第9話 雲雀さんはおちゃめ? 真面目? 不真面目?
「何故ダイエットしなければいけないんですか?」
質問してみた。雲雀さんの目は潤んでいない。
「何故って……和希は妹さんと今のままでいいの? 邪魔だからココに行けってだけしか聞いていないけど、日常的に罵倒されていたんじゃない?」
「はい。そうです……」
「和希……気づいているんでしょ? あなたはそんなに鈍感なの? 違うでしょ? それともドMなの?」
くっ、雲雀さんはやり手だ。究極の選択させるなんて。とぼけるとドM認定されてしまう。気づいていると言うしかないじゃないか!
「……分かってますよ。雲雀さんの言いたいことは。でも、手遅れなんですよ。痩せても何も変わらないんですよ」
「ほんと馬鹿ね。私たち女子高生のこと何も分かってない」
「女子高生の……こと?」
雲雀さんが何を言っているのか理解できない。そもそも彼女もいないのに、JKの事なんて分かるもんか。
「女子高生はね、イケメンが大好きなの! 和希みたいなブタはお断りなの!」
「なな、何言ってるんですか!」
「だから、痩せてイケメンになったら、妹さんが『お、おにいたん。ブタの呪いが解けてイケメンに戻ったんでしゅね。うれちい。今までゴメンなちゃい。だいすきだお』って言って、めでたしめでたし。だよ」
「……雲雀さん、なに萌え声だして妹を幼女化させているんですか? 妹は俺と同じ年齢って説明しましたよね?」
「過大表現です。でも内容は間違っていないからね」
雲雀さんとは、ほぼ初対面だけどこんなにお茶目さんだったのか。
「真面目に話すとね——」
初めから真面目に話して欲しい。
雲雀さんの真面目な話だと、俺が小さい頃から今のぽっちゃり姿なら沙羅は優しいままだった。自慢の美少年お兄ちゃんが醜くなったのが許せないとか。
だから俺が太ってから妹さんは罵倒しはじめたって。痩せてイケメンに戻ればこの騒動も終わる。だからダイエットしなさいって……。
痩せたらイケメンになるかは分からないけど、状況が変わるのは分かる。だけど俺は返答せずに黙っていた。
「もう、和希ってホントに鈍いの?」
「鈍いって何がですか?」
「痩せてイケメンになると、妹さんの心も救う事になるの。妹さん……和希の事、異性として好きなのよ」
沙羅が……沙羅が俺の事を異性として好き⁉︎ 兄妹愛ではなく⁉︎ マジですか⁉︎
「よく考えて。妹さんは太っただけで人を
「……子供の頃は優しかったです。だけど今何か悩み事があって俺に当たっているだけかも」
「自分の悩み事で兄に罵声を浴びせストレス発散させる妹さんなの? 違うでしょ?」
その後もいつくか反論したけど雲雀さんは全て潰した。
「だけど……俺は……」
「怖いんだね。もお。妹さんが冷たいままなら私が和希の彼女になって慰めてあげるから」
「えっ。ほ、ホントですか⁉︎」
美少女の雲雀さんが彼女になってくれりゅ⁉︎ イヤイヤ俺は沙羅一筋……ってイケナイ、沙羅とは兄妹だから!
「あの〜。ごめんなさい。この場のノリで言っちゃいました」
「はい?」
「まさか食いついてくるとは思わなかった。ムリ。無理です。彼女にはなりません。和希の事は恋愛対象に見れない」
「あはは。分かってますよ」
「友達にはなってあげるからね。ギリだけど」
真面目なのか不真面目なのかよく分からない人だ。だからなのかな? 浮気されたのは。
う〜ん。悪い人ではなさそう。裏表なさそうだもんな。
「話がだいぶ逸れたけど……痩せる気はなさそうね」
雲雀さんは俺の顔色を見て判断している。洞察力が高い。
「和希、今、苦行しないと一生後悔するよ。人は——」
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