七夕

きらきらひかる

お空の星よ

まばたきしては

みんなを見てる

きらきらひかる

お空の星よ


きらきらひかる

お空の星よ

みんなの歌が

届くといいな

きらきらひかる

お空の星よ


☆きらきら星・フランス民謡より☆




生まれて初めて願ったのは月でも太陽でもなくて。

誰かから教わった星の歌。月でも太陽でもない、無数にある星…


今でも時々口ずさむその歌は、どこか懐かしさがあって、同時に寂しくも感じる歌だと思った


初めて願ったのは—覚えている一番初め、という事になるが—多分四、五歳くらい

引き取られてから一、二年経った頃。ある夜に空を見上げて、何を思ったのか月ではなく星にこう言ったのだ


「たくさんあるおほしさま。きっとたくさんあるから、どれかひとつでいいのです。リベラのおねがいを、きいてください…」


小さな手を組んで、夜空を見上げる潤んだ瞳

一年中冬のこの世界の中、夜中に裸足で、白い息を吐きながら。


「リベラは、しあわせ…です。イスタシアたまが、ひろって、くれたから…ぱぱも、ままも、しらないけど、しあわせ、です。どうか、おねがいします。こじ、たちが…リベラみたいにしあわせ、になりますように…」


寒さで紅くなった頬と手足。冷たくなった小さな身体で一人、満天の星の下でこうべを垂れる……


銀色の小さな光達が幼子を見つめ、白銀の輝きがそれを包み込む

その世界に幼子と星々しかいないのではないか、と錯覚しそうな程の静寂…


幼子は昼間に聞きかじった〝孤児〟という存在を案じ、どこで聞いたのか本人さえも知らない星々の歌を思い出し、願ったのだった


『きーらきーらひーかーる、よーぞらのほーしーよ…まーばたきしーては、みんなーをみーてーる……』

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