颯真「?」
ピアサ「それじゃあまたね。」
颯真「おい!待て!ッ!」
彼の周りに花吹雪が舞う。軈て目が覚めた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~翌日~
颯真「はっ!」(夢か…。)
ミライ「起きました?」
目覚めたら彼女が正装で座っている。
颯真「!?」
ミライ「少し魘されていたので、、、。」
颯真「そうか、いや、少し悪い夢を見ていただけだ、、、。」
ミライ「そうですか、、、。」
颯真「さて、、、作戦でも立てますか!」
ミライ「はい!」
二人は大広間に向かう。
━━━━━━━━━━
~作戦立案~
その数分後、探検隊二班(颰班とミライ班)と颯真達3人が大広間に集結した。
ミライ「皆さん揃いました〜?」
サーバル「は〜い!」
アライグマ「アライさんも居るのだ!」
フェネック「居ますよ〜。」
颰「皆いる?」
ドール「はい!」
ハクトウ「居るわよ!」
ミーア「全員居ますわ。」
マイルカ「わふ〜い!」
颯真「居るな?」
リョコウ「はい。」
旦那「居ます。」
部屋内が静かになる。
ミライ「これから、煉獄の塔攻略作戦会議を始めます。」
一同「宜しくお願いします。」
ミライ「まず、彼らの自己紹介を。」
最初に彼が起立する。
颯真「俺の名前は梅宮颯真…宜しく頼む。」
次にリョコウバトが。
リョコウ「私はリョコウバトです。」
最後に旦那が。
旦那「私は旦那です。」
ミライ「この三人に関しては、私達が機密にしていましたが既に知っていたので、問題はありません。ここの者でもないので、私達が処罰を下す事は出来ません。以上の事は留意して下さい。」
ドール「はい!ミライさん質問です!なんで処罰されないんですか?」
ミライ「第14条処罰の判定第2項に探検隊配属のフレンズ、並びにヒトによって起きた事象に対して両者の責任に対する対処を必要としない、又は故意的に行われず双方の過失が認められない場合、探検隊は如何なる理由があろうとも、処罰を下せない。と書かれているので、問題はありません。更に同じ条の第1項に探検隊は法的機関を用いずに処罰を下す事が出来るが、その対象は探検隊に配属されているフレンズ並びにヒトとする。それ以外のフレンズ並びにヒトは処罰を下す際に法執行機関を用いて厳粛に処罰をしなければならないとなっています。」
颯真「つまり機密にしていた事は俺達に既に知られていたが、どちらも悪くないから処罰の仕様がないし、そもそも俺達は探検隊ではないから勝手に処罰出来ないって事。」
ドール「なっ、、、!?」
旦那「大丈夫って事ですか?」
颯真「まぁ聞いた限りだとな。」
ミライ「勿論大丈夫ですので安心して会議に参加してくださいね?」
旦那「はい。」
ミライ「話を戻しますが、現在自衛隊が対処している煉獄の塔についてこちらで対処する事が出来るかの検討と出来ると可能性が高い作戦の計画について話し合いましょう。」
そう言った彼女はモニターに塔周辺の情報を表示した。
一同が驚きの声を上げる。ざわめいた。
ミライ「これは塔周辺の情報です。変異型…白セルリアンが塔の壁に張り付き、恐らく、内部にはファージセルリアンが存在していると思われます。」
ファージセルリアン、それは他セルリアンの個体に取り付きファージセルリアンに変えてしまう恐ろしいセルリアンである。
医学上のファージは、非常に微細な生物で、細菌類に別の遺伝子を注入し、自身の分身を作らせる生物である。基本的に無害で、医療に役立てれる可能性があると言われている。
ミライ「普通のフレンズでは、セルリアンと同様に汚染される可能性が高いです。しかし颰さんの情報によれば彼が例外に当たるそうですね?颯真さん。」
颯真「あぁ。勿論。」
また一同がざわめく。
颯真「もし…もしもの話だが、俺なら…。」
ハクトウ「そんな貴方の淡い期待に私は命をかけられないわ!冗談を言うなら出ていって頂戴!」
颯真「冗談じゃないさ。俺ならな。」
ハクトウ「?」
颯真「俺は、、感情がある者なら全て対話が出来る。例え言葉が話せなくとも。」
ハクトウ「有り得ないわ!対話するなんて!貴方にはそれが出来るって言うの?!」
颯真「今は出来ない。」
ハクトウ「そんな戯れ言を、、、皆信じると思うの!?」
颯真「何れにせよ信じるを得なくなる。」
ハクトウ「、、、。」
ミライ「それと、ドールから聞いた話だと、貴方からはセルリアンの匂いがしたと聞いたのですが、、、?」
ハクトウ「そうよ!貴方、本当はセルリアンじゃないかしら?」
颯真「…!」
ハクトウ「図星の様ね?」
颯真「俺がセルリアンという確証は?」
ドール「今でもセルリアンの匂いがする事、更に背中が少し出っ張っている事です!」
颯真「あぁ。確かにそうだ。俺は…俺は…」
歯を食いしばった。
ハクトウ「遂に認めたわね!?」
颯真「俺はクリエイター、、、元人間で、、フレンズで、、、セルリアンだ!」
彼の右腕が皆の前でセルリアン化する。
ハクトウ「what!?」
ミーア「どうやら本の内容は正しいようですわね?颰隊長さん。」
颰「、、、。」
ドール「え、、、ぇ?」
大広間のフレンズ達は困惑した。
颯真「だから言いたく無かったんだ…普通の人やフレンズが聞けば敵と認識する…逆に、セルリアンが見れば捕食対象になる!どちらからも忌み嫌われて今の俺に安らかに生きる場所はないッ!今のお前らに、俺の気持ちは分かるまい!そうだとも!お前らフレンズはセルリアンを敵としてしか見ていないんだ!一方的な偏見で、他者を殺している!」
リョコウ(颯真さん…こんな悩みを…。)
ハクトウ「、、、。」
颯真「だから戦いは終わらないんだ…多くの血が流れ、関係ない命が散って行き、挙句の果てに武力行使で解決する始末だ!お前らは一体何がしたいんだ!一方的にセルリアンを殲滅し、勝利した事に酔いしれて、同類の為にと我が身を滅ぼす!まるで人間が起こした戦争じゃないか!こんなのは、一方的な…」
彼が言ったのは太平洋戦争の事である。彼は故意によって起こされた戦争は無くすべき、と考えていた。故に彼は言った。
ミライ「なら、貴方は何故戦うのですか?」
彼女の質問が彼の口を止めた。彼はこう返答して、自身の覚悟を示す。
颯真「、、この世界から争いを無くす為に。その為だけに、俺は戦う。」
ミライ「矛盾しています。争いを無くす為に戦うなんて、、、。」
颯真「分かってる。例え矛盾を孕んでも、、俺は、いや、俺達は、戦う。未来の為に。」
ミライ「貴方は、、、背負うんですね?」
颯真「勿論だ。」
ミライ「分かりました、、、信じましょう。貴方が持つ、その可能性に。」
ハクトウ「ミライまで!」
颰「君も、、、今ので、気付いたでしょう?ハクトウワシ。彼はやはりクリエイターで、その力を私利私欲では無く自分を信じている皆の為に使う覚悟があるって、、、それってきっと凄い事なんだ。僕なら自分を守る為にしか使ってなかったと思うし。何より、、、彼は強い。戦う強さでは無く、真に心が。」
ハクトウ「、、、。」
ミライ「話を戻します。現在、煉獄の塔にはファージセルリアンが大量発生しています。そこで私達は橋頭堡を作る為、その足がかりとなります。必要以上の駆逐はしない様に、余力を残しつつ進軍しましょう。以上。」
颯真「一つ聞きたいが、俺達は、どこに所属すれば良いんだ?」
ミライ「う〜ん、、、。」
颰「僕の班は、、、。」
ミライ「ですね。」
颯真「じゃあミライ班に入るって事か?」
旦那「私は、、、。」
ミライ「旦那さんは私と最後尾で待機です。万が一危険にあってもダメなので。」
颯真「俺とリョコウバトがミライ班に参加。ミライが指揮を取るって訳か。」
現状の解釈を述べる。
ミライ「はい、お願いします。」
颰「これで終わりで良いかな?」
ミライ「そうですね。これにて本会議を終了します。ありがとうございました。」
一同「ありがとうございました!」
颰班は一目散に退出した。
ミライ「颯真さん、リョコウバトさん、旦那さん。本日は宜しくお願いします。」
颯真「宜しく頼む。」
リョコウ「宜しくお願いしますわ。」
旦那「はい、、、宜しくお願いします。」
サーバル「宜しくね!」
アライグマ「宜しくなのだ!」
フェネック「宜しくね〜。」
颯真「さて、、じゃあまず何をするんだ?」
ミライ「貴方の実力を知りたいです。」
颯真「…言葉で伝わるか?」
ミライ「多分、、、。」
颯真「おk、裏山で。」
ミライ班と颯真達は基地の裏山へ。
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~裏山~
颯真「その辺だ。停めてくれ。」
ミライ「この辺りですか?」
颯真「ここだ。」
そう言って彼はバスの屋根に。
ミライ「?」
颯真「丁度太陽が出てくる所だ。」
裏山から太陽が昇る、、、。
颯真「ユニオン・フレンズ…起動!」
クリエイター能力を起動させる。
ミライ「これは…。」
フェネック「凄いね〜アライさ〜ん。」
アライグマ「凄いのだ!」
颯真「ユニオンフレンズ・ウイング!」
ミライ「形態が変わるんですね?」
颯真「全ウェポン展開!」
シュンシュン!ビュンビュン!
彼は一度にブレード、シューター、シールドを全て動かした。
颯真「これでどうだ?」
ミライ「試しにビームを…。」
アライグマ「ビームなのか!?」
彼女は目をキラキラさせる。
颯真「ビームったって、、、クロスシールドのビームなら、、、。」
三つを合体させてビームを空に向けて放つ。
颯真「これでどうだ?」
ミライ「はい!分かりました!では探検隊の基地に戻りましょう。」
颯真「了解。」
窓から車内に戻った。
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~これから~
ミライ班と颯真達は、探検隊の基地内で昼食を取っていた。
旦那「上手い、、、。」
リョコウ「そうですわ。」
颯真「だな。」
ミライ「料理が出来るんですね?」
颯真「まぁな。人間の時の名残さ。」
これから颯真達はどうなって行くのか、、、次回に続く!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~後書き~
やぁケモナーさんだ。投稿が非常に長引いてすまない!冬休みも同じ位になりそうだ!
お詫びとして少し長く作ったので、、、。
次回も首を長くして待ってくれると嬉しい。
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