第5話
言われたとおりの店の前に立つと、都会の田舎出身の俺には見新しいネオン街が広がっていた。なんだか入り込んではいけない世界に入り込んだような気がする。俺は息をのんでエレベーターのボタンを押した。徐々ににぎやかな喧騒を下に見下ろしながら鼓動が高まっていく。とても入り込み辛い境界線を渡った。
清潔感のあるバーにオーナーはいた。俺よりも小さな男でしばらく視線を交わしあった。
やっと口を開いたのはオーナーだった。
「どうしたの、もしかして体入の子?」
「あ、はい。体験入店・・・・・・」
俺はバーのカウンターの前の客席に座らされた。エントリーシートという紙に記入を面倒くさいと思いながら記入してマスターに渡す。
「体験入店志望、理由はお金がないから・・・・・・か」
正直に書きすぎたかもしれない。額に冷たい汗が流れる。オーナーはをれの渡した資料に目を通してから顔を上げた。
「じゃあ、俺が教えるからこれに着替えて」
と、店のユニホームを手に握らされて俺は店の奥の更衣室に入った。
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